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2021.06.07
臨月のお腹の張りは出産の兆候?【産科医解説】陣痛との見分け方
臨月になるとお腹の張りを感じやすくなり、張る回数も増えていきます。お腹が張る原因、陣痛との見分け方、お腹の張りから出産を終えるまでの流れについて説明していきます。
目次
臨月のお腹の張りとは
妊婦さんのお腹が張るというのは、子宮の筋肉が収縮して固くなることを言います。お腹を触るといつもの柔らかさがなく、太鼓の皮のように張って固くなっているのがわかります。
張っている時になんとなく違和感がある、お腹を押されているような鈍い痛み、生理痛の痛みなど感じ方も様々です。お腹の張りの原因はいくつかあります。
臨月にお腹が張る原因1. 胎動など
●胎動
臨月でお腹の赤ちゃんが大きくなっていくに従って、子宮と赤ちゃんの間にある羊水の空間は狭くなります。そのため赤ちゃんの動きがダイレクトに子宮に伝わりやすく、胎動でお腹が張ることが多くなります。
●冷えや疲れ、ストレス
体が冷えているとお腹が張りやすくなります。また、疲れやストレスによってもお腹が張ることが多くなります。冷えや疲れを感じたら、子宮に血流が行くように下腹部を温かくし横になって安静にしましょう。
●便秘
臨月になると妊婦さんは、子宮が大きくなることで腸が圧迫され、便秘になりやすくなります。便秘が続くことで腹腔内の子宮のスペースが狭くなり、お腹が張りやすくなります。
臨月にお腹が張る原因2. 前駆陣痛
前駆陣痛と呼ばれる不規則なお腹の張りもあります。子宮口は柔らかくなり薄くなっていき、出産の準備を始めます。
臨月に注意したいお腹の張り
妊娠37週前の場合は、早産になる可能性があります。お腹の張りを感じたら安静にして休みましょう。妊娠37週以降はいつ生まれてもよい時期なので、いつも通りの生活をしながら出産準備をしましょう。
お腹の張りと共にずっと痛い、出血があるといった場合には、すぐにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。胎盤が子宮の壁から剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」といって、妊婦さんと赤ちゃんが危険な状態かもしれません。
臨月の「お腹の張り」「陣痛」「前駆陣痛」の見分け方
臨月に入り、本格的な陣痛なのか前駆陣痛なのか、見分けられるか心配になる妊婦さんも多いのではないでしょうか。「お腹の張り」「陣痛」「前駆陣痛」の見分け方を説明します。
お腹の張りとは
前述のように、子宮の筋肉が収縮することをお腹が張ると言います。軽いものですと痛みを伴わないことがほとんどで、気づかない妊婦さんもいます。
陣痛とは
痛みを伴う子宮収縮が規則的にくることを陣痛と言います。痛みが始まってから次の痛みが始まるまでの時間が10分より短くなって、どんどん痛みの強さが増してくると陣痛と判断します。
痛みのあるお腹の張りが続くようであれば、間隔を測ってみましょう。陣痛計測アプリを使うと、簡単に測ることができます。
前駆陣痛とは
痛みを伴う子宮収縮の間隔が不規則のものを前駆陣痛と言います。たとえば、痛みと痛みの間隔が10分よりも長い場合は前駆陣痛です。
間隔が10分を切って痛みが来ていたけれど痛みの強弱がバラバラだったり、数時間後には痛みがなくなってしまった、という場合も前駆陣痛です。前駆陣痛が続く日数は人によって違います。2〜3日の人、1週間続く人、まったくない人と様々です。
自分が感じている痛みが陣痛なのか前駆陣痛なのか、どうしたらいいのか分からなくて不安な場合は、かかりつけの産婦人科に連絡をしてみると安心です。
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臨月に知っておきたい「陣痛~出産の流れ」
陣痛が来てから入院してどのように出産は進んでいくのか、出産当日の流れを知って本番に備えておきましょう。
1. 陣痛開始から入院まで
痛みと痛みの間隔が10分よりも短くなって、どんどん痛みの強さが増して来るようであれば陣痛です。病院によって入院のタイミングは違いますので、どの時点で病院に連絡をしたらよいか確認しておきましょう。
一般的に初産婦さんは陣痛が開始してから出産まで、10時間以上かかることが多いです。慌てなくても大丈夫です。逆に前回の出産が割と短時間だった経産婦さんは、早めに準備して受診しましょう。もし陣痛なのかわからなかったり、不安な時には病院に連絡をして相談しましょう。
2. 入院から子宮口の全開大まで
本格的な陣痛が始まり、子宮の入り口の柔らかさや開きが順調な場合に入院となります。その後は子宮の入り口が全開になるまで、なるべくリラックスをして陣痛を乗り切りましょう。
痛い時にはどうしても全身に力が入ってしまいますが、ゆっくり深呼吸をして痛みを逃がしたほうが赤ちゃんはスムーズに降りてきます。陣痛の間隔は10分から7分、5分、2分と痛みが強くなると共に短くなっていきます。子宮の入り口が全部開く頃には、1〜2分間隔で痛みがあります。
3. 子宮口の全開大から赤ちゃんが産まれるまで
子宮の入り口が全開になると、いきんでもよいと助産師に言われるかもしれません。医師や助産師の声をよく聞きながら、有効ないきみになるようにしましょう。
初産婦の場合は、全開大後から赤ちゃんが産まれるまで1〜2時間かかります。赤ちゃんの頭が半分近く出る頃、助産師が声をかけますのでいきみをやめてリラックスです。赤ちゃんの泣き声が聞こえるまでもうすぐです!
4. 赤ちゃんが産まれてから胎盤が出るまで
無事赤ちゃんが生まれたら、次は胎盤が出てきます。胎盤が出る時も全身の力を抜いてリラックスしていましょう。無事胎盤が出たら、子宮の戻りと傷のチェックをします。必要であれば、医師が傷を縫い合わせることもあります。その間に赤ちゃんの健康チェックをして、元気であればママのもとにきますよ。
《まとめ》
お腹の張りとは、子宮の筋肉が収縮して固くなること。子宮が赤ちゃんを押し出して産んでくれる力です。最終的にはこれが無いと赤ちゃんは産めません。
臨月からのお腹の張りは、出産に向けて子宮と赤ちゃんが準備し始めた合図です。前駆陣痛や陣痛との違いや出産当日の流れを知って、出産までリラックスして過ごしましょう。お腹の張りや痛みに不安がある場合は、迷わずかかりつけの産婦人科に相談しましょう。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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