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2021.02.01
【産後うつ】原因&対策を医師が解説!放置しないで早めに治療を
楽しいはずの赤ちゃんとの新しい生活。それどころか始まってみると気が滅入ることばかり。失敗も多くなり、とうとう赤ちゃんの顔を見るのもイヤになってしまう。私は母親失格どころか、悪魔かなにかかしらとも考えてしまいます。そんな風に考えるのはあなただけではありません。そしてあなたが悪いのではなくて、「産後うつ」なのかもしれません。
ホルモンの影響?睡眠不足?産後うつの原因
■産後うつとは
産後うつとは、産褥後期(4~6週あたり)に、気分の落ち込みや抑うつ状態が2週間以上続く病気です。産後の女性の約10~15%が罹患するといわれていますので、決して少なくはありません。
疲れているのに眠れない、何もやる気が起きない、力が湧いてこない、赤ちゃんを可愛いと思えない、他の人と接するとパニック症状が出る、といった症状があります。
■寝不足と疲労
出産だけでも疲れるのに、ママはその疲労が癒されないまま育児をすることになります。赤ちゃんは昼夜かかわらず2~3時間くらいで母乳を欲しがり、おむつ替えもその都度行います。
赤ちゃんは勝手に寝てくれない時もあるので、ママが付き合って寝かしつけなければならないことも。1日の2/3以上の時間が育児に費やされますので、ママは常に寝不足で疲れています。
体の疲労は心の不調につながり、産後うつの原因にもなります。
産後うつの原因?環境の変化やストレスとの関係も
極端に変化する生活環境や、周囲からのストレスも産後うつを引き起こす原因になります。
■パパや家族との人間関係
産後はホルモンの変化によって心が敏感になり、周りの人の言動や行動に必要以上に反応してしまいます。以前は気にならなかったパパや家族の一言が、自分を責めているように聞こえてイライラしてしまったり、傷ついて心の壁を作ってしまうこともあります。
パパが仕事で家にいることが少なくワンオペ育児になってしまうママは、1人で悩みや不安を抱え込んでしまい、抑うつ状態になりやすいです。
■母親としての役割
ママとしての役割に慣れるまで、様々な問題を乗り越えていかなくてはなりません。育児は正解がありませんから、この方法で良かったのか、もっと赤ちゃんに良いやり方があったのではないかと悩むこともあります。
赤ちゃんがどうして泣いているのかわからない時、泣き止んでもらえない時に自分はママとして失格なのではないかと落ち込むこともあります。ママとして自信が持てず、常に不安な状態で育児のストレスが大きくなります。
おすすめ情報
放置しないで治療を!産後うつの対策方法
産後うつは病気です。症状がひどくなる前にカウンセリングなどの治療を受けることが大切です。
■産後うつの予防
産後は無理をせず、パパや家族の協力を得て身体を休めましょう。それが難しい場合は、産後ケアや家事代行、シッターマッチングアプリなどを利用するのもお勧めです。身体の疲労回復は産後うつのリスクを低下させます。
また、妊娠中に育児について話せる友達を作っておくのもおすすめです。産後の不安や悩みをお互いに話し合うことで、ストレスが軽くなります。
■産後うつの治療
産後うつの治療は、大きく分けて2つあります。
一つは精神療法で、カウンセリングとも言います。不安などの感情を受け止め、症状改善のアドバイスをもらい、抑うつ気分になりやすい考えや行動の特徴に気づいてもらい、それを修正できるような支援を受けます。
もう一つは薬物療法です。抗うつ薬、睡眠導入剤、抗不安薬など本人に合った薬を処方します。
なるべく早期に受診することが、産後うつの改善につながります。そしてそれは赤ちゃんが健康に育つためにも大切なことです。1人で抱え込まずに、まずは医療機関に相談してみましょう。
《まとめ》
産後うつの原因は、ホルモンバランスの変化や育児による心身の疲労、周りの人たちとの関係など様々なものがあります。無理をせず心と体を休ませながら育児をしていきましょう。
もし、産後うつかもしれない、と感じた場合は早めにまずは医療機関を受診しましょう。
※写真提供:PIXTA
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平成5年東京慈恵会医科大学卒業。
医局は慶應義塾大学医学部婦人科学教室にて研鑽を積む。
平成14年慶應義塾大学大学院医学研究科を満期単位取得し、臨床に専念。
神奈川県の大和市立病院を経てワキタ産婦人科を継承
【主な資格】
医学博士
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
母体保護法指定医
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