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2021.05.17
助産師が教える【無痛分娩のメリット・デメリット】後悔しない産院選び
日本における無痛分娩の割合は10%にも満たないといわれています。出産の60〜80%が無痛分娩の欧米と比べると、まだまだ実績や情報が少ないのが現状です。ここでは、無痛分娩のメリット・デメリットを解説し、後悔しない産院選びのポイントについても説明します。
目次
無痛分娩の3つのメリット
無痛分娩の最大のメリットは陣痛の痛みが和らぐことです。他にも痛みが軽くなることで、妊婦さんや赤ちゃんに様々なメリットがあります。
1. 出産中にリラックス
自然出産では痛みで妊婦さん自身がイライラしてしまい、家族にあたってしまうこともあります。無痛分娩は陣痛が和らぐことで、リラックスして穏やかに過ごすことができます。
2. 赤ちゃんへしっかり酸素がとどく
妊婦さんに余計な力が入らないことで、赤ちゃんへの血流量をしっかり確保できるのも無痛分娩のメリット。出産時の赤ちゃんにかかる負荷が少なくて済みます。
3. 産後の回復が早い
無痛分娩は陣痛が軽い分、体力の消耗が少ないので、産後の回復がとてもスムーズです。体が楽だと心にも余裕ができるため、育児を楽しむことができます。
知っておきたい無痛分娩のデメリット
無痛分娩は麻酔薬を使用しますので、それに伴う合併症のリスクはあります。発生頻度の高いものから稀なものまで様々な合併症について説明していきます。
分娩が長引く
無痛分娩のデメリットで一番問題になるのが、麻酔によって陣痛が弱まってしまうことです。陣痛が弱く、分娩が長引くと吸引分娩・鉗子(かんし)分娩といって、器械を使って赤ちゃんを引いて出産する確率は自然分娩に比べて高くなります。
麻酔の副作用による合併症
無痛分娩をすると、麻酔の副作用で起きる合併症で一時的なものがありますが、時間が経つと元に戻ることがほとんどです。
■かゆみ
■吐き気
■血圧低下
■足の感覚が鈍くなる
■尿意が分かりにくくなる
■体温が上がる
麻酔薬の副作用で体が痒くなったり、吐き気が出てくることがあります。血圧も下がることがありますが、これらの症状は麻酔の量の調整でよくなることがほとんどです。
お産の痛みを伝える経路である背中の神経の近くには、足の運動や感覚、尿をしたい感覚や出すための神経も含まれているため、足の感覚が鈍くなったり、足の力が入りにくい、尿意を感じなくなったり、尿を出そうと思っても上手く出せなくなることがあります。
■腰痛・背部痛
無痛分娩は腰や背中に麻酔を入れるチューブを挿入して行います。そのため、麻酔の針を刺したところに痛みを感じる場合がありますが、時間が経つとなくなっていきます。
ごく稀な合併症
かなり頻度は低いですが、ごく稀に起きる合併症がいくつかあります。
■頭痛
麻酔をする時の針が硬膜を傷つけてしまうことで起きるものです。発生頻度は1〜2%くらいといわれています。時間の経過とともに和らいでいき、おおむね1〜2週間で良くなっていきます。
■神経障害
出産の時の体勢や赤ちゃんの頭による神経圧迫で、足の痺れ・感覚麻痺が残ったり、排尿障害といって一時的に尿が出なくなることがあります。麻酔が原因であることは非常に稀で、数週間〜数ヶ月で自然に回復します。
■局所麻酔中毒・全脊髄くも膜下麻酔・血腫
非常に稀な副作用として、局所麻酔中毒・全脊髄くも膜下麻酔・血腫の症状が出ることがあります。
おすすめ情報
無痛分娩で後悔しない!産院選びのポイント
無痛分娩を希望する妊婦さんが安全に出産し、後悔しないための産院選びのポイントをお伝えします。
無痛分娩の説明をしっかり受ける
無痛分娩ができる病院は限られているため、すぐに予約が埋まってしまうことも少なくありません。妊娠初期の段階で、早めに無痛分娩の希望を伝えると安心です。
無痛分娩のメリットとデメリットをしっかり説明してくれる病院は信頼できるでしょう。また、無痛分娩といっても病院によって方法が違うため、説明を聞いた上で自分に合っているか判断しましょう。
無痛分娩の実績を確認
無痛分娩は基本的に麻酔科医が行いますが、特殊な医療行為のため専門的な知識や経験が必要です。希望する病院の無痛分娩件数、合併症発症率、などウェブサイト等で確認しましょう。
看護師や助産師など医師以外のスタッフも充実しているか確認すると良いでしょう。
無痛分娩の対応体制をチェック
病院によっては平日のみで夜間休日はしないなど、無痛分娩のできる日が限られている場合があります。時間が限られている場合は、誘発剤を使って時間内に終わるように計画出産が多いですが、お産は計画通りに運ばないこともありますから、不安がある方は24時間体制の病院を選びましょう。
24時間体制の病院では、自然な陣痛がきてから無痛分娩に切り替えることが可能です。
無痛分娩のスケジュールと費用
一般的に自然陣痛を待つ場合は、子宮口が4〜5cmくらい開き、5分間隔くらいの十分な痛みがきてから無痛分娩に切り替えるところが多いようです。状況によっては麻酔の準備をしているうちに自然出産になってしまったということもあるようですが、より自然に妊婦さんと赤ちゃんの負担が少ない出産ができます。
計画分娩の場合は、子宮の入り口が十分に出産の準備ができているのを確認して出産の日を決めます。当日は、麻酔のチューブを入れて準備をしてから陣痛誘発剤を投与します。あらかじめ出産日が決まっているので、計画が立てやすいのもメリットです。
出産費用は病院によって違いますが、平均して自然分娩よりも15〜30万円くらい多くかかります。
《まとめ》
無痛分娩のメリットは陣痛の痛みが和らぐことでリラックスして出産ができること、産後の体力を温存できることが挙げられます。デメリットとしては、微弱陣痛になって出産が長引いたり、麻酔薬やその処置に関連した合併症の恐れがあることです。
無痛分娩は病院によってやり方が様々なので、しっかり下調べをして自分の希望に沿った産院を選びましょう。
※写真提供:PIXTA
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国立福山病院附属看護学校卒業後、看護師として勤務。
第二子出産後、岡山大学医療技術短期大学部専攻科助産学特別専攻に進学し、助産師免許取得。
大学の非常勤講師、産婦人科病院、不妊治療専門クリニックなどで勤務。
現在は助産院勤務しながら、自身の出張・オンライン専門のすまいる助産院を開業中。産前産後の身体と心をサポートしてます。
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