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2021.02.22
産後うつ予防【産科医師が語る】ママの味方となるサポート体制とは
出産後にひどく気分が落ち込んだり、不安定になったりする「産後うつ」。
慣れない育児生活がスタートしてママは寝不足と疲労に。この体の疲労が産後うつを招く前に、疲労回復の強い味方となってくれるサポート体制についてお話しします。
産後うつの原因は?知っておきたい対策法
出産の疲れが癒えないまま、24時間態勢で赤ちゃんの育児が始まり、寝不足や疲労の他、極端に変化する生活環境なども「産後うつ」の引き金になることがあります。
■産後うつの予防
肉体的・精神的負担を軽減して、身体の疲労回復を図ると産後うつのリスクを低下させることできます。
産後は無理をせずに、パパや家族の協力を得て身体を休めましょう。自治体の保健師や、産後ケア、家事育児サポートサービスを積極的に活用しましょう。
自治体の保健師に相談しよう
慣れない育児のストレスやホルモンの影響で、不安定な時期でもあります。自治体の保健師は、ママの話を聞いて、産後すぐの大変な時期をうまく乗り越えられるよう支援してくれます。
不安や悩みを一人で抱え込まず、自治体の保健師に相談してみましょう。
■保健師はママと赤ちゃんの味方です
保健師は、看護資格を併せ持つ、生活と健康に関する専門家です。保健センターや保健所、子育て・保育課など、自治体の様々な場所で活躍しています。母子保健の担当保健師は、妊娠初期から相談にのってくれる心強い存在です。
■保健師は病院や助産師と連携が取れる頼りになる存在
また保健師は、様々な医療機関、助産院、NPO団体と関わりがあります。
ママが自分でサービスを探すとなると大変ですが、保健師に相談すれば一番適したサポートを受けられる施設やサービスを提案・コーディネートしてくれます。
■保健師に相談した後は、産後ケアサービスを上手に利用しよう
産後のママの心と体を癒し、ママと赤ちゃんが健やかに過ごせるようにサポートする取り組みのことを産後ケアサービスといいます。宿泊型(ショートステイ)、日帰り型(デイケア)、訪問型の3種類があります。
基本的には生後4ヶ月までの赤ちゃんとママが対象で、利用回数や利用料は自治体によって違います。保健師は、この産後ケアサービスを利用する時のコーディネートや連携もしてくれます。
■産後ケアで専門家のサポートを受けママはリフレッシュ、安心して育児ができる
宿泊型や日帰り型は、産後ケアをしている病院や助産院でママと赤ちゃんがゆっくり過ごせるサービスです。ゆっくり食事を摂りたい、お風呂に入りたい、長く眠りたいなど、育児に疲れてしまったママが赤ちゃんを専門家に預けて、自分だけの時間を過ごすことができます。
施設によっては、アロマトリートメントなどでリラックスできるところもありますよ。授乳や沐浴の仕方などの育児技術に不安がある場合も、アドバイスしてくれます。
訪問型は、宿泊やデイサービスまでは必要ないけれど、心配事を聞いて欲しい、授乳の仕方を見て欲しい、母乳だけで赤ちゃんの体重が増えているか不安など、ピンポイントのケアが必要なママに適しています。
助産師が訪問することが多いので、安心して相談できますね。
自治体によっては、産後ケアの利用料を助成してくれる場合があります。助成の有無や申請方法などはお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
おすすめ情報
産後に家事育児サポートを利用するメリット
産後ケアサービス以外にも、家事育児をサポートしてくれるサービスがあります。身体を回復させるために、積極的に利用を検討しましょう。
家事育児サポートは、短時間でもママの負担を軽くして、心の安定が得られるというメリットがあります。
自治体の運営するサービスには補助もあり、低料金で利用することができます。ぜひ、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。利用登録するだけでも、安心できますよ。
■ファミリーサポートセンター
子育ての支援を受けたい人、支援したい人のマッチングや調整をしてくれます。子どもの一時預かり、保育園などの送り迎えが基本ですが、自治体によっては家事代行も可能なところがあります。
一般市民の善意で成り立っているシステムなので、専門的なケアを受けることはできません。
■産後ヘルパー派遣事業
家族のサポートを得るのが難しい人に、産前産後の家事を代行してくれる人を派遣する制度です。自治体によって対象者や申請方法などが違いますので、問い合わせしましょう。
■シェアリングエコノミーの自治体助成
家事・育児などそれぞれの得意分野を活かして、会員同士でそのスキルをシェアする制度です。
家事育児代行のシェアリングエコノミーは、大きな都市から広がりをみせています。自治体が助成することで、利用料は低価格となっています。
《まとめ》
産後うつにならないためには、ママの心と体の休息が大切です。1人で抱え込まずに、自治体のサポートを受けてなるべくママの負担を減らしましょう。
ママの心と身体が健やかでいることが、赤ちゃんの成長にとって大切なことです。頑張り過ぎずに、心に余裕を持って楽しく育児できると良いですね。
※写真提供:PIXTA
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平成5年東京慈恵会医科大学卒業。
医局は慶應義塾大学医学部婦人科学教室にて研鑽を積む。
平成14年慶應義塾大学大学院医学研究科を満期単位取得し、臨床に専念。
神奈川県の大和市立病院を経てワキタ産婦人科を継承
【主な資格】
医学博士
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
母体保護法指定医
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