PICK UP!
2021.08.23
産休・育休中に給与はもらえる?【手当や給付金の金額や申請方法】
妊娠、出産、育児で働くことができなくなり、出費ばかりがかさむと不安になってしまいますよね。今回はママ達が気になる、「産休中・育休中に給与はもらえるのか?」「給与の他にもらえるお金はあるのか?」という内容を解説していきます。
目次
産休・育休中の「給与」は原則支払われない
産前産後休暇(産休)中・育児休業(育休)中の給与は、企業に支払いの義務はなく、原則として支払われない場合が多いです。そのかわり手当金や給付金の制度によって、今までもらっていた給与の何割かがまかなわれることになります。
産休・育休中にもらえるお金と保険料の免除
産前産後休暇(産休)中・育児休業(育休)中は給与の補填として、健康保険の出産手当金、雇用保険の育児休業給付金の制度があります。被保険者で一定の条件を満たしていれば申請が可能です。
1. 産休中にもらえる「出産手当金」
出産手当金は健康保険から支給される手当金です。産休中に給与が支払われない女性に対し、出産や生活にかかる費用を援助するために設けられました。健康保険に加入していれば、正社員でなくても支給の対象となります。
■出産手当金の支給金額
出産手当金として支給される金額は、以下の計算式で求めることができます。
支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30×2/3×支給期間(産休で休んだ日数)
標準報酬月額とは、毎月の給与など報酬の月額を、区切りのよい期間で区分したものです。
■出産手当金の申請方法
出産手当金の手続き方法は以下の通りです。
①出産手当金の申請用紙を勤務先(またはダウンロード等)から入手する
②産院の窓口に用紙を提出し、必要事項を記入してもらう
③勤務先に出産手当支給申込書を提出し、必要事項記入後、産後57日目以降に申請する。
勤務状況や賃金など会社側で記載する箇所もあり、多くの場合はそのまま会社経由で申請となります。
■出産手当金の支給期間
出産手当金は出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日※から出産日の翌日以降56日までのうち、給与の支払いのなかった期間支払われます。
※多胎妊娠の場合は98日
出産手当金の申請は産休を終えた後に行うため、最も早くても出産後57日目以降の手続きになります。出産手当金が口座に振り込まれるまでには、出産後から2ヶ月半~4ヶ月ほどかかることを頭に入れておきましょう。
2. 育休中にもらえる「育児休業給付金」
育児休業給付金は、育児休業者が仕事をできない間の給与を補填し、生活に困らないようにするための制度です。雇用保険の制度のため、勤務先で雇用保険に加入していることが前提となります。
■育児休業給付金の支給金額
育児休業開始日から1ヶ月ごとに期間を区切り、この1ヶ月を支給単位期間といいます。育児休業給付金の給付額は、以下の計算式で求めることができます。
休業開始時賃金日額×支給日数(通常は30日)×67%(育休開始から181日目以降50%)
休業開始時賃金日額とは、産休前の6ヶ月間の賃金(給与額面)を180(日)で割ったものです。
■育児休業給付金の申請方法
申請は一般的には会社経由で行います。申請書類の他にも母子手帳の写しや、会社側で賃金台帳や出勤簿などを証明書類として添付します。
初回の申請による支給は、育休開始から約3ヶ月弱かかります。その後も2ヶ月ごとの申請になるため、支給のタイミングを頭に入れた資金繰りが必要です。
■育児休業給付金の支給期間
育児休業給付金の支給期間は、産後休業期間の終了以後、その翌日から子どもが1歳となる前日まで(父母共に育児休業を取得する場合は1歳2ヶ月まで)です。
保育園の受け入れができないなどの場合には、期間の延長が可能となります。延長はまず1歳6ヶ月まで、それ以後も条件を満たす場合は2歳までの延長が可能です。
3. 子育て世帯がもらえる「児童手当」
児童手当は子どもを育てている親に支給される手当です。子育て世帯への助成を目的としています。
■児童手当の支給金額
児童手当の金額は、3歳未満は15,000円、3歳以上は10,000円です(ただし第3子は3歳以上でも小学校修了前まで15,000円、中学生は10,000円)。
また所得が限度額以上となった場合は、児童1人につき、月額一律5,000円となります。
■児童手当の申請方法
児童手当の申請方法は、お住まいの自治体の役所で手続きをします。期限は出生日から15日以内で、申請期間が過ぎてしまった月の分は支給されません。
■児童手当の支給期間
支給期間は0歳〜子どもが中学校を卒業するまで(15歳の誕生日後のはじめの3月31日まで)です。支給は毎月ではなく、毎年6月と10月と2月に、4ヶ月間分まとめて受け取ります。
4. 産休・育休中は「社会保険料の負担が免除」される
産休・育休中は社会保険料(健康保険と厚生年金)の免除が受けられます。産休・育休の開始月から終了前月までが社会保険料免除期間です。厚生年金について、保険料の支払いは免除となりますが、納付記録年は残り、受取年金が減額されることはありません。
申請書の提出は事業主経由で行う必要があります。事業主は産前産後の休業期間中に「産前産後休業取得者申出書」を健康保険組合、協会けんぽ等と日本年金機構へ提出します。なお、以上の出産手当金、育児休業給付金、児童手当は非課税です。
おすすめ情報
出産時の分娩・入院費用は出産育児一時金で補填できる
出産に関わる費用については、出産育児一時金でまかなうことができます。出産育児一時金は、健康保険または国民健康保険から、子ども一人につき42万円が支払われる制度です。
妊娠4ヶ月以上(85日以降)での出産であれば受給の対象で、専業主婦であっても夫の扶養に入っていれば家族出産育児一時金として受け取ることができます。
出産育児一時金は以下の3つの方法で受け取ることができますが、ほとんどの場合は直接支払制度を利用します。
・直接支払制度
・受取代理制度
・産後申請方式
直接支払い制度を利用する場合は、入院時などに書類にサインをすれば、手続きは出産する医療機関が行ってくれます。
《まとめ》
産休・育休中は給与の支払いがない場合がほとんどです。しかし手当金や給付金の制度により、減ってしまった給与の分の補填が可能になります。それぞれ申請が必要になるので、慌ただしい産休・育休期間中も忘れずに手続きすることが大切です。
監修者
1952年に名称を婦人少年協会として当時の労働省婦人少年局(現・厚生労働省雇用均等・児童家庭局)の外郭団体として発足。
1980年に財団法人となり、1999年、「女性労働協会」と名称を変更。
2012年には一般財団法人として、働く女性の地位向上及び女性労働者の福祉の増進を図ることを目的とし、さまざまな事業を展開している。
>詳しく見る最新の連載記事
-
妊婦さん&子育てママにXで聞きました!
Xでは妊婦さん&子育てママの投票企画を実施中!食事や運動、旅行や趣味、プレゼントなど様々なテーマでの投票結果をまとめました。 -
ベビー用品準備!失敗しないためのグッズ選び
出産に向けたベビー用品の準備!どのように選ぶ?先輩ママに聞いた、失敗しないための賢いベビーグッズの選び方です。 -
先輩ママの“妊娠・出産・育児”にまつわる座談会
妊娠期から出産・育児にまつわる悩みやその乗りこえ方など、経験談をおしゃべり!先輩ママ達の本音を深く掘り下げます。 -
【働くママが知って安心】妊娠・出産・育児の制度
働く女性が妊娠・出産後も仕事と家庭を両立させるための方法やサポート・制度などを詳しく紹介します。監修:一般財団法人女性労働協会
イベント・セミナー
妊娠・出産について学べるイベントやセミナーを紹介
-
オンライン(録画配信) 無料