妊娠初期に起こる「悪阻(つわり)」とは?
つわりは、妊娠4週~6週ごろから14週~16週ごろまでに見られる生理現象で、吐き気や嘔吐(おうと)味覚や嗜好の変化などの症状をいいます。
全妊婦さんの8~9割が何らかの症状がでるといわれています。
■つわりの原因
つわりがなぜ起きるのか?いろいろな説があります。
この時期はちょうど赤ちゃんの臓器が作られる期間なので、赤ちゃんに影響があるような食べ物をとれないようにママの身体が防御しているとか、赤ちゃんはママにとっては別の人間なので、身体の一時的な拒否反応だとか。でもどれも定かではありません。
症状が全くない人もいれば、とても重い人もいます。また、症状もまちまちで、まれに出産まで続く場合もあります。実際わからないことが多いというのがつわりの特徴です。
■つわりの症状は?
つわりの代表的な症状は吐き気です。
急に吐き気がくることもあれば、お腹が空いている時や、特定のにおいに反応したり、朝の寝起きだったり、症状が出やすいシチュエーションや傾向がある人もいます。
吐き気だけの人もいれば、吐いてしまう人もいます。また、唾液が出て止まらない、という人もいます。常にティッシュを持っていないと困る、寝ている時も唾液が止まらなくて辛い、という人も。
食べられるものが偏るのも、つわりの時期によくあることです。酸っぱいものばかり食べたくなったり、白米を全く受けつけなくなったり、今までの食べ物の好みが変わります。とにかく眠い、いつも熱っぽい、だるいなど不調を感じる人もいます。
どの症状も、妊娠初期が終わる15週前後で落ち着いてくると感じる人が多いようです。
症状別!つわりが軽減する対策法
少しでもつわりの時期を楽に乗り切りたい!つわりの症状を乗り越えてきたママから聞いた工夫を紹介します。個々で症状もさまざま、楽になった方法もいろいろなので、まだ試していなかったら参考にしてみてくださいね。
吐きづわり
赤ちゃんへの栄養のために頑張って食べようとするママもいますが、この時期赤ちゃんに必要な栄養は、ママの備蓄分で十分と言われています。症状がつらい時は、無理に食べようとせず、食べられるものを食べられる時に摂りましょう。
妊娠初期は、ホルモンの影響で胃腸の動きが悪くなっているので、刺激のあるカフェインは、症状が重くなることもあります。
また、カフェインは、おなかの赤ちゃんへの影響について確定的ではありませんが、あまり積極的に摂り入れることはしない方が良いとされています。
身体のミネラルが不足していると症状も強くなりやすいので、ノンカフェインでミネラルが豊富な麦茶やルイボスティーが口当たりが良くおすすめです。水分を摂るだけで吐いてしまう人は、経口補水液などを少量ずつ飲んだり、凍らせて舐めたりしてもいいでしょう。
つわりの時期におすすめの食材は、バナナです。妊娠期に必要なビタミンとタンパク質、糖質が効率よく摂取できます。
また、温かい食事だとにおいがあり吐き気を催す人もいます。冷たいものや、出来合いのお惣菜を試してみるのも良いでしょう。料理をするのも吐き気を促す原因になりますので、この時期は無理せずに家族や家事サポートに頼りましょう。
空腹になると吐き気が出る食べづわり
血糖値が低くなる朝方になりやすいので、枕元にちょっと口に入れられる手ごろなクラッカーや飴などを置いておくと良いでしょう。食べる量や内容によっては、カロリーオーバーになってしまうので食べる物には注意が必要です。
間食で気軽に摂取できるものとして、ナッツ類があります。特にくるみは妊娠期に摂ると良いとされているEPAやDHAの総称であるオメガ3脂肪酸という栄養が豊富な食材でおすすめです。
少量でも満足感を得られ、赤ちゃんの器官形成に良いとされています。
また、産後うつを予防すると一部研究結果も出ているようです。まだ確定的ではありませんが、食べてデメリットのあるものではありません。
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唾液が出て止まらない
唾液が常に出て止まらないという症状がある人は、対処法に悩みますね。氷を舐めると楽になったり、ガムを噛むと落ち着くというママもいます。
寝る時は枕に厚めのタオルを敷いたり、外出の時はガーゼを口に挟んでその上からマスクをする方法もあります。唾液のことに意識がいかないように、何か楽しいことや集中できることで気がまぎれ、症状が落ち着く人もいるようです。
つわりが重症化すると陥る「妊娠悪阻(おそ)」
つわりの重症型である「妊娠悪阻」は、明確な線引きはありませんが、尿検査や体重の減少幅が大きかったり、おしっこが出ないなど脱水の状況が重かったり、まれに肝臓や腎臓の機能が低下する人もいます。また、時に入院が必要とされる人もいます。
■水分、電解質のバランス、ビタミンを補う点滴治療
何も口にできない場合には、水分と電解質、ビタミンを補うための点滴をします。通院で点滴治療をするママもいれば、カロリー消費を少なくするため入院をして安静に過ごしながら点滴治療をする人もいます。
つわりの症状がひどくて辛い時には、辛抱せずにかかりつけの産科医や助産師に相談しましょう。
《まとめ》
妊婦さんの多くが何らかの形で経験するつわり。様々な辛い症状は、妊娠初期を過ぎると楽になったと感じる方が多いです。
無理せず、休める時に休み、食べられる時に食べられるものを食べるなどして、妊娠で変化する自分の体を大切に労りながら、心に余裕を持って過ごせると良いですね。
※写真提供:PIXTA
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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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