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2022.09.09
【医師監修】扁平乳頭でも授乳は諦めないで!乳首の治し方・授乳のコツ
妊婦健診では、助産師が妊婦さんの乳房・乳頭をチェックすることがあります。その目的は、妊婦さん自身が自分の身体の特徴を知り、出産後スムーズに母乳育児を進められることです。もし扁平・陥没乳頭だと、「授乳はうまくいかないのでは?」と心配するかもしれません。ここでは扁平・陥没乳頭でも、授乳できるコツについて紹介します。妊娠中からできる乳頭ケアや、正常な乳頭への治し方もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
3種類に分けられる乳頭のタイプ
乳房や乳頭には個人差があり、その形状や伸展具合も千差万別です。乳頭はその突出具合から、「通常乳頭」「扁平乳頭」「陥没乳頭」に分けられます。
乳頭についての悩みは、非常にデリケートなこと。特に初産婦さんの場合、「自分は母乳育児ができるのか?誰に相談すればいい?」と、わからないこともあるでしょう。そのために妊婦健診では、助産師による乳房・乳頭チェックが行われます。
では、それぞれの乳頭タイプの特徴を見ていきましょう。
「通常乳頭」とは
これはいわゆる一般的な乳頭です。外見的には乳頭が数ミリ~1センチほど突出しており、乳輪部をつまむと突出します。初産婦さんは乳頭が硬い場合もありますが、母乳育児にあまり問題はありません。
「扁平乳頭(へんぺいにゅうとう)」とは
「扁平乳頭」とは乳頭がほとんど突出しておらず、乳輪と同じ高さから0.5センチ以内をさし、乳輪部が全体的になだらかになっています。
授乳しづらい場合もありますが、妊娠中のケアにより乳頭が数ミリ突出してくる可能性もあります。「扁平乳頭=授乳ができない」ではありません。
「陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)」とは
「陥没乳頭」とは、乳頭が乳房よりも埋もれている状態を指します。乳輪部をつまむと乳頭が突出する「仮性陥没乳頭」と、つまんでも乳頭が突出しない、もしくはさらに陥没する「真性陥没乳頭」があります。
陥没乳頭の場合は、赤ちゃんにうまく授乳ができずに乳首が傷ついたり、乳腺炎を引き起こしたりすることもあります。産後は、十分な乳房ケアが必要になります。
「扁平乳頭」・「陥没乳頭」になる原因
乳頭が突出できないのは、乳頭が未発達であり、乳房の中に引き込まれることが原因とされています。ある調査では、女性の10人に1人が扁平もしくは陥没乳頭だといわれています。正常な乳首に近づくためには、妊娠中からの積極的なケアが重要です。
扁平乳頭の授乳は?母乳育児はできる?
扁平乳頭・陥没乳頭であっても妊娠中のケアによって、母乳育児が可能になることもあります。
授乳時の赤ちゃんは、乳頭ではなく乳輪部を下顎から上顎にかけて、深く吸着します。ある程度の大きさの赤ちゃんであれば、最初はうまくいかなくても大丈夫。ママの妊娠中からの乳頭ケアや赤ちゃんの練習によって、次第に授乳できるケースもあります。
しかし早産児や低出生体重児は、吸啜(きゅうてつ)反射が弱く、効果的に母乳を飲むことができません。そのため母乳育児に困難を覚え、諦めてしまうママが多いのも現実です。
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扁平乳頭の治し方&授乳のコツ
扁平・陥没乳頭でも、妊娠中からのケアや授乳時のコツによって、母乳育児がうまくいく場合があります。
妊娠中からできる乳頭ケア
扁平乳頭・仮性陥没乳頭のママは、日ごろから積極的なケアを行うことにより、直接授乳ができる可能性が高くなります。
■乳頭マッサージをする
かかりつけの産科医もしくは助産師の指導のもと、乳頭マッサージを行います。マッサージを行う時期は妊娠中期以降で、切迫早産など妊娠中のトラブルがない時に限ります。乳頭を刺激すると、お腹が張ることがありますので、その時はすぐに中止しましょう。
マッサージによって乳頭が突出し、赤ちゃんが吸いやすい柔らかい乳頭になります。入浴中など、身体が温まって血行が良い時に行いましょう。
以下に、乳頭マッサージの方法を紹介します。
《乳頭マッサージ》
1. 片方の手で乳房を支えます。もう片方の手の人差し指・中指・親指の3本で、乳輪の外側から乳首にかけてつまみ圧迫します。
2. 乳首をつまみ出し、しごくようにして伸ばします。
3. 色々な角度から圧迫しましょう。皮膚が傷つかないよう、気持ち良いと感じる程度の強さで行ってください。
■乳頭吸引機を使用する
乳頭吸引機を使用して、乳頭を突出させる方法もあります。インターネットやベビー用品専門店で購入できます。どのようなものを購入していいかわからない時は、かかりつけの産院の助産師に相談しましょう。
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扁平乳頭でも授乳がうまくいくコツ
扁平乳頭・仮性陥没乳頭の場合、授乳にはどのようなコツが必要でしょうか。
■ラッチオンとポジショニングを見直す
効果的に授乳するには、「ラッチオン(赤ちゃんの吸い付き方)」「ポジショニング(授乳姿勢)」が非常に重要です。赤ちゃんがおっぱいに吸い付く時、乳頭だけではなく、乳輪部もしっかりと深くくわえているか確認しましょう。
赤ちゃんの口が小さくすぼめた形になる、あるいはママが乳首に痛みを感じていたら、それは乳頭のみしか吸っていない浅い吸い方の特徴です。両唇がチューリップのように広がり、乳輪部も覆っているようであれば、深く吸えている証拠です。
またポジショニングに関しては、赤ちゃんと乳房の高さをクッションなどで合わせるようにしましょう。ママの身体が赤ちゃんに寄るのではなく、赤ちゃんの高さを合わせてあげてください。赤ちゃんの身体がねじれないように、耳・肩・腰のラインが一緒になるようにしましょう。
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■乳頭保護器の使用を検討
乳頭保護器を一時的に使用するときは、できるだけ薄く、自分の乳頭に合ったニップルシールドを選びましょう。ただし乳頭保護器を使用すると、乳頭混乱(赤ちゃんがママの乳房を嫌がる)を起こすことがあり、外す時期を慎重に検討する必要があります。
母乳外来を利用し、助産師と一緒に経過観察を行い、外す時期を慎重に検討することをおすすめします。
《まとめ》
扁平乳頭・陥没乳頭は、妊娠中のケアによって改善したり、授乳時のコツをつかめば、直接授乳が可能になることもあります。自分の身体の特徴を把握したうえで、母乳育児を希望する場合は早めに助産師に相談し、妊娠中からケアを積極的に行いましょう。もちろん妊娠中のトラブルがある場合は禁忌ですので、かかりつけの産科医への相談も忘れないでくださいね。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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