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2024.07.11
【助産師監修】ディーマー（不快性射乳反射）とは？授乳が気持ち悪いと悩んだら
産後のママが授乳をする度に、「嫌な気持ち」「不快」になるディーマー（不快性射乳反射）。「こんな症状は自分だけ？」と不安になることでしょう。この記事では、ディーマーの概要や原因、対処法について解説します。
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目次
- 授乳で吐き気？ディーマー（不快性射乳反射）とは
- ・母乳はホルモンの働きで分泌される
- ・ディーマーの原因はホルモンである
- ディーマーの症状とは？いつまで続く？
- ・ディーマーのよくある症状
- ・ディーマーはいつまで続く？
- ディーマーの対処法
- ・1. 自分の症状について分析する
- ・2. ディーマーについて理解する
- ・3. 最初の数分は授乳から気を逸らす
- ・4. ストレスを解消する
- ・5. 水分をしっかり摂る・カフェインを避ける
- 《先輩ママ》ディーマーはこんな風につらかった
- ・「赤ちゃんに吸われるのがどうしても無理」
- ・「授乳のときだけぽろぽろ涙が出る」
- ・「夫に触られるのも嫌だったし、授乳も嫌だった」
授乳で吐き気？ディーマー（不快性射乳反射）とは
「ディーマー」とは、Dysphoric Milk Ejection Reflexの頭文字をとってD-MERと表現され、母乳をあげているときに不快な気分や不安な気持ち、胃の不快感などの不快症状が現れること。
ディーマーが最初に報告されたのは2007年なので、知らないママも多いかもしれませんね。
母乳はホルモンの働きで分泌される
母乳が出るときは色々なホルモンが働いています。赤ちゃんが乳頭を吸うとママの脳下垂体をが刺激され、その後オキシトシンとプロラクチンが分泌されます。
オキシトシンは射乳ホルモンとよばれ、作られた母乳を外へ押し出す働きがあり、プロラクチンは母乳を作り出す働きがあります。
ディーマーの原因はホルモンである
ディーマーとは、ママの母乳が出る「射乳反射」の30～90秒前に起こります。射乳反射の度に不快症状が繰り返し起きるので、ママはつらいでしょう。個人の生育歴や分娩の体験などは、ディーマーに影響しないといわれています。
ディーマーに関してはまだわかっていないことが多く、文献が少ないのが現状。母乳を作るホルモンであるプロラクチンの血中濃度が上昇する時、ドーパミンという快の感情に関わるホルモンが一時的に低下することが原因ではないかと考えられています。ディーマーの症状は出る人と出ない人がいる理由も、わかっていません。
授乳をしていて吐き気や気持ち悪さが現れるので、母親失格ではないかと責めてしまうママもいます。しかし、ホルモンの働きが原因の生理的な現象なので、自分を責めないでくださいね。
ディーマーの症状とは？いつまで続く？
ディーマーには、どのような症状があるか解説していきます。
ディーマーのよくある症状
ディーマーには様々な症状があります。
【ディーマーの症状の例】
□ 胃の不快感
□ 不安感
□ 悲しみにとらわれる
□ 恐怖感
□ 気分の落ち込み
□ 緊張
□ 感情的な同様
□ イライラ
□ 絶望感
□ 否定的な感情
このような症状から、「産後うつではないか？」と疑うママもいます。ディーマーと産後うつは、まったくの別物です。
また、症状の重さには個人差があります。症状が軽い人もいれば、つらい気分になって授乳をやめたくなる人もいます。
ディーマーはいつまで続く？
ディーマーは授乳がきっかけで起こる生理的現象なので、一般的には90秒くらい、長くても数分で落ち着くことがほとんどです。
ディーマーが続く期間は、人それぞれ違います。およそ産後3ヶ月で落ち着くという研究報告もありますが、授乳期間中ずっと続いたママもいます。症状がつらい場合は、母乳外来のある病院やクリニック、助産院師に相談してみてくださいね。
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ディーマーの対処法
ディーマーの対処法をみていきましょう。
1. 自分の症状について分析する
いつどのような不快症状が出現するのか、記録しておきましょう。分析をすることで、どのタイミングで対策をしたらよいかわかるようになります。
2. ディーマーについて理解する
自分を責める必要はありません。ディーマーがホルモンの影響で起こること、大きな病気や産後うつではないと知るだけでも、自分の気持ちが楽になるでしょう。
3. 最初の数分は授乳から気を逸らす
ディーマーが起こるのは、授乳の最初の数分間。その間は、授乳から気を逸らしましょう。
・楽しいことを想像する
・食事をとりながら授乳する
・好きな音楽を聴く
・スマホで動画を見る
・テレビを見る
ディーマーの原因は、ドーパミンの分泌が一時的に減少することだと言われています。ドーパミンは快の物質であり、楽しい・ワクワクすることを想像すると分泌されます。
4. ストレスを解消する
体や心のストレスはディーマーの症状を悪化させるだけでなく、様々な不調を引き起こします。育児の合間で好きなことをする、美味しいものを食べるなど、自分をいたわる時間もとても大切です。
5. 水分をしっかり摂る・カフェインを避ける
ディーマーは、水分不足やカフェイン摂取で症状を悪化させるといわれています。母乳は血液から作られるので、ママが水分不足になると十分な母乳が作られません。授乳をしている間は、1日1.5～2リットルくらい水分を摂りましょう。
《先輩ママ》ディーマーはこんな風につらかった
実際に、ディーマーを体験した先輩ママの声を聞いてみましょう。
「赤ちゃんに吸われるのがどうしても無理」
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- 一人目の出産のときから感じていた、授乳中のゾワゾワする嫌な感じ。「こんなもんなのかな～」と思っていたので、特に気に留めていなかった。二人目を出産したときも、同様の嫌な感じが。一人目のときよりもひどく、助産師さんに相談した。その助産師さんはディーマーのことについて理解されていて、様々な対処法を提案してくれた。気を紛らわせるなど、色々な対処法について教えてくれましたが、なんだかしっくり来なくて。赤ちゃんに吸わせるのが無理だったので、直接母乳をあげるのは諦めて搾乳をすることに。マッサージはなんとか耐えられていたので、「搾乳だったらいけるかも？」と思いそれがよかったみたい。今でも母乳育児を続けられている。
「授乳のときだけぽろぽろ涙が出る」
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- 授乳って幸せな気持ちになるものだと思っていたけれど、想像したものとは違った。授乳以外ではそうじゃないのに、授乳のときだけ、いなくなりたいとぽろぽろ涙が出る。こんな自分は母親失格なのではないかと思った。助産師さんに相談しても、「マタニティ―ブルーだね」と片付けられてしまって…。入院中は色々な助産師さんと関わったのですが、ディーマーに気付いてくれた方がいて救われた。一緒に考えてくれた対処法のうちぴったりだったのは、テレビを見ながら授乳をすること。本来テレビを見て授乳をすることは育児上よくないことだと思う。ただ私にはこれが合っていて、多少の不快感はあるが、授乳中に涙が出ることはなくなった。ディーマーは助産師さんでも知っている人と知らない人がいる。もっと認知が広がって対処できたら、救われるママがたくさんいるかもしれない。
「夫に触られるのも嫌だったし、授乳も嫌だった」
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- 授乳の度に気持ち悪い、胃がむかむかする、イライラする症状に悩まされていた。「私の体、出産でおかしくなっちゃった？」と思い助産師さんに相談したら、「ディーマーってやつかもね」という返答。ディーマーという言葉を聞いたことがなく当初はビックリしたが、生理的な現象だと知ってほっとした。助産師さんによると、授乳のときに嫌な気持ちになる、ゾワゾワする感じがあるママは結構いるとのこと。自分だけではないことを知れてよかった。授乳時に食事をするなど気を紛らわせて、なんとかやりすごしている。ちなみに夫に胸を触られるのも嫌だった！ディーマーと関係あるのかはわからないが…。
《まとめ》
ディーマーは授乳のときに感じる不快な症状で、ドーパミンの一時的な減少が原因だと言われています。授乳の最初の数分は気を逸らすなどして、自分なりの対処法を探しながら授乳してみましょう。あまりにも授乳がつらいときは、母乳外来がある病院やクリニック、母乳ケアをしている助産院師に相談してみてくださいね。
※写真提供：PIXTA
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ママのお悩みの声
国立福山病院附属看護学校卒業後、看護師として勤務。
第二子出産後、岡山大学医療技術短期大学部専攻科助産学特別専攻に進学し、助産師免許取得。
大学の非常勤講師、産婦人科病院、不妊治療専門クリニックなどで勤務。
現在は助産院勤務しながら、自身の出張・オンライン専門のすまいる助産院を開業中。産前産後の身体と心をサポートしてます。
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