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2023.01.01
【助産師】妊婦は蟹を食べていい?胎児への影響・安全な食べ方
「妊娠中はお刺身などの生魚を食べてはいけない」と、ほとんどのママは知っているでしょう。では妊婦さんが蟹・蟹みそを食べると、赤ちゃんに影響するのでしょうか?今回は、妊婦さんが蟹を食べることの是非を考えていきましょう。蟹の安全な食べ方と、注意するポイントについても助産師がお伝えします。
目次
妊婦は蟹(カニ)を食べてもいい?
妊婦さんは蟹(カニ)を食べても、特に問題はありません。蟹には水銀、カドミウムが多少含まれますが、普通に食べただけでは、妊婦さんや赤ちゃんには特に問題のない量です。
蟹にはタンパク質、亜鉛、銅、葉酸、ビタミンEなど栄養素がたくさん含まれています。むしろ赤ちゃんの成長にはおすすめの食材でしょう。蟹アレルギーがなければ、食べても大丈夫です。
妊婦が蟹を食べるなら!免疫力の低下に注意
ここで、妊婦さんの免疫について学びましょう。
妊娠すると、免疫細胞が赤ちゃんを異物として認識し、攻撃してしまう可能性があります。そのため妊婦さんの体は免疫機能を低下させ、赤ちゃんを異物と認識しないようにします。この働きによって、妊娠中は様々なウイルスに感染しやすくなるのです。
蟹を含む魚介類には、リステリア菌と腸炎ビブリオという細菌が存在。免疫力が低下している妊婦さんが口にすると、感染してしまう可能性があります。もし蟹を食べるなら、細菌に感染しないように、生や半生ではなく必ずしっかりと火を通してください。
蟹みそはおすすめできない
蟹の肝臓にあたる蟹みそは、妊婦さんにはあまりおすすめしません。濃厚な味わいが特徴で好まれますが、蟹みそはコレステロールが高く、脂質の過剰摂取になる可能性があります。
また肝臓は、有害物質を分解する場所でもあります。その部分を大量に食べてしまうと、カドミウムなど有害物質の摂取につながります。カドミウムを大量に摂るとカドミウム中毒となり、腹痛や下痢、悪寒や発熱を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。蟹のビュッフェや食べ放題では、食べる量を蟹の身1杯(300~500g)程度までに抑えましょう。
妊婦が蟹を食べると胎児がアレルギーになる?
蟹はアレルギーの特定原材料等に指定されています。「妊娠中に蟹を食べると赤ちゃんがアレルギーになるのでは?」と、心配するかもしれません。しかし厚生労働省は、妊婦さんが蟹を食べたことで子どもが蟹アレルギーになる、十分な根拠を示すものはないと発表しています。
妊婦は必ず蟹をしっかり加熱して
免疫力が低下している妊婦さんが、十分に加熱していない蟹を食べると、リステリア菌などの細菌に感染してしまうことも。リステリア菌に感染すると、流産や早産を引き起こす可能性があり、赤ちゃんにとって非常に危険です。ただしこれは、蟹をしっかり加熱することで防げます。
不適切な食べ方では、赤ちゃんに影響を及ぼすことがあります。しかし正しい食べ方をすれば問題ありませんので、あまり神経質になる必要はないでしょう。
おすすめ情報
妊娠中に蟹を安全に食べる方法
妊婦さんが安心して蟹を食べるための方法を、紹介していきます。
安全な食べ方1. 食中毒対策をする
妊婦さんが蟹を食べる時、一番気をつけなければならないのが食中毒です。食中毒を引き起こすと、ママにも赤ちゃんにも影響を及ぼすことがあります。食中毒にならないようにしっかりと対策を取りましょう。
蟹で食中毒を起こさないためにやること
◆蟹は買ってきたらすぐに、冷蔵庫もしくは冷凍庫に入れる
◆魚介類を使用した調理器具は、使い終わったら洗剤で洗い、熱湯消毒する
◆蟹は中心部まで加熱する(腸炎ビブリオは60℃で10分以上、リステリア菌は75℃で1分以上の加熱で死滅)
◆賞味期限内に食べる(一度開封した後は早めに食べる)
◆料理前後は手洗いをする
これらは食材に関わらず、食中毒対策の基本です。妊娠中は抵抗力が落ちているので、特に感染対策に気を配りましょう。
安全な食べ方2. 妊婦には蟹鍋がおすすめ
妊婦さんが美味しく安全に蟹を食べるためには、蟹鍋が一番おすすめです。蟹鍋では冷凍した蟹をそのまま鍋の中に入れて加熱するため、安心して食べられます。蟹だけでなく、たくさんの野菜も同時に摂れて、栄養面が偏る心配もありません。出汁がきいてとても美味しく、寒くなる時期にはおすすめです。
《まとめ》
蟹には栄養素が豊富に含まれており、食べ過ぎなければおすすめの食材です。ただし妊娠中は免疫が低下しているため、リステリア菌や腸炎ビブリオなどの細菌感染を引き起こす可能性があります。調理するときには十分注意してください。妊婦さんが蟹を食べる時には、十分に中まで加熱をして、食中毒対策を徹底しましょう。
※写真提供:PIXTA
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監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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