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2022.04.25

赤ちゃんの鼻水・鼻づまりの対処法&受診すべき症状【小児科医】

自分で鼻をかむことのできない、赤ちゃんの鼻水や鼻づまりは気になりますよね。放っておいてもよいか受診すべきか、悩むママも多いと思います。今回は、赤ちゃんの鼻水・鼻づまりの原因やお家でできるケアの注意点、受診すべきタイミングなどについて小児科医がお話します。

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赤ちゃんの鼻水が出る・鼻づまりを起こす原因とは

赤ちゃんの鼻水の原因

 

赤ちゃんの鼻水や鼻づまりには、いくつかの原因が考えられます。

 

赤ちゃんの鼻水の原因1. 感染症

鼻水は、感染症にかかったときに体の反応として現れることが一般的です。

赤ちゃんにとって鼻水の原因となる最大の感染症は、RSウイルスです。RSウイルスは大人がかかっても、鼻水が出るぐらいの軽い鼻風邪で済みます。しかし年齢が低いほど症状が強く出る、厄介なウイルスです。

特に生後1ヶ月までの新生児期にRSウイルスにかかると、重症化することも多いため注意が必要です。

 

鼻水は、鼻の粘膜から出る分泌物。RSウイルスに感染すると、鼻水だけではなく気管支からも分泌物が増えます。この気管支の分泌物が淡(たん)の正体です。

鼻から喉までの上気道と、気管支から肺までの下気道の両方で、分泌物が増えてしまいます。そのためRSウイルスにかかると、赤ちゃんにとって大変です。

またRSウイルス以外のウイルス感染症においても、最初の症状が鼻水であることは多いです。

 

赤ちゃんの鼻水の原因2. 副鼻腔炎

鼻水の原因として、乳児期になると「副鼻腔炎」、いわゆる蓄膿(ちくのう)が増えてきます。新生児期の赤ちゃんにはあまり多くないですが、1歳~5歳ぐらいの子は副鼻腔炎を起こしやすいです。

 

ネバネバ・ドロドロした、黄色や緑色の鼻水が出るような場合は、副鼻腔炎が疑われます。ドロドロの鼻水は特に鼻づまりも起こしやすいので、注意が必要です。

ドロドロの鼻水が鼻からあふれて喉にも回ると、咳が出るようになります。この場合の咳は「コンコン・ケンケン」ではなく、「ゲホゲホ・ゴホゴホ」といった湿った咳になるのが特徴です。

 

赤ちゃんの鼻水の原因3. アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎も、鼻水の原因になります。アレルギー性鼻炎の三大症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまり。鼻水は透明で、量も多いのが特徴です。

 

乳幼児期のアレルギー性鼻炎の原因は、ハウスダスト・ダニであることが多いです。そしてペットによるアレルギーも増えています。

今は犬や猫を室内で飼う人が多く、赤ちゃんが生まれる前からペットが家にいる家庭も多いもの。1歳未満の乳児期の赤ちゃんでも稀に、犬アレルギーや猫アレルギーのお子さんもいます。猫より犬アレルギーの方が多い印象です。

 

一方で、学童期以降に多い花粉症が、赤ちゃんにみられることは稀です。1歳未満の赤ちゃんがスギ花粉症になった例は、小児科医の私も経験したことがありません。

 

アレルギー性鼻炎の診断には、鼻の中の様子を診ることと血液検査が有用です。赤ちゃんにもアレルギー性鼻炎が疑われる場合は、血液検査が非常に有用だと思います。

 

赤ちゃんの鼻水の原因4. 泣いた涙

赤ちゃんは泣いた後にも鼻水が出ます。目と鼻は鼻涙管(びるいかん)という管でつながっているので、赤ちゃんが泣いた後は、涙が目から鼻に流れます。

そのため正常な鼻涙管であれば、泣いた後に透明な鼻水が出ることはよくあります。このような場合は心配はありません。

 

 

自宅でできる赤ちゃんの鼻水・鼻づまりのケアについて

赤ちゃんの鼻水のケアは、どうすれば良いのでしょうか。自宅でできる鼻水ケアの注意点をお伝えます。

 

赤ちゃんの鼻水・鼻づまりケアの注意点

昔は赤ちゃんの鼻水が出ると、ママが赤ちゃんの鼻に口をつけて吸っていたことがありますが、これはおすすめできません。ママの口の中にはいろんな菌がいます。それが赤ちゃんの鼻にうつってしまうので、やめましょう。

 

吸引器の注意点

吸引器を使うのはおすすめ。ですが吸引器にも色々な種類があり、使い方には注意が必要です。

まずどんなタイプのものでも、何十秒も連続で吸い続けるのはやめましょう。目と鼻はつながっていると話しましたが、鼻と耳もつながっています。吸引器の圧を鼻に当て続けると、鼓膜に負担がかかり傷つけてしまう可能性があります。

特に、新生児期の赤ちゃんは控えた方が良いと思います。

 

寝かせる姿勢の注意点

鼻がつまって赤ちゃんが寝苦しそうだと、うつ伏せにしたほうが楽だろうと思うかもしれません。しかし赤ちゃんをうつ伏せにするのは、乳児突然死症候群の心配があるので絶対にやめましょう

まだ寝返りを打てないような、生後3ヶ月未満の赤ちゃんをうつ伏せにするのは、特に危険です。

 

 

赤ちゃんの鼻水を放っておくとなりやすい病気とは?

赤ちゃんの鼻水からくる病気

 

「たかが鼻水」だからと、放っておいてもいいかと思うママ・パパもいるかもしれません。しかし、鼻は目や耳に繋がっているので、軽視できません。

 

鼻水を放っておくとなりやすい病気

副鼻腔炎

鼻水で病院を繰り返し受診しているお子さんの場合は、副鼻腔炎であることも少なくありません。

副鼻腔炎は1回良くなっても、繰り返すことも多い(慢性副鼻腔炎)です。そのため小児科よりも、耳鼻科の受診が良いでしょう。特に、鼻水の吸引をよく行ってくれる、優しい耳鼻科をかかりつけにしておくのがおすすめです。

 

鼻涙管閉塞

鼻水が鼻涙管に詰まってしまうと、鼻涙管閉塞という状態になります。鼻涙管閉塞は新生児期や乳幼児期に多く、目やにがたくさん出るようになります。

多くの場合は、抗菌薬の目薬で良くなります。しかしなかには、鼻涙管を通すブジーという処置が必要になることもあります。そのためドロドロの鼻水が続いて、目やにも多く出る場合は、眼科を受診しましょう。

 

中耳炎

中耳炎にも注意が必要。耳と目と鼻は全部つながっています。鼻で交通渋滞をつくってしまうと、その先の目も耳も詰まってしまいます。

目の先が詰まると鼻涙管閉塞、耳につながる耳管が詰まると中耳炎の原因となります。

 

 

病院を受診すべき赤ちゃんの鼻水の症状

赤ちゃんの鼻水での受診

 

感染症の最初のサインは鼻水であることが多いので、受診するタイミングはしっかり知っておきたいものですね。また鼻水が原因で、呼吸に影響するような症状が出る場合も、受診した方がいいと思います。

 

赤ちゃんの鼻水は小児科?耳鼻科?どちらを受診すべきか

耳鼻科では、鼻や耳の視診や鼻水の吸引を、しっかりと行ってくれることが多いでしょう。一方で小児科では、鼻の中の視診を行うところは少ないと思います。ただし呼吸音を確認し、胸(下気道)の触診や聴診を行っています。

 

鼻(上気道)の症状だけなら、耳鼻科がおすすめ。ですが熱があって感染症が疑われるときや、咳も出るときは、肺炎や気管支炎など下気道の病気の場合もあります。小児科で診てもらいましょう。

耳鼻科と小児科それぞれ、かかりつけ医を作っておくのがベストですね。小児科でも耳鼻科でも、胸の音を聴いてくれて鼻も診てくれる先生がいれば、なおいいと思います。

 

新生児期の赤ちゃんの受診の目安

新生児期に鼻水が出て心配になったら、受診しましょう。

元気がよく透明な鼻水だけが出ている場合は、必ずしも受診の必要はありません。お家で鼻水を優しくぬぐって、様子をみましょう。ただし吸引器を使ってケアするときは、長時間は使わず、あふれる鼻水を吸うぐらいに留めてください。

 

鼻水がたくさん出てしまうときや、吸ってもなかなか良くならないときは受診しましょう。熱はなく元気で鼻水が出るだけなら、小児科より耳鼻科を受診するほうがいいかもしれません。

 

受診すべき赤ちゃんの症状

・目やにが出でいる

鼻涙管閉塞の原因になっている可能性がありますので、受診しましょう。

 

・咳込んでいる(特に寝ているとき)

鼻は口とつながっています。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎で鼻水が喉の後ろに落ちてくると、鼻水が気管の入り口に入らないように、一生懸命に咳をするようになります。

これは鼻水が鼻からあふれてしまっている状況。こういうときもやはり受診するといいでしょう。

 

・1日中咳をしている

気管支炎や肺炎の場合があるので、小児科を受診しましょう。

 

・口で呼吸をしている

鼻が鼻水で満たされてしまうと、空気の通り道(気道)がふさがれてしまいます。そうすると鼻で呼吸ができなくなって、口で呼吸をしたりします。それがある程度慢性化してくると、常に口をポカンと開いた状態で、口呼吸になります。

 

さらに鼻水がひどくなると、口呼吸でも苦しくなってきます。すると胸がペコペコへこむような呼吸(陥凹呼吸)や、呼吸数が多くなるなどの変化が起きます。

夜寝ているときにハーハー、ゼーゼーしているなどの症状がみられて、鼻水や熱も伴う場合は、小児科を受診してください。特に生後1ヶ月以内の赤ちゃんにこのような症状が出たら、RSウイルスの可能性があります。小児科を受診するようにしましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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資格
医学博士
日本睡眠学会専門医
日本アレルギー学会指導医、専門医
日本小児科学会指導医、専門医

略歴
1991年 静岡県立沼津東高校卒業
1998年 山梨医科大学(現山梨大学)医学部医学科卒業 同大学小児科入局
以後、山梨大学医学部救急部、山梨県立中央病院新生児科などの勤務を経て
2009年 小児科学講座助教
2014年 小児科講座学部内講師
2017年 杏嶺会一宮西病院 小児科部長
2023年 尾張こどもの睡眠・呼吸・アレルギークリニック開院・院長

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