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2023.03.17
排卵日のおりものの特徴【産科医】月経周期や妊娠でどう変わる?
女性の身体は月経周期や妊娠によって、大きく変わるもの。特におりものは女性ホルモンの影響を受けやすく、その性状は排卵期に大きく変化します。ここでは排卵日の女性の身体、特におりものについて学んでいきましょう。妊娠前後のおりものの変化も、詳しく解説します。
目次
【排卵とは】排卵の仕組み・排卵日を知る方法
女性の身体には、妊娠・出産をする機能が備わっています。排卵期は受精のために重要であり、妊娠を希望する女性にとって、排卵日を知ることはとても大切です。
排卵の仕組みと妊娠
女性は胎生期にすでに卵子が作られており、一生のうちで排卵する卵子の数は決まっています。排卵できる卵子の数には個人差があります。思春期に入ると月経が始まり、その時期から排卵が開始します。
次に、月経周期についても知っておきましょう。
視床下部からのホルモンに刺激された脳下垂体より、卵胞を成熟させようと、卵胞刺激ホルモンが分泌されます。そして卵巣内の卵胞に働きかけます。
刺激された卵胞は、エストロゲンというホルモンを分泌させ、子宮内膜を厚くして受精卵を迎える準備を始めます。成熟卵胞となりエストロゲンが十分になると、脳下垂体から黄体化ホルモンが分泌されます。そして黄体より黄体ホルモンが放出され、排卵を起こそうとします。
その時に、卵胞から卵子が腹腔内に飛び出して、排卵が起こります。卵子は、卵管采によって卵管に取り込まれ、卵管内で出会った精子と受精し、受精卵にとってふかふかのベッドとなる子宮内膜に着床します。もし精子と出会わなければ卵胞は白退化し、約2週間後に子宮内膜も剥がれ落ちていきます。これが月経です。
精子は射精後2~3日、卵子は排卵後12~24時間生存しています。つまりこのタイミングで受精をしないと、妊娠には至りません。逆に言えば、排卵前であってもタイミングが合えば、妊娠は可能となります。
基礎体温で「排卵日」を知る方法
排卵日を知るには、基礎体温を測定することが最も手軽です。まずは自分の体のリズムを知るために、婦人体温計で基礎体温を測ってみましょう。朝目覚めたらすぐに婦人体温計で測るようにし、その時は動かないようにしましょう。毎日同じ時間帯での測定により、自分の基礎体温がどのように推移するかかがわかります。
正常な基礎体温は、低温期・高温期の2相性です。月経が終了した後、低温期が2週間ほど続き、排卵期付近は基礎体温が一度ぐっと下がります。その後に高温期が2週間ほど続き、妊娠していればそのまま高温期が継続。妊娠していなければ、月経とともに基礎体温は下がります。
つまり低温期と高温期の間で、体温がぐっと下がったタイミングの2~3日間に、排卵が起こっていると考えられます。
おりものの役割
おりものとは、膣から分泌される粘液や組織片のこと。膣内を乾燥から守り、細菌の侵入を防ぐ役割があります。つまりおりもののおかげで、直接外部と接触する膣や、それに続く子宮が感染せずに済んでいるのです。また排卵日付近のおりものは量が多く、受精をサポートする役割もあります。
おりものは通常、このような状態です。
・半透明~白濁
・とろっとした粘り気
・甘酸っぱい香り
・排卵出血(生理と生理の間にみられる茶褐色やピンク色のおりもの)
月経周期によって性状や役割が変化していきます。ただし個人差が大きく、量が多い人もいれば少ない人もいます。
【月経周期でみる】おりものの変化
約1ヶ月の月経周期で、おりものはどのように変化するのでしょうか。
1. 卵胞期のおりもの
生理が終わってから排卵までを、「卵胞期」といいます。排卵に向けて子宮内膜が増殖する期間で、エストロゲンの分泌も増えていきます。このエストロゲンにより、排卵に向けて卵胞が大きくなっていきます。
この時期のおりものは、月経周期の中で一番量が少なく、さらっとしています。排卵が近づくにつれて、次第におりものの量が増加していきます。
2. 排卵期のおりもの
「排卵期」は、妊娠のチャンスが最も高い時期。おりものの量が特に増えて、精子を子宮内に招き入れる働きをもちます。
この時期のおりものは、とろっとしていて、下着に糸をひくような状態です。匂いは強くなく、排卵が近づくにつれて粘り気が強くなり、排卵が終了すると次第に量が減っていきます。
3. 黄体期のおりもの
「黄体期」は、排卵が終了してから次の生理がくるまでをいいます。黄体ホルモンの分泌が増加し、子宮内膜が着床しやすい状態になっています。おりものは量が減ってきて、白い塊のような状態になり、下着にくっつくような状態となります。
4. 月経直前のおりもの
月経直前になると、どろっとした粘っこい白いおりもので、においがきつくなることもあります。量はそれほど多くはありません。
妊娠したらおりものはどう変化する?
妊娠せずに生理を迎える直前のおりものは、この通りです。
【妊娠していない時のおりもの】
・白っぽく粘り気がある
・量はそこまで多くはない
・若干酸っぱい匂いがする
妊娠した時のおりものの特徴
妊娠が成立すると、おりものは以下のように変化します。
【妊娠した時のおりもの】
・白っぽい、黄色っぽいおりものに変化
・さらさらしている
・クリーム状になる
・量が増える
妊娠すると、妊娠維持のためにプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が持続します。その影響により、おりものの量は多くなります。粘り気のあったおりものは、妊娠するとさらさらになっていきます。
こんな時は大丈夫?注意すべきおりもの
おりものには個人差がありますが、以下のようなおりものには注意が必要です。
【注意すべきおりものの特徴】
■おりものが水っぽい
クラミジア感染症の可能性があります
■白くてぽろぽろとしてかゆみがある
カンジダ感染症の可能性があります
■濃い黄緑色で悪臭がある
淋菌感染症、大腸菌などの雑菌による感染症の可能性があります
■泡立ったようなクリームチーズ状のおりもの
トリコモナス膣炎の可能性があります
■水っぽく魚が腐ったような匂い
細菌性膣炎の可能性があります
このような状態のおりものの場合は、すぐに産婦人科を受診しましょう。症状によってはパートナーも一緒に治療しなければいけない場合もあり、楽観視してはいけません。
また、おりものに出血が混ざるケースもあります。排卵出血・着床出血の可能性や、子宮がんやポリープなどの病気が隠れているかもしれません。産婦人科を受診しましょう。
《まとめ》
おりものは通常、女性の身体を外部の菌から守ってくれています。そして排卵の時期には、精子を招き入れて受精を促す役割もあります。月経周期により、おりものの性状や量は変化しますが、注意しなければいけない症状もあります。気になる場合はすぐに、産婦人科に相談しましょう。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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