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2021.07.05

吸引分娩の費用は保険適用できる?【吸引分娩になるケースとリスクも解説】

妊娠・出産は「病気ではないので健康保険の対象外」であることはよく聞きますが、出産時に吸引分娩を行った場合はどうなのでしょうか。ここでは吸引分娩が健康保険の適用かどうか、民間の医療保険の支払い対象となるのかどうか、吸引分娩が行われるケースとリスクについても詳しく解説していきます。

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吸引分娩の出産費用は医療保険の対象?

吸引分娩の費用

 

吸引分娩が健康保険の適用かどうか、また医療保険の給付金の支払い対象となるかどうかは、医師の診断がポイントです。

妊娠・出産にかかる費用は健康保険の適用外です。そのため分娩に特に問題がない場合、出産費用は全額自己負担となります。

一方分娩時に何らかの問題があり、吸引分娩・鉗子分娩・帝王切開が必要となる異常分娩と判断される場合は健康保険が適用されます。医療保険においては、異常分娩が保障の対象となっている場合は給付金の支払い対象です。

 

吸引分娩の多くは健康保険が適用

健康保険は病気やケガの際に、安心して医療が受けられるための制度です。妊娠・出産は病気やケガではないため、正常分娩の際は健康保険の適用はありません。しかし、出産時に何らかのトラブルがあり医療行為が必要となる場合(=異常分娩)は健康保険が適用されます。吸引分娩も、赤ちゃんまたは妊婦さんを守るために行う医療行為です。

健康保険が適用され、吸引分娩、および吸引分娩のために行った会陰切開や縫合術等の自己負担額は3割となります。

 

吸引分娩の多くは異常分娩の際に行われますが、正常分娩の範囲内で医師の判断により行われることもあります。そういった場合は健康保険の適用はなく、吸引分娩にかかる医療費は全額が自己負担です。

 

吸引分娩は医療保険の支払い対象

民間の医療保険は、異常分娩と判断されれば給付金の支払い対象となることが多いです。保険契約において妊娠・出産が支払い対象となっている場合、異常分娩と診断されると、契約内容に応じた給付金を受け取ることができます。ただこちらも医師が正常分娩の範囲と判断した場合には、支払いの対象とならないため注意しましょう。

 

受取金額は保険契約により様々ですが、入院日数に応じた入院給付金や、吸引分娩にかかる手術の手術給付金などを受け取ることができます。

 

 

吸引分娩が行われるケースとリスク

吸引分娩のリスク

 

吸引分娩とは、吸引カップを赤ちゃんの頭に吸着させ、カップの柄をけん引することで赤ちゃんを引っ張りだす分娩法です。分娩を手助けするために行われますが、具体的にはどのようなケースで行われるのでしょうか。妊婦さんと赤ちゃんに起こるリスクも合わせてみていきます。

 

吸引分娩が行われるケース

吸引分娩は、赤ちゃんが妊婦さんの体から順調に出てくることができない際に行われます。具体的には以下のようなケースです。

 

吸引分娩が必要なケース

◆子宮口が全開大なのに赤ちゃんが下りてこない場合

◆赤ちゃんの心拍数が下がるなど、状態が悪い場合

◆妊婦さんの体への負担が大きい場合

◆妊婦さんがいきむことができないほど疲労している、微弱陣痛、赤ちゃんの回旋異常で分娩が進行しない場合

◆妊婦さんに何らかの病気(心疾患や妊娠高血圧症候群など)があり、力強くいきむことが勧められない場合 など

 

吸引分娩を行う条件

◇破水している

◇子宮口が全開大になっている状態で、赤ちゃんの頭が見えるくらい下がってきている

◇CPD(児頭骨盤不均衡)でない

◇帝王切開に対処できる環境

 

吸引分娩は通常、トラブルやリスクがある際に、危険を回避するための医療行為の介入として行われるものです。しかし正常な分娩でも、赤ちゃんの娩出をスムーズに行うためや、妊婦さんがうまくいきむことができない場合に、医師の判断により使用することがあります。

 

吸引分娩の母体へのリスク

吸引分娩による、妊婦さんのリスクは以下の通りです。

 

会陰、膣壁、頸管の裂傷

尿道膀胱の損傷

 

吸引カップを膣内に挿入するため、会陰や膣壁が裂けてしまうことがあります。傷によっては分娩時の出血が多くなったり、会陰切開の痛みが強くでてしまうこともあります。

 

吸引分娩の赤ちゃんへのリスク

吸引分娩の赤ちゃんへのリスクは、吸引された部分が傷ついたり、頭皮が剥がれる、頭が細長くなることです。これらの多くは生まれた後、徐々に目立たなくなり治っていくことが多いでしょう。

 

また

・頭血腫(とうけっしゅ・ずけっしゅ)

・帽状腱膜下血腫(ぼうじょうけんまくかけっしゅ)

・頭蓋内出血(ずがいないしゅっけつ)

・黄疸

が起こる場合もあります。

 

頭血腫とは、こぶのことです。吸引分娩で必ずできてしまうものではなく、正常分娩でもできることがあります。ほとんどの場合、溜まってしまった血液は徐々に吸収され自然に治っていきます。

またまれに帽状腱膜下血腫となることもあります。帽状腱膜下血腫は、帽状腱膜という頭蓋骨を包む膜と頭蓋骨の間に内出血が起こり発症するものです。出血、貧血、ショックなどの全身状態の悪化が見られ、迅速な医師の処置を要します。

 

(監修:助産師 森田実佳先生

 

 

吸引分娩での医療保険の給付金に関する注意

吸引分娩での医療保険

 

吸引分娩での医療保険の給付には注意点があります。健康保険の適用があっても、医療保険では給付金が支払われない場合もあるため、契約している保険内容の確認をしましょう。

 

医療保険の加入時期に注意

吸引分娩で医療保険の給付金を受け取る際には、

◆約款

◆加入時期

◆特定部位不担保の条件

を確認する必要があります。

 

保険は商品や契約によって保障の範囲や給付される内容が違います。保険の内容は約款や契約書に記載されているため、よく読んでおきましょう。

 

また、出産に関する支払いの場合は保険の加入時期にも注意が必要です。妊娠・出産はリスクが高いため、妊娠がわかってからの保険の加入は難しい傾向があります。

保険に加入できたとしても、給付金が支払われるかは別の問題です。今回の妊娠中に加入した保険は、今回の妊娠・出産に関する疾病、手術などは保障の対象外となり、給付金が下りない場合もあります。※一部の会社を除きます。

 

また特定部位(疾病)不担保といって、特定の部位(子宮など)や疾病(異常分娩など)を保障の対象から一定期間除く、条件付きの加入となることもあります。過去に帝王切開などを経験された方も一定期間内の加入に関しては、不担保になる事があります。

妊娠・出産に関係する特定部位不担保の条件付きの保険契約では、吸引分娩による手術や入院は給付金の支払い対象外です。

 

保険金の支払い期限に注意

保険金の支払い請求には期限があります。法定の時効消滅は3年です。そのため保険商品の多くは「3年間請求がない場合には保険請求の権利が消滅する」と約款で定めています。

しかし、万が一3年を過ぎてしまった場合にも、必要書類(保険会社指定の診断書、入院の際の領収書のコピーなど)を揃えれば請求できる可能性もあります。保険が適用されるかもしれないと思ったら、まずは医療保険加入の窓口担当、保険会社のコールセンターに問い合わせてみましょう。

 

 

《まとめ》

 

吸引分娩は異常分娩と判断された場合に健康保険が適用され、自己負担は3割となります。また民間の医療保険に加入していて、出産が支払い対象となっている場合には、給付金が受け取れます。ただし保険の契約や契約時の(不担保)内容、加入時期によっては支払い対象から外れてしまうこともあるので注意しましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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監修者

大森 英則 先生

ファイナンシャルプランナー

1994年3月金沢大学経済学部卒業。住設機器メーカーに勤務
2006年8月アクサ生命入社(新人賞、海外表彰受賞)
2009年2月ファイナンシャルアライアンス株式会社(保険代理店)入社
2009年1月大森FP事務所設立
2018年1月FP相談室に変更、某新聞社様記事掲載、某ラジオ番組出演
2019年6月株式会社HFP取締役就任
2020年4月ファイナンシャルアライアンス名古屋支店副支店長就任

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