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2023.11.27
【医師監修】妊婦は温泉に入ってOK?いつなら大丈夫?おすすめ泉質と注意点
妊娠中も、温泉でゆっくりのんびりしたいと思う時があるでしょう。しかし温泉に入ることで、お腹の赤ちゃんに何か影響がないのか気になりますよね。この記事では、妊娠中の身体と温泉について学んでいきましょう。温泉に入ることのメリットとリスク、入る場合の注意点を底解説していきます。
目次
妊婦さんは温泉に入ってもいい?
妊娠中はマイナートラブルに悩まされることもあり、気持ちが不安定になりやすいもの。温泉でゆっくりできると、気持ちもすっきりしてリラックスするかもしれません。まず、妊娠中に温泉に入っていいのかどうか説明します。
昔は妊娠中の温泉は禁忌
昔は環境省の定める温泉法により、「妊娠中(特に初期と末期)の温泉が禁忌」とされていました。しかしこれには明確な根拠がないとして、2014年に改訂。禁忌ではなくなりました。今は、妊婦さんも温泉に入ることができます。
今は妊娠中の温泉はOK
現在では、妊娠中に温泉に入っても大丈夫。比較的体調が安定している、妊娠中期がおすすめです。胎盤も完成して、動きやすい妊婦さんが多い時期でしょう。
妊娠初期・後期の温泉は避けた方がいい
できれば温泉を避けた方が良い時期は、妊娠初期と後期です。
妊娠初期
妊娠初期は流産する可能性が高い時期なので、刺激になる泉質の温泉は控えましょう。また妊娠初期は、つわりや出血など、体調が不安定な時期です。温泉の湯気で、気分が悪くなることもあるでしょう。血圧の変動や出血の心配もあるため、できれば胎盤が完成する妊娠16週以降に、温泉の利用をおすすめします。
妊娠後期
妊娠後期は、かなりお腹が大きくなっている時期です。身体全体でバランスがとりづらく、足元が見えにくいでしょう。さらにお湯で滑りやすく、転倒する危険性もあります。
また妊娠後期は、動悸や息切れ、胃もたれなど、様々なマイナートラブルが起こる時期でもあります。正期産の時期に入ると、破水の可能性も高まります。いつお産が始まってもいいように、安全な生活を心がける必要があるでしょう。
おすすめ情報
泉質による違い
妊婦さんにおすすめできる泉質と、そうでない泉質をそれぞれ紹介します。
妊婦さんにおすすめの泉質
妊婦さんにおすすめの泉質は、「単純泉」です。単純泉とは、温泉に含まれる成分が一定量に達していないものを指します。つまり比較的、効能成分が薄く身体への刺激が少ないので、アトピー患者や高齢者、妊婦さんにもおすすめなのです。
妊娠中は注意したい泉質
妊娠中に注意したい泉質は、以下の通りです。
・酸性の温泉
・アルカリ性の温泉
・硫黄泉
・ラジウム温泉
それぞれ詳しく見ていきましょう。
■酸性の温泉
殺菌作用が強い酸性の温泉は、肌の古い角質を取り除く役割をします。そのため、肌がデリケートな妊婦さんには適していません。肌トラブルが多い人は特に、酸性の温泉は避けましょう。
■アルカリ性の温泉
アルカリ性の温泉は、他の泉質よりお湯がぬるぬるしています。ぬるぬるした泉質が悪いわけではありませんが、お湯のせいで床が滑りやすくなり、転倒事故の可能性が高まるためです。お腹が膨らんでくると特に足元が見えづらいため、注意しましょう。
■硫黄泉
卵が腐ったような、独特な匂いがあります。気分が悪くなることがあるかもしれません。お湯も濁っていて足元が見えず、転倒の危険性もあります。
■ラジウム温泉
肌に直接ピリピリするような刺激を感じることがあります。肌が敏感な方は、ピリピリするラジウム温泉は避けたほうがよいでしょう。またラジウム泉は放射能泉ですが、温泉に含まれる放射能量はごく微量です。お腹の赤ちゃんへの影響はないとされていますが、心配な人は控えたほうがいいでしょう。
妊婦が温泉に入るメリット
妊娠中は、様々なマイナートラブルに悩まされるもの。そんなマイナートラブル解消に、温泉が効果的なケースもあります。妊婦さんが温泉に入るメリットを紹介します。
リラックス効果
妊娠中はホルモンバランスの変化により、様々な不調をきたします。メンタルが不安定になりがちな妊娠中、温泉に浸かることでリラックス効果を得られるでしょう。
冷え性の解消
妊娠中は、血流が悪くなってしまいます。特に妊娠後期は、増大した子宮によって血流が悪くなって冷え症に陥りがちです。温泉にゆっくり浸かることで副交感神経が刺激され、身体があたたまり、冷え性の改善につながります。
肩こり・腰痛の緩和
妊婦さんは姿勢や重心の変化により、肩こりや腰痛が出現します。温泉は肩こりや腰痛の緩和にいいでしょう。
思い出づくり
赤ちゃんが生まれると、毎日の育児に追われて、温泉どころではなくなってしまいます。出産前の思い出づくりとして、温泉を楽しむといいかもしれません。
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妊婦さんが温泉に入るときの注意点
妊婦さんが温泉に入る時は、十分な注意が必要です。
1. 転倒に注意する
温泉の中だけではなく、脱衣所の床も濡れていて滑りやすくなっていますので、注意しましょう。身体をしっかり拭いてから、脱衣所に出ることをおすすめします。
2. サウナ・水風呂は厳禁
熱いお湯やサウナ、水風呂など、温度が極端に変わるところに入ると、血圧が急激に変動します。血圧が急激に変動すると、身体に負担がかかりますので注意しましょう。
3. 空腹時、満腹時は避ける
空腹時は立ち眩みを起こしやすく、また満腹時は消化不良で気分が悪くなりがちです。食後30分以上経ってからが、いいタイミングです。
4. 短時間で入浴を
妊娠中の長風呂は、いつも以上にのぼせやすくなります。できれば10分以内で、入浴を終了しましょう。のぼせによる眩暈で転倒する可能性がありますので、十分に注意してください。
5. ひとりで入浴しない
妊婦さんひとりで入ると、気分不良や出血、破水など、何かあった時に発見が遅くなってしまいます。必ず友人や家族と一緒に入浴しましょう。
6. 水分補給をこまめに
温泉に入ると、身体の水分が失われてしまいます。妊娠中は、いつも以上に身体が水分必要とします。入浴前に、コップ1~2杯の水を飲んでおきましょう。
7. 近場にする
できるだけ近場の温泉が理想です。遠くても、車で2時間以内に帰って来られる場所にしましょう。
温泉にまつわるよくある疑問
妊婦さんの温泉について、よくある疑問に答えていきます。
Q. 妊娠中の温泉旅行はダメ?
- 妊娠中は何があるかわかりません。経過に異常がなかったとしても、妊娠中の旅行は避けた方が無難です。帰省をともなう旅行など、どうしても必要な時以外は、旅行は控えるようにしましょう。
Q. 温泉卵は食べても大丈夫?
- 温泉卵といっても、固めからとろとろまで様々あります。固ゆで卵とは違い、しっかり細菌が死滅しているかわかりません。なかでもサルモネラ菌は、生の卵に発生します。感染した場合は激しい嘔吐、頭痛、発熱、腹痛などの症状が見られます。食べないほうが安心ですが、もしも食べる時は、購入したらすぐに食べ終えましょう。
Q. 妊婦さんのサウナはNG?
- 妊娠中のサウナはNGです。急に熱い場所に入ると、血圧が変動します。身体に負担がかかり、気分不良になったり脱水を超す原因にもなりますので、サウナはやめましょう。
《まとめ》
妊娠中に温泉に入ること自体は問題ありませんが、注意すべき点が多くあります。しかしリラックス効果やマイナートラブル緩和など、メリットもあるでしょう。温泉に行くときは必ず誰かと一緒に、しっかり準備をして楽しむと安心ですね。
※写真提供:PIXTA
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ママのお悩みの声
1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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