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2023.05.17

「妊娠糖尿病」になりやすい妊婦とは?【医師】原因・胎児への影響

「妊娠糖尿病」とは妊娠合併症で、妊婦さんが気をつけたい病気の一つです。糖尿病は知っていても、妊娠糖尿病とはどのような病気で、胎児にどう影響するのか知っている人は少ないかもしれません。ここでは妊娠糖尿病になりやすい人の特徴やその原因、胎児への影響について産科医が解説していきます。

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「妊娠糖尿病」とは?症状と原因

妊娠糖尿病

 

「妊娠糖尿病」とはその名の通り、妊婦さんの糖代謝異常の病気です。通常は妊娠しても血糖値は正常に保たれますが、妊娠糖尿病になると血糖値が高くなり、血糖コントロールがうまくいかなくなります。

 

妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病は、正確にいうと3つに分類されます。

 

妊娠糖尿病

妊娠中に糖代謝異常を指摘された場合

糖尿病合併妊娠

もともと糖尿病を発症している人が妊娠した場合

妊娠中の明らかな糖尿病

重度の糖代謝異常があり、妊娠前から糖尿病であった可能性が高い場合

 

妊娠糖尿病は比較的妊婦さんに起こりやすい合併症であり、全妊婦のおおよそ12%が罹患するといわれています。

 

妊娠糖尿病の原因

血糖をコントロールするホルモンに、インスリンがあります。インスリンは通常、血糖値を下げる働きをしています。しかし妊娠すると胎児に多くのエネルギーを送るために、インスリンの効きを悪くするホルモンが胎盤から分泌されます。これをインスリン抵抗性といいます。つまり妊娠中のママは、血糖値自体が上がりやすいといえます。

 

ところがインスリン抵抗性が必要以上に高くなり、インスリンが血糖値を抑えられずに、母体や胎児に影響を及ぼす状態を妊娠糖尿病といいます。

妊娠が原因で起こる合併症なので、ほとんどの場合は出産すると血糖値が元の状態に戻ります。

 

妊娠糖尿病の検査・診断基準

妊娠中の血糖検査とブドウ糖負荷試験によって、妊娠糖尿病の診断を行います。

 

血液検査

血液検査には、随時血糖検査空腹時血糖検査があります。これらは妊娠糖尿病の判断材料となります。医師の判断でいずれか、もしくは両方の検査を、妊娠初期と中期に行います。空腹時血糖検査は、朝食または昼食を摂らずに来院し、採血を行います。

 

ブドウ糖負荷検査

妊娠糖尿病が疑われる人を、スクリーニングするための検査です。随時血糖値や空腹時血糖値が基準を上回った場合、75gブドウ糖負荷試験を行います。75gブドウ糖負荷検査は、妊娠糖尿病の確定診断のための検査となります。

病院で用意される、ブドウ糖入りのサイダーのようなものを飲んで、その前後の血糖値の変化を調べる検査です。

 

◇空腹時血糖:92㎎/dl以上

◇1時間値血糖:180㎎/dl以上

◇2時間値血糖:153㎎/dl以上

 

これらのうち、1つ以上を満たすものを妊娠糖尿病とします。

 

診断基準

基本的には、通常の血液検査とブドウ糖負荷検査の2段階方式で、妊娠糖尿病の診断を行います。しかし明らかに血糖値が高く、検査をしなくても糖尿病が疑われる場合は診断がつくこともあります。

 

随時血糖検査

血糖値200㎎/dl以上

空腹時血糖値

血糖値92㎎/dl以上

ブドウ糖負荷テスト(1時間後)

血糖値180㎎/dl以上

ブドウ糖負荷テスト(2時間後)

血糖値153㎎/dl以上

 

上記の値が1つでも当てはまると、妊娠糖尿病あるいは、妊娠中の明らかな糖尿病として診断がつきます。

 

妊娠糖尿病の症状

ほとんどが無自覚で、無症状です。そのため血糖検査や、50gグルコースチャレンジテストでスクリーニングに引っかかり、75gブドウ糖負荷検査によって妊娠糖尿病と診断されるママがほとんどでしょう。

自覚症状がないからこそ、ママとお腹の赤ちゃんへの影響がとても心配される病気です。妊婦健診をしっかりと受けていれば、妊娠糖尿病は早期発見できます。妊婦健診は必ず受けるようにしましょう。

 

 

妊娠糖尿病になりやすい人の特徴

妊娠糖尿病になりやすい人

 

妊娠すると血糖値が上がりやすくなるため、誰しも妊娠糖尿病になるリスクがあります。しかし、それ以上に妊娠糖尿病になりやすい人がいますので、その特徴を以下に挙げます。

 

【妊娠糖尿病になりやすい人の特徴】

・非妊娠時のBMIが25以上の人

・妊娠して急激に体重増加した人

・35歳以上の人

・家族(兄弟や両親や祖父母)に糖尿病患者がいる人

・自分が巨大児として生まれた人

・妊娠高血圧症候群に罹患中、もしくはその既往がある人

・原因不明の流産・早産・死産を経験した人

・先天性奇形児の分娩歴がある人

 

当てはまると必ずしも妊娠糖尿病になるわけではありませんが、リスクが高いと考えておく必要があります。

 

 

妊娠糖尿病による母体や胎児への影響

妊娠糖尿病になり、適切な治療を行わずにいると、母体や胎児に様々な影響を及ぼします。かかりつけの産科医の指導のもと、必ず治療を受けましょう。では、具体的に母体と胎児それぞれへの影響を見ていきましょう。

 

母体への影響

母体への影響には、以下のようなものが挙げられます。

 

・流産、早産

・妊娠高血圧症候群

・羊水過多

・膀胱炎、腎盂腎炎などの感染症

・血管障害

・網膜症

・脱水症状、意識障害、昏睡、ショック症状を引き起こすケトアシドーシス

 

胎児・新生児への影響

胎児への影響には、以下のようなものが挙げられます。

 

・子宮内胎児死亡

・新生児低血糖

・新生児高ビリルビン血症

・低カルシウム血症

・新生児呼吸窮迫症候群

・巨大児

 

妊娠糖尿病は比較的、血糖コントロールがうまくいきやすいです。早期発見・早期治療を行えば、このような合併症を防ぐことが可能です。

 

 

妊娠糖尿病の治療&食事管理

妊娠糖尿病の食事療法

 

妊娠糖尿病の治療には、食事療法・運動療法・薬物療法があります。

 

食事療法

妊娠糖尿病には、食事療法が基本です。カロリーと栄養バランスをしっかり考えた食事を心がけましょう。

 

1日に必要なカロリー摂取量を知る

まず、自分に必要なカロリーを知ることが大切です。妊娠中に必要な1日の摂取エネルギー量(kcal)=①標準体重(㎏)×②身体活動量+③付加量(kcal)で割り出すことができます。

 

① 標準体重

身長から導き出される理想的な体重のこと。標準体重(㎏)=身長(m)×身長(m)×22 で求められます。

 

②身体活動量

1日の活動量を数字で表したもの。自分の活動量に合った数字を入れて計算しましょう。

 

やや低い(デスクワークが主)

25~30(kcal/kg標準体重)

適度(立ち仕事が多い職業)

30~35(kcal/kg標準体重)

高い(力仕事が多い仕事)

35~(kcal/kg標準体重)

 

③付加量

妊娠中は赤ちゃんに栄養を送るため、非妊娠時よりも摂取すべきカロリーが増えます。妊娠時期により付加量が変わるので、自分の週数にあった付加量を入れましょう。

 

妊娠初期(妊娠16週未満)

+50kcal

妊娠中期(妊娠16~28週未満)

+250kcal

妊娠後期(妊娠28週以降)

+450kcal

 

これら①②③を計算式に当てはめて、自分にはどのくらいのカロリーが必要になるか考えてみましょう。

 

バランスよく食べる

1日の摂取カロリーのうち、炭水化物が50~60%、タンパク質が20%以下、脂質が20~30%が理想です。主食、主菜、副菜を組み合わせ、さらに牛乳などの乳製品、果物を取り入れると、自然とバランスよく食べる事ができます。

 

3食規則正しく食事をとる

妊娠糖尿病では、正しく血糖コントロールすることが重要です。

食事の間隔が空きすぎると、次の食事を摂ったときに血糖値が急上昇してしまいます。逆に間隔が短すぎても、血糖値が高い状態が続くので避けましょう。1日3食をできるだけ同じ時間帯に食べるようにしてください。

 

食物繊維を積極的に摂取する

食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする作用があります。最初に食物繊維を含む野菜から食べると、その後食べたものの糖の吸収も緩やかにしてくれます。食物繊維は、野菜、海藻、キノコなどに多く含まれます。

 

GI値の低い食材を食べる

GIとは、食後血糖値の上昇度を表す指標で、食材を選ぶ際に大事です。低GI値のものを食べることで、血糖値の急上昇を防いでくれます。

 

高GI食品(GI値70以上)

食パン、コーンフレーク、精白米、上白糖、キャンディー、チョコレートなど

中GI値(GI値56~60)

パスタ、かぼちゃ、長芋、カステラ、アイス、パン粉、薄力粉など

低GI値(GI値55以下)

玄米、ライ麦パン、豆腐、さつまいも、卵、フルーツ、ヨーグルトなど

 

もしおやつを食べるときは、高GI値のものではなく、ナッツ、さつまいも、フルーツなどの低GI値のものを選びましょう。ただし最近のフルーツはカロリーが高いものが多いので、食べ過ぎには注意しましょう。

 

運動療法

妊娠糖尿病の運動療法は、必ずかかりつけ医の指示のもとで行う必要があります。運動するときは必ず、以下のことに注意しましょう。

 

・ウォーキング、水泳、ヨガなど有酸素運動を取り入れる

・食後30分を避けて、食後1~2時間以内に始める

・1日の運動時間は30分程度で、1週間に3~4回程度とする

・脈拍が140回/分を超えないようにする

・適度に水分補給を行う

・薬物療法を行っているときは、低血糖にならないようにブドウ糖やジュースなどを携帯する

・必ず母子手帳を携帯する

 

薬物療法

基本は、食事療法と運動療法で治療を行います。しかしそれでも血糖コントロールが悪く、母体や胎児に影響を及ぼす可能性がある場合は、インスリン皮下注射を行います。

インスリンは胎盤を通過しないため、胎児が低血糖になる心配はありません。最も確実に、そして安全に血糖コントロールができる治療法です。

 

 

妊娠糖尿病は早期発見が大切

妊娠糖尿病は早期発見し、適切に治療すれば、合併症が起こることは少ないといわれています。妊婦健診で血糖検査を行うので、妊婦健診は必ず受けるようにしましょう。妊娠糖尿病は、妊娠が原因で起こる糖代謝異常であるため、出産すれば自然と血糖が元に戻ることの方が多いです。

ただし一度妊娠糖尿病になると、20~30年後の将来、診断されていない人に比べて約7倍も糖尿病になりやすいといわれています。出産したから安心ではなく、産後も定期的に健康診断を受けるようにしてください。

 

 

《まとめ》

 

妊娠糖尿病の発症に気づかず、高血糖の状態に長期間さらされると、母体も胎児も悪影響を受けます。出産にも影響するため、早期発見が重要となります。もしも妊娠糖尿病と診断されても、早期に適切な治療を行えば、母体や胎児への影響は少ないでしょう。そして将来のためにも、規則正しい食生活・運動を心がけてくださいね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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ママのお悩みの声

妊娠糖尿病になると喉が渇く?

高齢出産で妊娠糖尿病になってしまいました…

         

1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任

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