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2022.06.24

妊娠中のお腹の張りとは?【助産師】妊娠期ごとの原因と確認方法

妊娠中のお腹の張りは、「妊娠による生理的なお腹の張り」と「トラブルの危険信号によるお腹の張り」に分けられます。自分で確認する方法を学ぶことは、異常の早期発見・早期治療につながるので、妊婦さんにとって非常に大切。今回は妊娠中のお腹の張りについて、理解を深めていきましょう。お腹の張りの確認方法やその対処法について、助産師が解説していきます。

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【妊娠期別】妊娠中に「お腹が張る」ってどんな感じ?

お腹が張るとは

 

初産婦さんは、「お腹が張る」という感覚が具体的にどのようなものか、想像がつかないかもしれません。お腹の張りは、子宮の筋肉が収縮しグーっと硬くなることを言います。ほとんどの張りは、妊娠による生理的なもの。しかし時には、トラブルの危険信号の可能性もあります。

妊娠時期によって、張りの感じ方は様々です。妊娠初期・妊娠中期・妊娠後期に分けて、具体的なお腹の張りの感じ方や、その原因を見ていきましょう。

 

【妊娠初期のお腹の張り】感じ方・原因

妊娠初期は子宮の膨らみがあまりないため、なかなか妊娠の自覚がありません。出血などの症状がない限り、お腹が張っている感覚がわかりづらいでしょう。初期はつわりがひどい時期にも当たります。お腹の張りを自覚する余裕もないかもしれません。

妊娠初期のお腹の張りは、「なんとなく違和感がある」「子宮のあたりがチクチクする」「生理痛のような痛み」「突っ張るような痛み」として感じることがあるようです。

 

【妊娠初期にお腹が張る原因】

妊娠初期の生理的なお腹の張りの原因として、挙げられるのはいくつかあります。

 

1.靭帯が引き延ばされることによるもの

子宮は、円靭帯と呼ばれる靭帯によって支えられています。妊娠すると、この円靭帯が引き伸ばされます。この引っ張られるような感じが、足の付け根の痛みとなって、お腹が張っていると感じる妊婦さんもいます。

 

2.子宮の増大によるもの

妊娠すると子宮は、赤ちゃんを育てるために急速に大きくなります。筋肉が大きく伸びて血流も増え、子宮に様々な変化が生じ、お腹が張る原因となります。

 

3.皮膚が突っ張ることによるもの

伸びるのは筋肉だけではありません。子宮が大きくなるにつれて、皮膚も引き伸ばされます。その時のピリピリした痛みを、お腹の張りと認識することがあるようです。

 

4.便秘によるもの

妊娠するとその妊娠を維持するために、プロゲステロンというホルモンが増加します。このプロゲステロンは、腸の蠕動運動を抑制します。そのため妊娠初期は便秘になりやすく、その影響でお腹が張ると感じることもあります。

 

5.冷えによるもの

妊娠すると自律神経のバランスが乱れるため、体温調節がうまくできずに、冷え症になる妊婦さんが多くいます。身体が冷えると血流が悪くなり、お腹が張りやすくなってしまいます。

 

【妊娠中期のお腹の張り】感じ方・原因

妊娠中期になると、だんだんお腹の張りを感じる妊婦さんが多くなってきます。子宮も大きくなるので、お腹が張っている時はボールが入っているかのように、カチコチに子宮が浮き出てきます。お腹の張りが和らぐと、そのボールが消えていくような感覚を覚えるので、妊婦さんもわかりやすいでしょう。

 

お腹の張りの感じ方は人それぞれですが、妊娠中期の張りは「お腹が硬い」「ボールが入っている感じ」「ギューッとしめつけられるような感じ」と表現する妊婦さんがいます。すぐに横になっておさまる場合は問題ありません。

 

【妊娠中期にお腹が張る原因】

妊娠中期の生理的なお腹の張りの原因として、挙げられるのはいくつかあります。

 

1.活動量が増えることによるもの

妊娠中期はつわりから解放され、一気に活動量が増加します。その際に一時的に子宮を支える筋肉に負担がかかり、お腹の張りが起こります。ただし少し横になれば治まる、生理的なものがほとんどです。

 

2.子宮の締め付けによるもの

妊娠中期になると少しずつ子宮も大きくなり、外見からでも妊婦さんとわかるようになります。非妊時と同じような洋服や下着をつけると、お腹が締め付けられます。緊張状態となりお腹が張ってしまうことがあるので、ゆったりとした服装を心がけましょう。

 

【妊娠後期のお腹の張り】感じ方・原因

妊娠後期に入ると、身体がお産の準備を始めるので、お腹が張りやすくなるもの。はっきりと張りを感じることが、頻繁になってきます。妊娠後期のお腹の張りは、「臓器が圧迫される感じ」「息苦しい」と感じる妊婦さんがいます。

 

妊娠後期のお腹の張りの原因は、出産準備のための生理的なもの

妊娠後期に入ると、子宮がお産の準備をするために、張りやすくなります。前駆陣痛とも呼ばれます。生理的なものですが、痛みが治まらない・強くなる場合は、まれに陣痛につながることもあるので、すぐに受診しましょう。

妊娠37週までは早産になるので、注意が必要です。

 

妊娠全期間を通して心配なお腹の張り

お腹の張りには時に、妊娠トラブルの危険信号の可能性もあります。出血や痛みを伴うお腹の張り、正産期でもないのに規則的に感じるお腹の張りは、切迫流産・切迫早産の可能性が考えられます。

また、まれに妊娠中に虫垂炎や子宮筋腫、結石などの合併症を併発している場合があります。その際の痛みを、お腹の張りと感じることがあります。

 

注意すべきお腹の張り

 

お腹の張りの確認方法とは

お腹が張っているかどうかは、セルフチェックで確認ができます。妊娠25週あたりから少しずつ張り出すので、ぜひ習慣づけてください。

 

【セルフチェック】お腹の張りの確認

まずは「お腹が張っている状態」、「張っていない状態」がどんなものか知ることから始めましょう。上半身を少し起こすようにして仰向けに寝て、優しく両手でお腹を触れてみましょう。お腹が柔らかいようであればお腹は張っていません。

 

ボールが入っているように硬く、子宮が触れるのであれば、お腹が張っている証拠です。「皮膚に指が入らないくらいに硬い」と表現されることもあります。両手で子宮を優しく触れることで、左右差がわかるようになります。息苦しさや出血、痛みなどを伴う場合は、かかりつけの産科医への受診が必要です。

 

毎日仰向けになってお腹に触れる習慣ができると、お腹が張っている状態がわかってきます。仕事や家事に追われる日々かもしれませんが、毎日お腹の張りを自分でチェックしてみましょう。

 

 

「お腹が張りやすい人」の特徴&体型

お腹が張りやすい人には、以下のような特徴があります。

・ストレスに弱い

・ストレスをうまく解消できない

・疲労をためやすい

・冷え性

 

自分でリラックスできる方法を考えたり、ストレス解消法を試したりして、うまく付き合っていきましょう。仕事が忙しく、疲労をため込むこともあるかもしれませんが、休みの日はリラックスを心がけましょう。

 

冷えがある場合は、大きな血管が通っている「3つの首(首、手首、足首)」を温めることがおすすめです。温かい飲み物を飲んだり、身体を締め付けない服装を気を付けたり、日常生活を見直すといいかもしれません。

 

「お腹が張りやすい人」の体型

お腹の張りは、妊婦さんの体型にも関係します。細身の体型の場合は、子宮の容量も小さく、どうしても張りやすくなってきます。体型は変えられないので仕方ありません。細身の妊婦さんはお腹が張りやすい体質だと自覚して、気を付けて生活しましょう。決して無理はしないでください。

 

 

お腹の張りの予防&対処法

もしお腹の張りを感じたら、すぐに横になって休み、深呼吸をしてリラックスしましょう。深呼吸をすることで、副交感神経が優位になり身体の力が抜けていきます。そうすると、自然にお腹の張りは治まってくるでしょう。

 

また以下のように、お腹が張らないような生活を心がけることも必要です。

 

■出来るだけストレスをためないこと。

 

ストレスを感じたら適度に解消すること。気分転換に散歩、読書、映画鑑賞など自分の好きなことをやるのもよいでしょう。

 

■立ち仕事・座りっぱなしの仕事など、長時間同じ姿勢で過ごすのを避けること。仕事の合間にこまめに休憩をとる、疲れたら我慢しないで横になって休むなどが必要です。職場での協力が得られるよう上司と話し合い、休憩の取り方について決めておくとよいでしょう。

 

■長時間の家事、重いものを持つ・運ぶのは避けること。家事は家族と分担し、自分一人で頑張りすぎないことも予防になります。

 

仕事をしている妊婦さんや、上の子がいる場合は、自分のことを後回しにしがち。お腹の張りは自分へのサインだと認識し、身体の声を聴くようにしましょう。

 

受診すべきお腹の張りの見分け方

受診の目安は以下の通りです。

・休んでいてもお腹の張りが治まらない場合

・お腹の張りと共に、痛みや出血がある場合

・張りの回数が、1時間に6回以上の場合

・張りが強くて息苦しく感じる場合

 

これらの症状が現れたら、早急にかかりつけの産科医に相談してください。切迫早産や常位胎盤早期剥離など、合併症が隠れていることがあります。

 

 

《まとめ》

 

お腹の張りには妊娠期間を通して、気を付けるべきものと、子宮の増大に伴い生理的に起こるものがあります。毎日お腹に触れる習慣をつけて、お腹が張っていないかセルフチェックをしてみましょう。もしお腹の張りを感じたら、無理をしないでソファなどに横になり、深呼吸をしてリラックスしてください。それでも治まらない場合は我慢せず、かかりつけの産科医に相談してくださいね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1955年に助産師独自の職能団体として社団法人として創立。

全国都道府県助産師会の会員にて組織されている。

2012年10月1日から公益法人制度改革により公益法人認定法に基づいて公益性を認定され、公益社団法人として新たにスタート。

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