【専門家監修】
妊娠・育児を楽しく学べるママ向けメディア

お知らせ *★まなべび公式アンバサダー★*募集中です

2021.03.08

妊娠中の仕事はどうする?【産科医に聞く】職場報告から働き方まで

妊娠は突然やってきます。特に最初の妊娠は突然です。そしてそれは同時に職場や会社にとっても、突然やってくることになります。妊娠時点では入籍していないカップルも多いので、雇用者にとってみれば「独身だったのに急に妊娠するなんて」と絶句されることもしばしばです。

本人も職場も、「妊娠しただけで、仕事には関係ない」「産休に入るまでは普通に生活できるでしょ」と考えてしまいがちです。特に先輩妊婦さんがトラブルなく経過した前例があると、妊婦さん・職場の双方が楽観的に考えているときがあります。今回は、妊娠と働き方の解説を中心に、仕事にさし支える症状についても触れていきたいと思います。

  • facebook
  • twitter
  • line
  • hatena

22


 

妊娠がわかったらすぐに職場に報告する?

職場への妊娠報告

 

妊娠報告は、「エコーで胎児心拍を確認してもらってから」とよく説明をしています。妊娠を期待していた女性の場合、妊娠反応のセルフチェックで陽性反応が出たら、嬉しくなって色々な人に報告したくなるかもしれません。

でも、流産の落とし穴があります。実は妊娠反応が陽性と出た方の約10%は流産に終わります。妊娠を嬉々として報告した後に、流産してしまったら。本人のダメージも当然ながら、同僚までもが流産を知る羽目になり、気まずくなることも想像できます。

また、苦手な職場の人にまで自分のプライバシーを晒してしまうリスクもあります。胎児心拍の確認が出来る妊娠6週以降であれば、流産のリスクは減ります。

 

つわりが辛くても妊娠報告は待つべき?

つわりの出現には、かなり個人差があります。同じ妊婦さんでも、最初の妊娠の時はつわりがなかったのに、2回目の妊娠の時には水も飲めないほどつらいという方もいます。

 

一般的につわりのピークは妊娠8週から9週です。妊娠反応が陽性になったり、産婦人科のエコーで妊娠が確認できるのは、妊娠4週中盤以降のことが多く、さらには先に書いた胎児心拍の確認は妊娠6週の出来事です。つまり、妊娠してすぐつわりが出現するわけではありません。

つわりは不健康な状態です。病気なのです。我慢することが美徳ではありません。ぜひ職場に報告し、自分の体を労わりましょう。

 

関連ページ

【つわりの基本】いつから?どんな症状?対策方法を助産師が教えます

 

 

妊娠初期の出血は出勤してもいいの?

妊娠初期、特に妊娠10週までの間に、約3割の妊婦さんが性器出血を経験します。

妊娠初期に出血した場合は切迫流産と診断され、自宅での安静を勧められます。出血量が多い方は入院するケースもあります。しかし、切迫流産が必ず流産(妊娠が継続不可能になってしまうこと)に直結するわけではありません。

大半の方は少し待てば止血し、胎児への影響もないことがほとんどです。

 

以前は、切迫流産の方は、ほぼ全例止血するまで入院としていました。しかし最近では、少量の出血があっても仕事を続けたいという妊婦さんも多くいます。これらはケースバイケースなので、担当の産婦人科医に相談しましょう。

 

関連ページ

【切迫流産とは】原因&症状を産科医が解説!ママは自分を責めないで

 

 

母性健康管理指導事項連絡カードを活用しよう

妊娠中の仕事

 

つわり・出血だけでなく、お腹の張り、むくみなど、妊娠中には身体の不調がつきものです。勤務だけでなく、通勤もひと苦労です。

その際には、母性健康管理指導事項連絡カードの利用をお勧めします。重い病気の時だけでなく軽い不調の際、勤務先に業務短縮や休憩・時間差通勤を申請することができます。

厚労省の指針であり、勤務先はこのカードの記載に従わなければなりません。最近は新型コロナウイルス感染症の感染を避けるため、通勤を回避するために用いることもできます。

 

カードといっても、実際はA4サイズです。母子手帳にも添付されていますし、厚生労働省のホームページからダウンロードもできます。

妊婦さんがプリントアウトしなくても、かかりつけの産婦人科には同じフォーマットが用意されています。

※参考:厚生労働省「母性健康管理指導事項連絡カードの活用方法について」

 

かかりつけの病院で妊婦健診時に、自覚症状や現在の働き方について医師と相談します。

健康診査をした上で、何らかの仕事調整が必要と医師が判断した場合、その指導内容を医師がカードに記載します。

これは診断書と同等の効力がある正式な証明書です。発行にかかる料金は病院によって違いますが、一般的な診断書と同じかそれ以下の料金です。

出来上がったカードの提出先は会社によって違いますので、まずは直属の上司に伝えて確認しましょう。

 

 

新たにできた「妊婦休業補償」とは

新型コロナウイルス感染症が妊婦さんとお腹の赤ちゃんにどのような影響があるのか、まだわからないのが現状です。そのような不安の中で仕事を続けなければならないことにストレスを感じているママもいます。

「妊婦休業補償」はそのようなママが有給で休めるよう、国が助成金を支給する制度です。

この制度は事業主が国に申請をしなければ施行されません。まずは妊婦さん自ら、事業主に対応をお願いするところから始める必要があります。

 

詳しい情報は厚生労働省のサイトに記載されています。

※参考:厚生労働省「職場における妊娠中の女性労働者等への配慮について」

 

助成金に関する問い合わせ、事業主にどう伝えれば良いかわからない、事業主に措置を講じてもらえないといった相談も特別相談窓口で受け付けてくれます。

※参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置及び同措置による休暇取得支援助成金に関する相談・申請窓口」

 

申請が複雑であり、企業自体で必要性がないと判断する場合が多く、なかなか利用が進んでいないのが現状ですが、妊娠中のママと赤ちゃんが安心して過ごせるよう社会全体でサポートする制度が広まると良いですね。

 

※写真提供:PIXTA

           

平成5年東京慈恵会医科大学卒業。
医局は慶應義塾大学医学部婦人科学教室にて研鑽を積む。
平成14年慶應義塾大学大学院医学研究科を満期単位取得し、臨床に専念。
神奈川県の大和市立病院を経てワキタ産婦人科を継承
【主な資格】
医学博士
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
母体保護法指定医

>詳しく見る

イベント・セミナー
妊娠・出産について学べるイベントやセミナーを紹介

>イベント・セミナー一覧
  • オンライン(録画配信) 無料

    4月11日開催 マタニティヨガ~安産に向けてリラックス「呼吸」を意識しよう~(無料)

    開催日
    2024/4/11(木)
    10:00~10:30
    詳細
    開催日
    2024/4/12(金)
    14:00~14:30
    詳細
    開催日
    2024/4/12(金)
    20:00~20:30
    詳細