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2021.11.19

搾乳の正しいやり方【助産師が動画解説】母乳の保存方法とは

搾乳とは、NICUに入院中の赤ちゃんに母乳を届けたり、授乳の間隔があいておっぱいが張って痛い時のセルフケアにしたり、赤ちゃんを誰かに預けなければいけない場合などに行います。しっかり搾乳の方法を理解していないと、おっぱいトラブルの原因になることもあります。ここでは、正しい搾乳方法を助産師がお伝えします。搾乳した母乳の保存方法や、温め方・与え方も解説していきます。

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搾乳による5つのメリット

搾乳メリット

 

搾乳とは、自分の手や搾乳器を使って母乳を絞ることを言います。母乳育児を続けていくうえで、搾乳はとても大事な方法です。具体的に搾乳のメリットを5つご紹介します。

 

搾乳のメリット1. 離れていても母乳が続けられる

赤ちゃんが小さく生まれたり、何らかの病気がある場合は、治療のためにNICU(新生児集中治療室)に入院しなければなりません。そのような時も、栄養や免疫成分の豊富な母乳は、赤ちゃんの成長にとってとても重要です。

もし赤ちゃんが長期入院になったとしても、NICUに搾母乳を届け、赤ちゃんに与えることができます。搾乳をすることで、母乳の分泌も維持することができ、母乳育児を続けることができるのです。

 

搾乳のメリット2. ママに負担が集中しない

母乳育児において、直接授乳はママだけができる特権でもあります。しかしその分、母乳育児の負担がママだけに集中してしまいます。授乳に時間がかかってしまい母子ともに疲れている場合など、搾乳を上手く取り入れるのも一つの方法です。

 

搾乳は哺乳瓶から赤ちゃんに与えることができるので、ママだけに限らず、パパを含めた周囲の人と分担しながら母乳育児を継続することができます。夜中の授乳、寝かしつけなどを夫婦で分担しながら行うと、ママの負担も軽減されますし、パパの育児参加も促すことができます。

 

搾乳のメリット3. 赤ちゃんを預ける時に便利

生まれてからずっと直接授乳のみだと、赤ちゃんが哺乳瓶で飲むのを嫌がることがあります。その点で、搾母乳を哺乳瓶であげる練習をしておくと、赤ちゃんを誰かに預けることも可能です。

例えば、ママが少し息抜きに一人でお出かけしたいとき、早期職場復帰のために授乳期に保育園に預けなければいけない時などに、困ることがありません。だだし、哺乳瓶を嫌がる赤ちゃんもいます。その際は無理矢理行わないようにしましょう。

 

搾乳のメリット4. 薬をのむことができる

ママが体調を崩して薬を飲みたいときは、薬を飲む前に搾乳し、冷凍しておいた母乳を飲ませるということも可能になります。薬を飲むとおよそ数時間は母乳に影響を与えますので、薬を飲んだ後は搾乳をして、その母乳を廃棄するといったことも可能になります。(母乳に影響がある薬かどうかは医師にご相談ください)このような時のために、搾乳の方法をマスターしておくとよいでしょう。

 

搾乳のメリット5. おっぱいトラブルに有効

赤ちゃんに長時間母乳を与えることができなかったり、おっぱいにしこりができて痛いと感じたときは、搾乳をすることが重要になります。長時間母乳をためたままにしておくと腺がつまり、乳腺炎などのトラブルの原因に。赤ちゃんが寝てしまって飲んでくれないときや、おっぱいに強い張りやしこりがあるときは搾乳をしましょう。

また乳頭に亀裂が入ってしまった場合など、赤ちゃんに吸われて痛いと感じたら直接授乳をお休みして、搾乳をするという方法もあります。

 

このように、搾乳にはメリットがたくさんあります。赤ちゃんが飲む以外に、乳腺炎予防やセルフケア、薬の服用など、搾乳の目的は人それぞれ。しこりや痛みなど何か気になることがある場合は、授乳後に搾乳を行いましょう。搾乳後も痛みやしこりが軽減しない場合は、産院や助産院などに相談しましょう。

 

 

【助産師が動画で解説】母乳の搾乳方法

搾乳には、「手でする方法」「手動搾乳器でする方法」「電動搾乳機で行う方法」があります。詳しい方法を動画付きで解説していきます。

 

搾乳する間隔

個人差にもよりますが、特別な理由で搾乳を継続してする場合は、大体おっぱいが張ってくる3~4時間おきに行うとよいでしょう。搾乳時間は片乳10分くらいを目安に行います。

 

手で搾乳する方法

 

手動搾乳器で搾乳する方法

手動搾乳器は、手で搾乳するのと比較して手が疲れず、簡単にたくさんの量を搾乳することができます。カップを当てて、中の空気を吸いだすような感じで母乳を絞ってくれます。赤ちゃんが乳頭を刺激するように、最初は「シュッシュッシュッ」という刺激を与え、射乳反射が出てきたら、深くて長いリズムに変換できます。

 

これを手動で行うので、圧も調整できますし、時間もあまりかかりません。搾乳機自体のつくりもシンプルなものが多いので、洗浄や消毒が簡単というメリットもあります。ただし持ち運ぶときは一式持って行かなくてはいけないので、そこは少し難点と言えるかもしれません。

 

電動搾乳機で搾乳する方法

電動の搾乳機は、すべて搾乳機に内蔵されているモーターがやってくれます。そのため、手が疲れる心配はほぼありません。ボタン一つで搾乳ができるので、長期に搾乳をしなければならない場合や、短時間で搾乳したい場合はとても便利ですし、おすすめです。

ただ持ち運びが不便なのと、微妙な圧の調節が難しい場合はあります。詳しい使い方はそれぞれの商品の取り扱い説明書を参考にしてください。

 

 

搾母乳の正しい保存方法&保存期間

搾乳の保存

 

搾乳の保存方法や保存期間は、冷蔵、冷凍によりそれぞれ違います。それぞれを詳しく見ていきましょう。常温保存は雑菌が繁殖する原因にもなりますので、できるだけしないようにしてください。

 

搾乳した母乳の「冷蔵保存」

搾乳した母乳を哺乳瓶もしくは母乳パックに入れて、ラップとゴムで密閉し、冷蔵庫に保存します。搾母乳を冷蔵庫で保存する場合は、24時間以内に与えましょう。24時間以内に飲ませられない場合は、廃棄するか母乳パックに入れて冷凍保存をしましょう。冷蔵庫で保存する場合、温度変化が大きいドアポケットの部分は避けて、奥の方に保存しましょう。

 

搾乳した母乳の「冷凍保存」

冷凍保存をする場合は、専用の母乳パックに入れて保存します。母乳パックはベビー用品の専門店やインターネットで購入が可能です。約1ヶ月間保存できますが、できれば1週間以内を目安に使いきるようにしましょう。

いつ保存したかわかるように、日付を書いておくと使用時の目安になります。解凍した後はできるだけすぐに飲むようにして、残った分は再度冷凍せずに、必ず廃棄するようにしてください。たくさん搾乳ができた場合は、赤ちゃんが一度に飲む量だけ小分けして、冷凍庫で保存するとよいでしょう。

 

冷蔵・冷凍保存は、ドアの開閉や季節によっても保存状態が変わってきます。出来るだけ奥の方に入れて温度に左右されないようにしましょう。

また、母乳には栄養がたくさんあるため、雑菌の繁殖も気になるところです。雑菌は目に見えませんので、可能であれば出来るだけ早めに飲ませるようにしてください。

 

 

保存した搾母乳の温め方・与え方

保存した搾乳は、赤ちゃんに与えるのに適した温度にしなければなりません。その温め方や赤ちゃんへの与え方をご紹介します。

 

冷蔵保存の場合

冷蔵庫に保存して冷たくなった搾母乳は、容器ごと湯煎で人肌(37℃前後)程度まで温めます。哺乳瓶のまま保存している場合はそのままで、母乳パックに保存した場合は消毒した哺乳瓶に移してから、与えてください。

 

冷凍保存の場合

冷凍庫に入れて凍った搾母乳は、自然解凍もしくは流水で解凍したあとに、湯煎で人肌(37℃前後)程度まで温めるようにしてください。レンジや50℃以上のお湯につけていきなり解凍したり温めると、母乳の中の免疫成分が壊れてしまう可能性があるので注意しましょう。消毒した哺乳瓶に搾母乳を移して与えてください。

 

 

《まとめ》

 

搾乳は、母乳育児を長く続けるためにとても重要なものです。おっぱいのセルフケアや乳腺炎などのトラブル予防にも役立ちますし、赤ちゃんを誰かに預けなければいけないときにも助かります。パパの育児参加にも搾乳は一役買ってくれますね。搾乳の正しい方法、保存の仕方を学び、これからの育児にぜひ役立ててください。

 

※写真提供:PIXTA

 

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監修者

山手 実佳 先生

助産師

国立福山病院附属看護学校卒業後、看護師として勤務。
第二子出産後、岡山大学医療技術短期大学部専攻科助産学特別専攻に進学し、助産師免許取得。
大学の非常勤講師、産婦人科病院、不妊治療専門クリニックなどで勤務。
現在は助産院勤務しながら、自身の出張・オンライン専門のすまいる助産院を開業中。産前産後の身体と心をサポートしてます。

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