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2024.04.02
妊婦は牡蠣を食べられる?フライはOK?生牡蠣を食べた時の対処法
妊娠中の食事では、気を付けたい食材がたくさんあります。牡蠣は食中毒になりやすいイメージがあり、食べない方がよいと思っている妊婦さんも多いはず。この記事は、妊娠中に牡蠣を食べるのは大丈夫かどうか解説します。また食べる時の注意点、おすすめの食べ方などについてお伝えします。
目次
妊娠中に牡蠣を食べてもO K
妊娠中に牡蠣を食べることに問題ありません。牡蠣には、妊婦さんやお腹の赤ちゃんの健康のために必要な栄養が、豊富に含まれています。
多くの妊婦さんが、推奨されている栄養摂取量に足りていないとも言われています。具体的にはビタミン類、カルシウム、マグネシウム、葉酸、亜鉛、鉄分などの栄養素が不足しがちです。
牡蠣には葉酸や鉄分、亜鉛などが豊富に含まれているので、妊婦さんにおすすめの食材のひとつといえます。
牡蠣に含まれている栄養素
牡蠣は「海のミルク」とも呼ばれており、葉酸、鉄分、亜鉛、タウリンなどの栄養素が豊富に含まれています。このように多くの栄養素が一度に摂れる牡蠣は、妊婦さんにとって嬉しい食材ですね。
葉酸
葉酸は、胎児の神経管の形成に関係するといわれています。特に、妊娠を望む女性や妊娠の可能性がある女性、妊娠初期にはとても重要な栄養素です。
葉酸は胎児の成長に欠かせない栄養素で、胎児の神経管閉鎖障害や先天性異常を起こすリスクを減らすことが明らかになっています。
厚生労働省でも、「妊娠中は食事以外で1日400μgの葉酸の摂取」が推奨されています。しかし葉酸は水溶性のビタミンなので、体に留めておくことが難しい栄養素です。そのため、意識して毎日積極的に摂取する必要があります。葉酸は血液を作るために必要で、赤ちゃんの健やかな成長のためにも欠かせません。
鉄分
妊娠中は血液量が増加するため、貧血になる妊婦さんが多いです。鉄分は、出産時の出血や産後の授乳に備えて蓄えておきたい栄養素。妊娠後期は特に、積極的に摂取する必要があります。
牡蠣に含まれている鉄分は、体内に吸収されやすいヘム鉄ですので、効率よく鉄分を摂取できます。
亜鉛
亜鉛は、あまり馴染みのない栄養素かもしれませんが、妊娠中は妊娠前より付加して摂取することが推奨されています。赤ちゃんの発育に重要な役割を担っており、亜鉛が不足していると、低身長や低体重などのリスクがあると言われています。
また免疫力を高める効果もあるので、妊婦さんの身体によい栄養素です。牡蠣は魚介類の中でも、亜鉛の含有量がトップクラスと言われています。
タウリン
タウリンと聞くと、栄養ドリンクに含まれるイメージがあるでしょう。タウリンはアミノ酸の一種で、お腹の赤ちゃんの脳や神経が正常に発達するサポートをします。また網膜の機能にも関係しており、赤ちゃんの発育に欠かせない大切な栄養素のひとつです。
お腹の赤ちゃんや新生児は、自分でタウリンを作り出す能力が弱いことがわかっています。胎盤や母乳を通じて赤ちゃんへと届けられるので、妊婦さんはタウリンを摂取する必要があります。また滋養強壮や動脈硬化予防の効果があるので、妊婦さんにとって大切な栄養素です。
おすすめ情報
妊娠中に牡蠣を食べるときの注意点
牡蠣には、妊娠中に嬉しい栄養素が豊富に含まれていることをお伝えしました。しかし、食べ方には注意しておきたいことがあります。
加熱処理が必須!牡蠣フライも注意して
妊娠中は免疫力が低下していることが多いので、ウイルスや細菌などに感染しやすくなっています。食中毒の原因となるノロウイルスは、加熱処理により死滅することが知られています。体調に問題がない場合でも、妊娠中に生牡蠣は食べないことをおすすめします。
牡蠣フライは火が通っているように思えますが、中までしっかりと加熱されていない場合もあり、内部は、半生のこともあります。フォークで中心部まで刺してみて、フォークが熱くなるか確認してみることをおすすめします。もしくは断面を見て、半透明の身がしっかり白くなっているのかをチェックするとよいでしょう。
また妊娠中は、飲食店で牡蠣フライを食べるのは控えておくのが安心。食べる機会がある場合は、しっかり火の通り具合を確認しましょう。
食べ過ぎない
どの食材にも言えることですが、栄養豊富な牡蠣であっても、食べ過ぎてしまうのはよくありません。食べ過ぎると、牡蠣内部のプランクトンに含まれている「貝毒」の摂りすぎになります。目安は5個程度まで。食べ放題や牡蠣小屋などは食べ過ぎにつながるため、控えておきましょう。
牡蠣だけで栄養を摂ろうとはせず、野菜、肉類、乳製品など様々な食材から、バランスよく栄養を摂取するように心がけましょう。
安全な牡蠣を選ぶ
牡蠣は二枚貝の一種です。二枚貝には、「貝毒」という自然毒を持ち、食中毒の原因となることがあります。
貝毒には、「下痢性」と「麻痺性」があります。下痢性は、腹痛や下痢の症状がみられます。麻痺性には、しびれなどの症状があり、重症化すると命の危険もあります。貝毒はノロウイルスなどとは異なり、加熱処理の効果がありません。
スーパーなどで売られている牡蠣は、法律で定められた厳しい安全基準をクリアしています。免疫力が低下している妊娠中は、信頼できるお店で購入しましょう。
妊娠中に生牡蠣を食べてしまったらどうする?
妊娠中に、生牡蠣を食べてしまうことがあるかもしれません。もちろん全ての牡蠣にウイルスが含まれているわけではなく、食べても特に体調変化がないケースもあります。
もしノロウイルスに感染していれば、食べた後24〜48時間程度で症状が現れ始めます。症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などがあります。
生牡蠣を食べた後、数日間は体調に注意をしながら過ごしましょう。できれば、安静にゆっくりと過ごすとよいでしょう。万が一身体に変わったことがあれば、すぐにかかりつけ医を受診できるように準備をしておきましょう。
ノロウイルスは感染力が強いので、他の人に感染を広げないような注意も重要。病院を受診する前には、牡蠣を食べたことをあらかじめ伝えておくとよいでしょう。
妊娠中に牡蠣に当たったときの対処法
牡蠣に当たると、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐などの症状がみられます。お腹の赤ちゃんへの影響が心配ですが、ママの食中毒が胎児へ直接影響するか詳しくは分かっていません。
しかし激しい下痢や腹痛が続くと、子宮収縮がみられるケースがあります。子宮収縮が続くことで、切迫流産や切迫早産になるリスクが高くなる場合もあります。
また下痢や嘔吐症状が続くと、脱水症状になることも。吐き気がおさまってきたら、少しずつでよいので経口補水液などで水分を摂りましょう。下痢や嘔吐などの症状があると、体力を消耗してしまいます。安静にして過ごしましょう。
それから、自己判断で吐き気止めや下痢止めを内服してはいけません。かかりつけ医の適切な処置を受け、早い回復に努めましょう。
妊婦さんにおすすめの牡蠣の食べ方
栄養をたっぷりと摂ることができる牡蠣。ノロウイルスは、85~90℃で90秒以上加熱することで死滅します。妊婦さんは、必ず加熱された牡蠣を食べるようにしましょう。妊娠中におすすめの食べ方をいくつか紹介します。
鍋料理
鍋は高温で調理するため、中心部まで火が通りやすく、妊娠中におすすめです。体が温まり、たくさんの野菜も一緒に摂ることができます。また鍋料理といっても、味は色々ありますよね。バリエーションが豊かで飽きずに食べられるのも嬉しいポイントです。
スープ
鍋料理と同じく、スープも中心部まで火が通りやすいので安心できます。またスープにすることで、溶け出した栄養素も一緒に摂取できるのでよいですね。スープは満足感も得られやすく、妊婦さんにおすすめの一品。牛乳や豆乳を入れる、中華風、和風、韓国風、カレー風味などアレンジの幅も広がります。
牡蠣ごはん
炊飯器は高温で炊くので、火の通りに心配することがありません。牡蠣のうまみがたっぷりで、冬の時期にも丁度よいです。にんじん・ごぼう、きのこ類などの野菜や、生姜と一緒に炊き込みご飯にすると、豪華で食卓も豊かになりますね。
その他にもアヒージョや蒸し牡蠣、パスタなど、牡蠣の調理法はさまざま。好みの食べ方を試してみてください。
《まとめ》
栄養が豊富に含まれている牡蠣は、妊婦さんにとって嬉しい食材のひとつ。「加熱されたものを食べる」「市販のものを食べる」「食べ過ぎない」という3つを注意すれば、妊婦さんにもお腹の赤ちゃんにも心強い食材となってくれます。
※写真提供:PIXTA
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ママのお悩みの声
国立福山病院附属看護学校卒業後、看護師として勤務。
第二子出産後、岡山大学医療技術短期大学部専攻科助産学特別専攻に進学し、助産師免許取得。
大学の非常勤講師、産婦人科病院、不妊治療専門クリニックなどで勤務。
現在は助産院勤務しながら、自身の出張・オンライン専門のすまいる助産院を開業中。産前産後の身体と心をサポートしてます。
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