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2021.04.02
臨月にみられる出産前の兆候【産科医】おしるし・前駆陣痛・破水
臨月に入り、いつ出産になるのか、自分で出産の兆候がちゃんとわかるのか?不安になりますよね。出産が近づくと現れる代表的な兆候のおしるし、前駆陣痛、破水について産科医師がわかりやすく解説します。兆候があったらどんなことに気をつけて行動したら良いかについても説明しますのでチェックしてくださいね。
目次
臨月にみられる出産の兆候
臨月に入り出産が間近になってくると、「おしるし」「前駆陣痛」「破水」の3つの出産前兆候が見られます。
【臨月】出産の兆候1. おしるし(産徴)
臨月におこる出産の兆候「おしるし」は、医学用語で「産徴(さんちょう)」といいます。
■おしるしが出てくるメカニズム
出産が近づくとおしるしが出るのはなぜか、メカニズムについて説明しますね。
普段、子宮の壁の内側と赤ちゃんと羊水を包んでいる卵膜はぴったりくっついている状態です。正期産の妊娠37週頃から子宮の入り口の壁が出産に向けて柔らかく、薄くなっていきます。その動きで卵膜との接着部分がずれて剥がれ、少しの出血があります。
子宮の入り口には粘液栓といって「どろっ」としたおりもののようなものが付いていますが、その粘液栓と血液が一緒に「おしるし」となって押し出されます。
■おしるしの色は赤や茶色、量は人によって違う
おしるしの色や量は人によって違いがあります。色の種類としては茶色、赤い血液の色、ちょっと黒っぽい血液の色があります。また、量もうっすらシートにつく程度の場合もあれば、生理のときのような量のときもあります。
■おしるしがあればすぐに出産というわけではない
子宮の入り口が出産に向けて柔らかく薄くなっていく過程でおしるしが出るので、おしるしがあったからといってすぐに出産になるわけではありません。また出産前の兆候として、おしるしがないまま陣痛がくる人もいます。
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✔【助産師】おしるしがきたら過ごし方は?すぐ陣痛・出産が始まるの?
【臨月】出産の兆候2. 前駆陣痛
臨月にみられる「前駆陣痛」も出産に向けて子宮が準備している過程で起きる、出産前の兆候です。
■前駆陣痛とは不規則な子宮の収縮や痛み
前駆陣痛とは、不規則な子宮収縮のことです。周期や長さ、痛みの程度は人それぞれです。数分で終わる場合、数時間、2日〜1週間続く場合と幅があります。
どれも本格的な陣痛にならずに、気づくと終わっているのが特徴です。痛みの感じ方も腰がなんとなく痛い、生理痛のような痛み、息が止まるくらいの激痛と人それぞれです。
【臨月】出産の兆候3. 破水
出産前の兆候である「破水」とは、赤ちゃんを包んでいる膜に穴が開く、破れることで中の羊水が流れ出ることをいいます。陣痛が始まって、子宮の入り口が全部開いた時に破水するのが通常(適時破水)です。陣痛がくる前に破水することを前期破水といい、赤ちゃんとママの感染のリスクが高まりますので注意が必要です。
おしるしと破水の違いと見分け方
「おしるし」と「破水」はどちらも出産前の兆候ですが、見分け方はあるの?心配になるママも多いと思います。
■おしるしは「どろっ」とした粘り気のあるもの、破水は水っぽいものが流れる
おしるしは粘り気のあるおりもの状で、血液が混じっています。破水はサラサラした水のようなもので、色も無色透明が基本です。破水は尿もれと区別がつかない時もあるかもしれません。
判断に迷う時はすぐにかかりつけの病院に相談しましょう。検査ですぐに破水かそうでないかがわかります。迷って受診までに時間がかかり、感染が進行してしまうことの方が危険です。
■病院に連絡した方が良いおしるしのような出血について
おしるしだと思っていた出血が、実は危険な状況だった、ということもあります。サラサラとした真っ赤な血液が流れてくる時は、すぐに病院に連絡してください。
胎盤が子宮壁から剥がれてしまうこと(常位胎盤早期剥離)による出血の可能性があります。胎盤が剥がれて出血している場合は、赤ちゃんやママの命の危険につながり一刻を争います。変だなと思ったらすぐに病院に連絡しましょう。
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臨月に出産の兆候を感じたら
臨月に入り、出産の3つの兆候があったら入院の準備の確認をしつつ、落ちついて対応しましょう。
おしるしは焦らずに普段の生活を
おしるしの場合は、病院に連絡をしなくても良いので様子を見ます。もしかすると陣痛が来る兆候かもしれないと考え、入院準備の確認をしておきましょう。安静にしておく必要もありませんので、いつも通り生活しましょう。
陣痛かもと思ったら間隔を計る
お腹が張るのと同時に、生理痛のような痛みが何度か出てきた場合は陣痛かもしれません。痛みが終わってから次の痛みが来るまでの時間を計りましょう。
10分よりも短い間隔で痛みが規則的にあり、徐々に強くなってくるようであれば本陣痛の可能性がありますので、病院に連絡しましょう。いつの間にか痛みがおさまったら前駆陣痛ですので様子を見ましょう。
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破水はすぐに病院に連絡を
破水したかもと思ったら、清潔なパッドをあてて、入浴はせずに病院に連絡しましょう。破水か尿もれかおしるしなのか、わからない場合はとりあえず連絡をしましょう。
破水の場合、ママと赤ちゃんに感染のリスクが高まりますので入院が必要です。そのため入院の準備をして受診してください。
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✔ 【助産師にきく】破水したらどうする?自宅・外出先での正しい対処法とは
《まとめ》
臨月によくみられる出産前の兆候として、おしるし、前駆陣痛、破水の3つがあります。それぞれの特徴を理解して、焦ることなく落ち着いて対応しましょう。おしるしと前駆陣痛は様子を見て大丈夫ですが、破水の場合はすぐに病院に連絡しましょう。よく分からない場合は迷わずかかりつけの病院へ連絡し、指示を仰ぐようにしてください。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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