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2021.01.18

《産褥期》ママの体と心の劇的変化とは?【助産師が解説】とにかく休むことが大切

出産を終えたママには、これまでにないとても大きな変化が待ち受けています。

産後ママというと「かわいい赤ちゃんを抱いて幸せ!」「母性と優しさでキラキラした日常!」などとイメージするかもしれませんが、実際には体も心もさまざまな負担をかかえているのです。

そのためママ自身はもちろん、パパや家族もその変化をしっかり理解し、無理のない過ごし方について考えておきましょう。

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産褥期とは?体を休ませ回復に努めよう

産褥期とは

 

産褥(さんじょく)とは、妊娠・出産で大きく変化した体が妊娠前の状態に回復するまでの期間を指します。

 

産褥期はいつまで?

産褥期は産後68週間ごろまで。そのうち、最初の3週間はなるべく横になって安静に、授乳と休息・睡眠だけで過ごすのが望ましいでしょう。

その後「床上げ」と言って徐々に家事や育児などの行動範囲を広げていきます。

 

産後の体の変化

産後の体の変化は大きく2つにわけられます。子宮を中心とした全身の状態が妊娠前に戻っていく退行性変化と、乳房が発達する進行性変化です。

 

退行性変化

 

子宮は68週間かけて、妊娠前の鶏卵大の大きさに戻ります。後陣痛といって、産後23日は陣痛のように痛みが続く人もいます。分娩による子宮の傷は34週間で再生され、膣や会陰部の傷は12週間で治癒するでしょう。

また悪露(おろ)といって、生理のような血液が混じった分泌物が排泄されますが、その色は赤白と変化し、46週間でなくなります。

 

進行性変化

 

分娩直後から母乳を生成するホルモンが放出され、乳房が発達します。最初はにじむ程度の極少ない量ですが、授乳を続けることで乳房が張り、量が増えていきます。「初乳」という免疫がたくさん入った黄色い母乳は産後4日くらいまで分泌されます。

 

 

産後は心への負担も

産後は体の痛みや疲労、不眠に加え、ホルモンの急激な変化によって心にも負担がかかります。

 

女性ホルモンが急激に変化する

分娩直後、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少。これにより自律神経のバランスが乱れ、心に不調をもたらすのです。

休む暇なく慣れない育児をすることで緊張を強いられ、不安にもなります。赤ちゃんがどうして泣いているのかわからない、母親に向いていないのではと落ち込んでしまうこともあるでしょう。

また、母乳を生成するプロラクチンというホルモンや、母乳が分泌されるときに大量に分泌されるオキシトシンというホルモンは、赤ちゃんのお世話をしたいと思ったり、赤ちゃんを愛おしく思う気持ちが芽生えるように作用します。

しかし、一方では周囲の人への敵意を増強させると言われており、パパや家族のちょっとした一言でもイライラしたり否定的に捉えてしまう傾向にあります。このようにホルモンの影響で、産後は精神的に不安定な状態になるのです。

 

マタニティブルーズと産後うつ

身体的な疲労とホルモンの変化による精神的に不安定な状態が続くことで、心の病気になるママは少なくありません。

 

マタニティブルーズ

 

マタニティブルーズ(※)は、産後ママの5080%が経験するといわれています。

症状には不安になる、涙もろくなる、集中力が低下するなどがあり、産後35日をピークとし2週間以内に自然と軽くなっていきます。

※「マタニティブルー」と呼ばれることもあります。

 

産後うつ

 

産後うつは産褥期ママの1015%がかかるといわれ、疲れているのに眠れない、何もやる気が起きない、赤ちゃんが可愛いと思えない、息苦しさや心臓がドキドキするなどのパニック症状、さらには自殺を考えるといった症状までがあります。

程度によって治療が必要となるでしょう。

 

 

周囲のサポートも大切!産後ケアサービスの活用方法

産後に体も心も健康でいるためには、とにかく休息が大切。とはいえ自宅に帰ると家事などつい無理をしてしまいますよね。ママにしかできない育児は授乳だけ、と思ってください。

おむつ替えや抱っこ、沐浴などは、積極的にパパや家族にも参加してもらいましょう。近くに頼る人がいない場合は、産後ケア施設の活用もぜひ考えてみてください。

 

家族と役割分担を話し合う

 

産後は、休息をとりながら赤ちゃんのお世話をするだけで日々忙しく過ぎていきます。里帰りできる人は家族にたくさん甘えて、余裕を持った時間を過ごしましょう。お手伝いに来てもらえる家族がいるのであれば、ぜひ家事や育児の協力をお願いしましょう。

 

また、パパが育児休暇や時間短縮勤務を取得して、買い物や家事を担当してもらったり、一緒に育児をしたりするのも良いですね。

時間に余裕のある妊娠中にパパや家族と話し合い、誰がどのような家事・育児をするのかを具体的にリストアップし、簡単なスケジュールを作っておくとお互いに気持ちよく過ごすことができます。

 

産後ケア事業、自治体や民間サービスを活用する

 

家族の協力がなかなか得られなくても、多くのサポート事業がありますので無理せず活用しましょう。

産後ケア事業は、宿泊型、訪問型、デイサービス型があります。助産師や専門家の力を借りて、体と心を休めましょう。

また、自治体のファミリーサポートや民間の家事代行業者、家事・シッターマッチングアプリなど事前に調べておき、登録しておくといざというときに便利です。

 

 

《まとめ》

 

産後は環境の変化に加え、心も体も急激に変化していきます。1人で全てを抱え込もうとせず、周囲のサポートを得ながら自分のペースで育児を楽しむことができるといいですね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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