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2021.06.18

妊婦さんは焼肉を食べても良い?注意すべき食べ方と食べる部位を解説【東京都栄養士会監修】

妊娠中には体力をつけるために、焼肉を食べたくなる時もありますよね。しかし妊娠前と同じように焼肉を食べて良いのか、悩むのではないでしょうか。妊婦さんが焼肉を食べる時は、食べ方と食べる部位に注意をしましょう。

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妊婦は焼肉を食べてはいけないの?

妊婦の焼肉

 

妊娠中でも焼肉を食べることに問題はありません。ただし焼き方や肉の部位、食べる量に注意する必要があります。

 

妊婦が気をつけたい肉による感染症

牛や豚などは、と畜場(食肉処理場)で解体処理されます。その過程で、腸内にいる腸管出血性大腸菌やサルモネラのような病原性の細菌が、肉や内臓に付着することがあります。そのためE型肝炎ウイルスなどの、人に害を与えるウイルスや寄生虫に感染している場合があります。

このため新鮮なものかどうかに関わらず、生や加熱不十分なものは、重篤な食中毒が発生する危険性があるのです。またイノシシやシカなどの野生鳥獣(ジビエ)では、家畜のように飼育が管理されていないことから、さらに生食することは危険です。

細菌やウイルス、寄生虫は加熱により死滅します。お肉やレバーなどの内臓は、よく加熱して食べましょう。

 

トキソプラズマ症には要注意

また妊娠中に気をつけたい感染症として、「トキソプラズマ症」があげられます。

トキソプラズマ症とは、牛、豚、鳥、猫など多くの哺乳類や鳥類に寄生する「トキソプラズマ」という原虫によって起こる感染症。トキソプラズマは、加熱が不十分な肉を食べることで感染する場合があります。

 

 

妊婦が焼肉を食べる時の注意点

妊娠中に焼肉を食べる時には、以下のことに気をつけましょう。

 

生肉はNG!中心部までしっかり加熱した焼肉を

馬刺し、ユッケなどの生肉や生ハムは食べないようにしましょう。そしてトキソプラズマやそのほかの食中毒を予防するために、肉は中心部まで火が通るようしっかり加熱しましょう。また、肉を焼くときに使用する箸やトングにも、トキソプラズマやそのほかの食中毒の原因になる細菌やウイルスが付着している可能性があります。箸やトングは必ず、生肉用と焼肉用で使い分けるようにしましょう。

 

生肉を調理したまな板や包丁は清潔に

焼肉を食べる時の注意

 

家庭で調理する場合は二次汚染の防止のためにも、サラダなど生で食べる野菜や果物は生肉に触れる前に、調理を済ませておきましょう。生肉、生魚など加熱食材を切ったあと、同じまな板で野菜などの非加熱食材を切ると、まな板に残った細菌が非加熱食材に付着して食中毒事故に発展する可能性が高まります。生肉を調理した包丁やまな板や使用したスポンジは、よく洗い、衛生的に保ちましょう。

 

※土の中にはトキソプラズマや食中毒菌が潜んでいることがあります。ガーデニングや畑仕事などの土を触る作業後は手を石けんでよく洗ってください。焼肉に限らず、生野菜や果物は土が残らないようしっかり洗いましょう。

 

レバーに含まれるレチノールの過剰摂取に注意

焼肉のメニューにもよくあるレバーには、動物性食品に含まれるビタミンA(レチノール)が多く含まれています。レチノールは皮膚や粘膜、目の健康維持などに必要な栄養素。ですが妊娠初期にレチノールを摂り過ぎると、赤ちゃんに形態異常が起こる可能性が指摘されています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」にて、過剰摂取による健康障害が報告されているものは、「サプリメントあるいは大量のレバー摂取などによるもの」と記載されています。

 

≪参考≫

食品100g当たりのレチノール当量

・鶏レバー(生):14,000μgRE

・豚レバー(生):13,000μgRE

・牛レバー(生):1,100μgRE

 

ビタミン A の食事摂取基準(μgRAE/日)

女性の推奨量

・18~29歳:650μgRAE/日

・30~49歳:700μgRAE/日

・妊娠後期は上記に+80μgRAE/日

・耐容上限量:2700μgRAE/日

 

耐容上限量(tolerable upper intake level:UL)とは

健康障害をもたらすリスクがないとみなされる、習慣的な摂取量の上限を与える量。これを超えて摂取すると、過剰摂取によって生じる潜在的な健康障害のリスクが高まると考える。 

 

上記を参考に、耐容上限量である2700μgRAE/日を超えない量とすると、鶏レバーも豚レバーも20g程度になります。毎日ではなく、時々少量を食べることにしましょう。レチノールを多く含む食品を継続的に摂取することや、サプリメントによりビタミンAを過剰に摂取することに気を付けましょう。

 

焼肉の食べ過ぎには注意

どんな食品でも食べ過ぎには注意が必要ですが、適量なら妊娠中の健康維持に大いに役立ちそうです。以下の2点に注意してお楽しみください。

 

(1) しっかり加熱しましょう

(2) 食べ過ぎに注意しましょう

 

肉には高脂肪分の部位もあり、食べ過ぎが体重増加につながり、消化機能に負担がかかる場合もあります。食べる時はゆっくり良く噛んで、負担のない量を食べましょう。

体重増加が気になる時は、モモやヒレといった脂肪が少ない部位がお勧めです。野菜を一緒に食べ、タレは少量に控えレモン汁を使用するなど、バランスのよい食事を心がけてください。

 

 

妊婦に嬉しい肉の栄養素

肉に含まれるたんぱく質は健康維持に欠かせません。野菜やごはんなども一緒に食べて栄養バランスを整えましょう。

 

肉は良質タンパク質

肉や魚などの動物性たんぱく質を含む食品を食べることは、人が健康に生きるために大切なことです。牛肉、豚肉、鶏肉などは、20種類のアミノ酸からなるたんぱく質を豊富に含み、このうち人間の体で作り出すことができない9つのアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。

このアミノ酸バランスが整った食品が「良質たんぱく質」。その代表格が肉や魚などの動物性たんぱく質です。大豆などの植物性たんぱく質も大切ですが、必須アミノ酸のバランス(アミノ酸スコア)という点では、動物性たんぱく質のほうが植物性たんぱく質より優れています。たんぱく質は筋肉や臓器などを作る材料になりますので、健康維持に欠かせません。

 

また牛肉や豚肉の脂肪には、植物油にはほとんど含まれていない必須脂肪酸の1つである、アラキドン酸が含まれています。アラキドン酸の一部は脳内で「アナンダマイド(アナンダミド)」という物質に変化します。この物質は別名「至福物質」とも呼ばれ、幸福感や高揚感をもたらすことが知られています。アナンダマイドには、リラックス効果や記憶力増進など、心身に様々な良い効果をもたらす可能性があるともいわれており、今後の研究が期待されています。

 

 

《まとめ》

 

わからないことや不安なことがありましたら、かかりつけの医療機関のほか、お近くの保健所、市区町村の母子担当係等へお問合せいただくことをお勧めします。

 

※写真提供:PIXTA

 

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