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2022.03.28

産後クライシスとは?いつまで?原因や夫婦でできる対処法

「産後クライシス」という言葉を聞いたことはありますか?産後クライシスとは、これまで仲のよかった夫婦が産後、急激に関係が悪化し、夫婦の危機的状況に陥ることを表現する言葉です。この記事では、産後クライシスはどんな症状なのか?どうすれば改善できるのか?予防方法はあるのか?といった疑問にお答えします。

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「産後クライシス」の症状とは?うつ病との違い

産後クライシスとは

 

産後クライシスに陥ると、様々な心身的な変化がみられます。この症状にはどのようなものがあるでしょうか。

 

「産後クライシス」の具体的な症状

産後クライシスの症状は以下のとおりです。

 

・ささいなことでパートナーにイライラする

・パートナーに触れられると不快に感じる

・パートナーに愛情を感じなくなった

・パートナーが家事や育児に非協力的で、ストレスである

・パートナーが子どもにばかり目を向けて、寂しさを感じる

 

あくまでも一例ですが、このような症状が挙げられます。主にパートナーに対して感じることが多いです。

 

「産後クライシス」と「うつ病」の違い

「産後うつ」は、産後1ヶ月頃にみられることが多いもの。不眠や育児のストレス、不安からイライラする、やる気が起きないといった症状があります。

それに対し産後クライシス」は夫婦の関係を表す言葉であり、病気ではありません。産後うつは「うつ病」という病気が産後に起こっている状態なので、自身での解決ではなく医師の診察が必要な状態であることが、大きな違いです。

 

 

「産後クライシス」はいつまで続く?

産後クライシスがいつまで続くかは、夫婦によって大きく異なりますが、回復には数年単位かかることが多いでしょう。産後ママの体の回復状態や疲労、育児や睡眠の状況によっても異なります。

問題を解決するために夫婦で協力していれば、短期間で解決することもあります。しかし問題が長引き、離婚に発展するケースも少なくありません。

 

 

産後クライシスの原因とは

産後クライシスの原因には、どんなことが考えられるでしょうか?

 

産後クライシスの原因1. 夫が育児に非協力的

産後クライシスに陥る原因の一つには、「どちらか一方に育児の負担が大きくのしかかる」ことが挙げられます。

たとえば、妻が疲れているので、自分も育児を頑張ろうとする夫。赤ちゃんのおむつ交換をしようと、妻に声をかけます。妻は夫に頼み、夫は不慣れな手つきで頑張っています。しかし時間がかかったり、うまくできなかったりしてイライラしてしまうことがあります。

また「やり方が自分と違う」と、夫からおむつ交換の機会を奪ってしまうことも。夫は不慣れではあるものの、自分なりに努力しています。妻にイライラされて怒られてしまっては、やる気がなくなり「手を出さないでおこう」「自分はうまくできないから妻にやってもらおう」と思ってしまう傾向があります。そのため結果的に、夫が育児に非協力的になってしまうのです。

 

産後クライシスの原因2. 夫婦のコミュニケーション不足

妻は慣れない育児で、一日中バタバタして疲れてしまっています。一方、夫も仕事で疲れているので、帰宅後に妻の話を聞き流すことも多くなってしまいがち。

一日子どもの世話をして、疲れている妻。そんな日が続くと「もう聞いてもらえないし、いいや」「話をしてもまじめに聞いてくれないから話さないでおこう」と、夫に働きかけるのを諦めてしまいます。

そうなると、どんどん夫婦の会話が少なくなってしまうという、悪循環に陥るケースが少なくありません。

 

産後クライシスの原因3. セックスレス

コミュニケーションの一つでもあるセックス。産後はホルモンバランスの影響で、性欲が減退する人もいます。夫がセックスしようと誘っても妻が拒否し続けると、だんだんセックスレスになってしまう場合も考えられます。

 

また夫が産後の妻に女性を感じなくなり、そのままセックスレスになってしまうこともあります。妻とセックスできない、あるいは夫側が自分に関心を向けてもらえないために、浮気や不倫に走ってしまう男性も少なくありません。

 

産後クライシスの原因4. 妻の体調不良

産後の体調は人により様々です。貧血がひどい人や、産後の傷の痛みが強い人もいるでしょう。それに加えて、24時間待ったなしの育児が始まります。

睡眠不足や、ずっと抱っこするなどお世話での疲労、また授乳によっても、体がボロボロになる人が多いです。

 

産後クライシスの原因5. ホルモンバランス由来の変化

妊娠中には赤ちゃんを育てるために必要であったホルモンが、出産を機に急激に少なくなります。その急激なホルモンバランスの変化に体がついていけず、体調不良を起こしたり、イライラしたりと精神的な不調が出てくることもあります。ホルモンバランスにより起こる変化は、自分でコントロールすることが難しい場合が多いです。

 

 

「産後クライシス」で離婚する夫婦は多い?

厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査結果報告(2016年)」によると、全体(死別を除く)の約4割は、子どもが0〜2歳の時にひとり親になっていることがわかります。つまり「産後2年以内」に離婚を決意しているということです。

 

離婚や別居の原因

原因は様々なものがありますが、夫婦で思い描いていた理想の生活とかけ離れていることや、夫が協力してくれず、不満が募るケースが多いです。

生活リズムが子ども中心になっても夫は変わらないこと、妻がイライラしていることに夫が疲弊し、浮気をしてしまう場合もあります。次第に喧嘩が増えて、離婚や別居に至ることが多いです。

 

 

【妻ができる】産後クライシスの対処法・回避方法

産後クライシスの対処

 

ここからは妻側の、産後クライシスの対処・回避方法をご紹介します。

 

夫をほめる

妻は産後すぐから子育てをしていますが、男性はそうではありません。夫なりに一生懸命おむつ替えや抱っこをしていても、妻から見たら不慣れなところもあるでしょう。

しかし、ここはじっと我慢して見守ることが大事です。そして夫ができるようになったら、気になるところがあってもまずは褒めましょう。「パパにしてもらうと嬉しそうにしているね」「忙しくて家事ができなかったから、洗い物してもらって助かったよ、ありがとう」など具体的に感謝を伝え褒めてください。

 

もしやり方が違って気になる場合は、「もう少しこうしてもらえると助かるな」「このやり方のほうが、〇〇ちゃんが嬉しそうなの」と伝えるようにしてみましょう。不慣れなこともありますが、夫がしたことに「ありがとう」と感謝を伝えると、夫のやる気につながるでしょう。

 

夫にしてほしいことを言葉にして伝える

夫にしてほしいこと、手伝ってほしいこと、してほしくないことは言葉にして伝えましょう。

日本人の多くは、自分が大変な時は「見て察してほしい」と思ってしまいがち。ですが夫婦といえども別の人間です。察することは容易なことではありません。

 

日中そばにいない夫側としては、言葉にして伝えてもらわないと、どうしたらいいのか、どこに手を出せばいいのかわかりません。そして困ってしまい、喧嘩の元になります。そうならないためにも、してほしいことはその都度言葉にして伝えましょう

 

ストレスをためない

出産後は心身ともに疲労が蓄積されて、睡眠不足もありストレスを抱える人は多いです。ストレスをためてしまうと、夫に八つ当たりしたり、喧嘩をしたりとトラブルの元になります。

一人の時間をもつことはなかなか難しいかもしれませんが、夫や家族に協力してもらい、短時間でもリフレッシュする方法を見つけましょう。

いつもより少し長めに入浴したり、1時間だけでもカフェに出かけたり、好きなアロマオイルを用意したりするのもいいでしょう。忙しい中でも、自分のために少し時間を使えるといいですね

 

 

【夫ができる】産後クライシスの対処法・回避方法

産後クライシスの回避

 

では次に、夫側はどのように回避すればいいかをご紹介します。

 

妻の変化を受け入れる

男性は女性に比べて父親の自覚をもちにくく、また時間がかかるといわれています。女性のように体の変化もなく、イメージもわかないことが多いからです。そのため、妊娠期間中から夫婦で産後のイメージを共有し、よく話し合っておくことが大切です。

 

産後に妻が子どもを優先するのは当然のこと。夫婦の関係性も変化するものだと理解し、妻が産後にイライラすることがあっても、「こんなものだ」と受けとめてあげましょう。

セックスを拒否されたとしても、嫌われているのではなく、今はそういう時期なのだと寛容な対応を心掛けましょう。

 

自分ができることを積極的にする

今は男性でも育児休業を取得できる会社が増えていますが、まだ男性が育児休業を取得する機会は少ないのが現状です。そのため里帰り出産をする女性が多く、出産後に男性は育児をする機会が少なくなってしまいます。

里帰り後は、夫婦で子育てをしていきます。家事や抱っこなど、その時にできることを妻と相談しながら協力しましょう。

「何かできることある?」「抱っこするのを代わろうか?」などと声をかけてみてください。「何か〝手伝う”よ」と声をかけると、妻の地雷を踏んでしまう可能性があるので、注意しましょう。

 

妻の話をよく聴く

一日子どものお世話をしている妻は、孤独感や徒労感を抱きがちです。夫が帰ってくるまで、誰とも話すことなく一日が過ぎてしまうこともあるでしょう。また子どもがぐずっていて、家事が思うようにできない日もあるかもしれません。

 

そんな時、家に帰ってきた夫に「大変だった」と話をして、もしそれを受け流されてしまうと、さらにストレスを感じてしまいます。話を聴くときは、スマホやテレビなど注意を他に向けずにゆっくり話せる環境を作り、きちんと話を聴きましょう。

また妻が意見を求めない限りは、すぐに反論したり解決を急いだりせず、ただ共感しながら最後まで話を聞きましょう。

 

 

産後クライシスになった後の改善方法

もし実際に産後クライシスになってしまったら、その後どのように解決したらいいかを解説します。

 

産後クライシスの改善1. 周囲の人に協力してもらう

一人で子育てをするのは大変で、夫や家族の協力を得ることが重要です。家族の協力を得ることが難しい場合は、外部のサポートを得ることもできます。

ベビーシッターをはじめ、地域により利用できるサービス(産後ケア事業)が異なります。妊娠中から地域の情報を集めて、利用できるものを調べておくといいですね。

 

産後クライシスの改善2. 話をする時間をつくる

産後クライシスの原因として、夫婦間のコミュニケーション不足があります。育児に非協力的な夫に対し、妻はストレスを感じることもあるでしょう。ですが夫は協力したいのに何をしたらいいのかわからなかったり、妻のダメ出しで嫌になって、協力する気にならなかったりもします。

関係改善のために、お互いにどうして欲しいのか話し合いましょう。仕事や育児に追われて、ゆっくり話をする時間をとるのは難しいかもしれませんが、しっかり話し合ったら解決方法が見つかるという場合もあります。

 

 

《まとめ》

 

出産によって家族が増えることは喜ばしいですが、生活が大きく変化する時期でもあります。夫婦の関係性が変化するため、お互い相手に対してこんなはずじゃなかったと思うこともあるかもしれません。相手への関わりや声かけで、産後の関係性は大きく変化します。夫と妻がともに育児をしていくために、変化を受け入れながら協力しあいましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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