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2020.12.18
妊娠安定期はいつから?【産科医が教える】安心な過ごし方について
「安定期」とはいつからでしょうか?つわりが落ち着いて、体調が良く自由に行動できるイメージかもしれませんが、何をしても良いのでしょうか?
安定期を正しく理解し、健やかなマタニティライフを満喫しましょう。
目次
安定期とはいつからいつまで?
「安定期」という言葉を聞いたことがあるママも、多いのではないでしょうか?
日本では昔から使われているので、馴染みがあるかもしれません。ですが、実は医学用語ではありません。 では安定期とはいつからいつまでのことなのでしょうか。
■安定期の由来は3つ
一般的に、妊娠5ヶ月(妊娠16週)頃から安定期と呼んでいます。いつまで、というのは諸説ありますが、だいたい妊娠7ヶ月頃までを指すようです。
なぜ安定期と言われるようになったのか、主に3つの由来があります。
(1)ママの体調が安定する時期であること
妊娠初期はホルモンバランスの変動が大きいもの。
特にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)という妊娠を継続させるためのホルモンが大量に分泌されるために、つわりの症状が強く出ることがあります。
このhCGは胎盤が完成する妊娠16週頃をピークに緩やかに減少していくため、つわりの症状が改善されて体調が良くなり、安定した気分になります。
また、流産しやすい時期を過ぎる頃でもあります。
(2)赤ちゃんの重要な器官形成が落ち着く頃であること
中枢神経系や心臓などの臓器のほとんどは、妊娠初期にほぼ形成され、この時期は特に、薬などの影響で奇形を起こす可能性があります。
しかし、妊娠16週、17週あたりになると主な器官形成期は終わり奇形の心配はほとんどないと言われています。
(3)妊娠5ヶ月の戌の日に安産祈願をする風習があること
犬は比較的出産が軽く、一度にたくさんの子を産むことから、これにあやかり戌の日に腹帯を巻いて安産祈願をする慣わしがあります。
ママの体調が落ちついて、動けるようになってから神社へ参拝します。このような理由から、安定期という概念が生まれたとされています。
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安定期の過ごし方<注意したいこと>
安定期に入り体調が良くなったからといって、必要以上の外出をしたり、激しい運動をしたり、食欲に任せて暴飲暴食をしても良いということではありません。
安定期に入っても油断は禁物です。
安定期に注意したいこと①体重のコントロール
つわりが落ち着いて食欲が出てきたママは、今まで我慢していた分、たくさん食べてしまう傾向にあります。
しかし、ここで欲求のままたくさん食べて体重が急激に増加すると、妊娠中の病気や出産時のリスクを高めてしまう原因となりますので注意が必要です。
妊娠中のリスクとしては、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群があります。血糖や血圧のコントロールがうまくできないことで、ママや赤ちゃんの命が危険にさらされることもあります。
分娩時のリスクとしては、脂肪が付きすぎたせいで産道が狭くなり難産になりやすく娩出困難、分娩遷延※(ぶんべんせんえん)、分娩停止によって帝王切開になる場合があります。
※初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上かかっても生まれないこと
それによって産後の心身の回復が順調にいかず、産後うつの引き金になることもあると言われています。
また、ママの過度の体重増加が原因で巨大児として生まれた赤ちゃんは、大人になった時の生活習慣病のリスクが高まるという研究結果もあります。
元の体重によって体重増加の目安は変わりますが、標準体重だったママは7~12kg増で出産に至ると良いとされています。
安産となるよう、栄養バランスの取れた食事を心がけて体重コントロールをしていきましょう。
安定期に注意したいこと②不用意な旅行は控えて
出産後は子育てで忙しくなりなかなかゆっくり旅行できないため、妊娠中に旅行を計画している人もいるのではないでしょうか。
安定期とはいっても、流産、早産のリスクが全くないということではありません。旅行は普段よりも体に負担がかかるため、切迫流産や切迫早産のリスクを高め、破水を起こす可能性もあります。
状況によっては、何かあった時すぐに病院を受診できないこともあります。(大自然広がる風光明媚な田舎に産婦人科はありませんよ。)思い出づくりも大切なことですが、不用意な旅行は控えた方が良いでしょう。
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安定期の過ごし方<やっておいた方が良いこと>
安定期に入り、妊娠中にやってみたいこともたくさんあるでしょう。体調を見ながら無理せず活動してくださいね。
■妊婦に適した運動
安定期に入ったら、体重コントロールや出産のための体力づくりに適度な運動は大切です。
妊娠期に適した運動として、マタニティヨガやスイミング、マタニティビクスがあります。どれも妊娠中の体に合わせたプログラムになっていますので、無理せず続けられます。
近所を散歩するのも、気軽に始められてお勧めです。産後の赤ちゃんとの散歩コースを考えながらウォーキングするのも良いですね。
運動を始める時には、妊婦健診で医師や助産師に確認すると安心です。
運動中にお腹が張る、痛い、出血があるなどの症状が出たらすぐに運動は中止し、安静にしてください。安静にしても症状がおさまらない場合は、すぐにかかりつけの産科医へ連絡しましょう。
■マタニティクラスやサークルへの参加
マタニティクラス、育児サークルなどに参加するのも良いでしょう。
妊娠中に同じ状況の妊婦さんと仲良くなることで、不安が解消できたり、産後もお互いに励ましあいながら前向きに育児ができるようになります。
■妊娠線予防のマッサージ
安定期になると、お腹もどんどん大きくなっていきます。妊娠線の予防として、保湿クリームでお腹をマッサージしながら保湿するのも良いですね。
時間のある時は足や手など他の部分もマッサージすると、リラックスできますし、血流もよくなるのでお勧めです。
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《まとめ》
一般的に妊娠5~7ヶ月くらいの時期を安定期といい、ママの体調や赤ちゃんの状態も安定し、活動的になります。
しかし、妊娠中のリスクが全くなくなるわけではありません。無理をせずにママと赤ちゃんの健康を第一に考えて、楽しいマタニティライフを送れると良いですね。
※写真提供:PIXTA
1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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