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2023.06.26

【理学療法士】産後の尿漏れの原因&自宅でできる骨盤底筋群トレーニング

妊娠中に経験することが多い尿漏れ。出産後も引き続き、尿漏れに悩むママはたくさんいるでしょう。この記事では、産後の尿もれの原因と予防方法、改善のためのセルフケアについて解説します。これから出産を控えている妊婦さんも、ぜひ参考にしてくださいね。

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産後の尿漏れはいつまで続く?原因は?

産後の尿漏れの原因

 

妊娠中の尿漏れは、全妊婦さんの60~70%に起こります。そして産後1年以内の時点で、30%程度の人に尿漏れがみられます。また出産回数を重ねるほど、尿漏れに悩む人は増えるという報告もあります。

 

妊娠中・産後の尿漏れの原因とは?

妊娠中の尿漏れは、大きくなった子宮が膀胱を圧迫することが原因で起こります。出産時は、主に経腟分娩によって赤ちゃんが産道を通過するときに、骨盤底筋群などが圧迫を受け引き伸ばされます。そしてその働きが弱まってしまいます。このように経腟分娩の影響で、産後は尿漏れしやすくなります。

ただし、

・ホルモンによる影響

・妊娠中に大きくなる赤ちゃんを支えることで、骨盤底筋群への負担がかかる

以上は帝王切開の人にも当てはまるため、帝王切開で出産しても尿漏れが起こることがあります。

 

産後の尿漏れの原因は出産時に骨盤底筋群に負担がかかり、うまく収縮できなくなることです。

骨盤底筋群とは、子宮や膀胱、直腸などの臓器を支えている筋肉。骨盤底筋群がうまく収縮できなくなると、尿道を閉じる力が弱くなり、尿漏れしやすくなります。

また骨盤底筋群への負担だけではなく、分娩時は骨盤底筋群に司令を伝える神経や、膀胱、子宮、直腸という骨盤内の臓器を支持する靭帯なども損傷することがあります。そして骨盤内の臓器が下がってくる「骨盤臓器脱」が起きることもあります。

 

 

産後の尿漏れはいつまで続く?

産後の体は時間をかけて元に戻ります。産後2ヶ月ほどで、自然に尿漏れが治ることが多いと言われています。産後1ヶ月はまだ、体へのダメージが大きい時期。重い荷物を持つ、排便時に力む、お腹に力を入れるような運動は、できるだけ避けましょう。

 

 

尿漏れは放っておいてもいいの?

産後の尿漏れは多くのママが経験するため、心配する必要はありません。自然と回復することもありますが、並行して骨盤底筋トレーニングを行うことが重要です。尿漏れパッドなどでカバーをしつつ、セルフケアをしましょう。

 

 

産後の尿漏れ予防に!骨盤底筋トレーニング

産後の尿漏れを予防するために、まずはセルフケアを行いましょう。ここからは、自宅でできるケア方法を紹介します。

 

骨盤底筋トレーニングがおすすめ

出産後の骨盤底筋群のゆるみが原因で尿漏れが起こっている場合、骨盤底筋群のトレーニングで改善することがあります。まずは、自宅でできる簡単な方法で骨盤底筋群のトレーニングを行いましょう。

 

1. 日常生活で取り入れる骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋群が緩んでいる場合、負荷がかかるトレーニングをいきなり始めてしまうと体への負担が大きく、なかなか継続できない可能性もあるでしょう。まずは日常生活でできるトレーニングから、取り入れることをおすすめします。

 

具体的には、咳やくしゃみ、ジャンプなど腹圧がかかる時に、骨盤底筋群に力を入れる方法です。

尿道、腟、肛門に意識を向けて、「おしっこを止めるように締める」、「うんちを切るように締める」ように骨盤底筋群を収縮させます。あるいは締めて引き上げるように意識すると、骨盤底筋群に力を入れやすいこともあります。

排尿の途中で尿を止められれば、正しく骨盤底筋が収縮できていますよ。※尿が出にくくなることがあるようなので、毎回は行わないでください。

 

2. 基本の骨盤底筋トレーニング

次に紹介するのは、基本となる骨盤底筋トレーニングです。まずは仰向けから始めてみましょう。

骨盤底筋トレーニング 

(1)仰向けになり、足は肩幅程度に開きます。膝を軽く曲げます。

 

(2)その姿勢のまま、骨盤底筋群を最大の力でギュッと1秒締めて、1秒休憩します。

骨盤底筋群を長く収縮させられれば、ギュッと6~8秒間締めるようにし、6秒間ほど休憩します。何秒間できるかは個人差があるので、最初は自分ができる秒数から始めましょう。

この時、お腹やおしり、内ももに力が入らないようにしましょう。おしっこを止めるように、尿の出口、腟、肛門の周囲を締めることをイメージして、骨盤底筋群を収縮させます。

始めは5秒程度から始めますが、慣れてきたら10秒程度まで時間を延ばしてみましょう。

 

(3)この動作を10回程度繰り返します。10回を1セットとして、1日3セットから始めます。

 

3. 応用の骨盤底筋トレーニング

基本のトレーニングに慣れたら、次は応用編です。イスに座る、もしくは立ったままの姿勢で行います。

 

(1) イスに深く腰をかけます。背もたれにもたれてリラックスします。骨盤底筋群は、骨盤を立てて背筋を伸ばしたほうが働きやすいです。

 

(2) 基本編と同様に、骨盤底筋群を最大の力でギュッと1秒締めて、1秒休憩します。

もっと長くできる場合は、ギュッと6~8秒間締めるようにし、6秒間ほど休憩します。最初は自分ができる秒数から始めましょう。この時はお腹に力が入りやすいので、お腹に手を当てながら確認しましょう。

この動作を10回程度繰り返します。

 

初めから座った姿勢や立った姿勢でトレーニングするのは、難しいでしょう。まず仰向けで感覚をつかんで、慣れてきてから体勢を変えてくださいね。

 

 

産後の尿漏れが治らない!何科を受診?

産後に尿漏れが治らない場合、何科に行けばいいのでしょうか。

 

泌尿器科を受診しよう

受診するのは泌尿器科がいいでしょう。もし数ヶ月たっても尿漏れが続く場合は、出産による影響なのか、それとも他に原因があるのかを診察してもらいましょう。

泌尿器科では必要に応じて、骨盤底筋群のトレーニング方法を指導してもらえるケースもあります。

 

 

 

《まとめ》

 

産後の体ダメージが大きく、回復には時間がかかります。尿漏れは不快感もあり、できるだけ早く治したいと思うでしょう。まずはセルフケアを行い、それでも改善しないようであれば、泌尿器科の受診を考えてみてくださいね。

 

※写真提供:PIXTA

 

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2015年日本理学療法士協会のウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法部門として発足。性差医療の視点から健康問題を捉え、その症状や生活の質の改善につながる理学療法構築と、普及、教育を目指し活動している。

2021年より日本理学療法学会連合日本ウィメンズヘルス・メンズヘルス理学療法研究会に改称。

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