フォローアップミルクとは必要?正しい飲ませ方

フォローアップミルクとはどのようなものでしょうか。ここでは、フォローアップミルクの必要性や、粉ミルクとの違いなどについて解説していきます。
「フォローアップミルク」と「粉ミルク」の違いとは
新生児期から赤ちゃんが飲む「粉ミルク」は、「育児用ミルク」とも呼ばれています。この育児用ミルクは、母乳の代替品として使う完全栄養食品のことです。
これに対して「フォローアップミルク」とは、離乳食が始まった頃から栄養素やエネルギーを補充するために作られた、栄養サポート補助食品。牛乳の代替品のような位置づけになります。
牛乳だけでは摂り切れないマグネシウム、鉄、ビタミン類が加えられています。また牛乳よりもタンパク質量を抑えているので、消化吸収がよく、牛乳が飲めるようになる前の時期から飲ませられることが特徴です。
フォローアップミルクの必要性
テレビやインターネットの情報は商業的広告が多く、育児用ミルクの次に必ずフォローアップミルクを使わなければならないと思う人もいるかもしれません。
しかし、1990年に日本小児栄養消化器病学会の乳児栄養委員会は、フォローアップミルクは我が国では必ず用いる製品ではないとしています。
また2019年の厚生労働省『授乳・離乳の支援ガイド』では、離乳食の進行と共に与えるものは母乳または育児用ミルクと示されています。フォローアップミルクに関しては、「離乳が順調に進まず鉄欠乏のリスクが高い場合や、適当な体重増加が見られない場合には、医師に相談した上で、必要に応じてフォローアップミルクを活用すること等を検討する」と記載されています。
ここからもわかるように、離乳食や母乳、育児用ミルクで栄養素やエネルギーが摂れていて、適度な体重増加があれば、使う必要はないということになります。もしフォローアップミルクを与えたい場合には、医師に相談してから与えてみるのも良いでしょう。
フォローアップミルクへの切り替え&飲ませ方
フォローアップミルクは、育児用ミルクとは成分が異なります。急に育児用ミルクからフォローアップミルクへの切り替えというよりは、1日1回少量から徐々に移行していくほうが、赤ちゃんへの負担が少なくなるでしょう。
フォローアップミルクを飲ませるときには、赤ちゃんの様子を見ながら、少しずつ与えるようにしてくださいね。もし下痢の症状が見られた場合には、消化不良になっている可能性がありますので、中断するようにしましょう。
またフォローアップミルクを嫌がって飲まない場合には、離乳食に少量ずつ混ぜて食べさせる方法がおすすめです。少しずつ味に慣れてきたら、フォローアップミルクのみでも飲めるようになるかもしれませんよ。
フォローアップミルクはいつから?
フォローアップミルクを飲ませる必要がある場合、いつから与えられるのでしょうか。
フォローアップミルクを飲ませ始めてよい時期は、メーカーによって異なります。生後9ヶ月から飲ませられる製品から、生後1歳になってからと記載したものまであります。メーカーのホームページや製品の注意書きを見て、時期が適切か確認してから購入しましょう。
成分によっては、早い時期から与えることで赤ちゃんの消化機能に負担となる可能性があります。必ずメーカーの使用方法に従って使用してくださいね。
フォローアップミルクはいつまで飲ませるか
ではフォローアップミルクは、いつまで飲ませるのでしょうか?
赤ちゃんが離乳食でしっかりと栄養素やエネルギーを摂取できるようになったら、フォローアップミルクは必要ありません。体重増加が順調な場合には、徐々に量を減らしていきましょう。
どんなフォローアップミルクを選べばいいか

色々なフォローアップミルクが販売されていて、どれを選べば良いのかわからない人もいるでしょう。ここからは、フォローアップミルクのどこに注目して商品を選べばよいかお話していきますね。
フォローアップミルクの選び方「対象年齢」
フォローアップミルクはメーカーによって、対象年齢が異なるものが販売されています。生後9ヶ月の赤ちゃんから飲ませられる商品から、生後1歳を過ぎてから飲ませる商品まで、商品によって違いがあります。その時期に必要な栄養や消化機能に合ったものを選ぶためにも、対象年齢を必ず確認してから購入しましょう。
フォローアップミルクの選び方「栄養素」
赤ちゃんに不足している栄養を補充できるものを選びましょう。お魚が苦手な場合はDHA入り、便秘しがちな場合は整腸作用があるビフィズス菌やオリゴ糖入りのものを選ぶのがおすすめです。メーカーそれぞれ工夫していますので、自分がお子さんに補いたい栄養素の含有量を比較して購入すると良いですね。
フォローアップミルクの選び方「使う場所やシーン」
フォローアップミルクには、粉状で缶入りのものや、スティックタイプのもの、キューブタイプのものまであります。生活状況に合わせて、使いやすいものを選ぶと良いでしょう。キューブタイプやスティックタイプは計量しなくてよく、持ち運びに便利です。
同じフォローアップミルクでも、形状が違う種類が販売されていることも。自宅では缶の大容量タイプ、外出時はスティックタイプやキューブタイプ、と使い分けしている人もいるようですよ。
フォローアップミルクの選び方「甘みや味」
フォローアップミルクはメーカーによって、甘みにも違いがあります。フォローアップミルクから牛乳に切り替える時には、甘みが少ないもののほうが移行はスムーズになるでしょう。
甘みを判断する際には、甘味成分のオリゴ糖含有量をみてくださいね。また、味の違いで好みが分かれる場合もあるようです。フォローアップミルクをなかなか飲んでくれないという場合には、離乳食に混ぜて食べさせてみるという方法もあります。甘みの少ないものは、離乳食に混ぜても味が馴染みやすく、使いやすいのでおすすめです。
フォローアップミルクの選び方「コストパフォーマンス」
フォローアップミルクはメーカーによって、価格帯が異なります。中にはフォローアップミルクの詰替え用も販売されていますので、長期間使用する人は価格帯や詰替え用が販売されているかも確認すると良いでしょう。
ただし価格が安いからといって、毎回フォローアップミルクのメーカーを変えてしまうと、味の好みで飲みが悪くなる場合もあり注意が必要です。
《まとめ》
フォローアップミルクは必ず飲まなければいけないものではありません。飲ませた方がいいのかどうか分からない場合には医師に相談して、製品の対象年齢を確認してから飲ませるようにしましょう。今回お話した内容を参考に、お子さんに合ったフォローアップミルクを見つけてみてくださいね。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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