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2021.07.12
妊婦さんはなぜ暑い?妊娠中に暑さを感じる理由と乗り越え方【助産師】
妊娠するといつもよりも暑く感じることが多くて、汗もたくさんかくようになります。ここでは妊婦さんはなぜ暑さを感じやすいのか、その理由について説明します。またこれからの暑い夏を少しでも快適に過ごせるよう、対処法や注意点についてまとめました。
目次
妊婦さんが暑いと感じやすい理由
妊婦さんは特に、妊娠初期と妊娠後期に暑さを感じることが多いといわれています。その原因をみていきましょう。
妊娠による高温期で暑い
妊娠前の女性は月経の影響から、低温期と高温期を繰り返しています。生理が始まってから排卵までを低温期、排卵から生理開始までを高温期といいます。妊娠が成立した場合、高温期がしばらく続くことになるため、妊娠初期は暑いと感じる人が多いようです。
ホルモンによる体温上昇で暑い
妊娠すると赤ちゃんを守るために、子宮内膜を変化させるホルモンが働きます。そのホルモンはプロゲステロンと呼ばれ、体温を上昇させる作用もあります。さらに水分を体の中に蓄える作用もあるため、妊婦さんはいつもよりも喉が乾きやすく暑さを感じます。
皮下脂肪の増加で暑い
妊娠すると胎児を守るため、また出産に向けてエネルギーを蓄えるために、皮下脂肪が増えます。妊婦さんは皮下脂肪が増え、体重も増えることでエネルギーをたくさん使うことになり、それと同時に熱も多く作られるようになります。皮下脂肪は体温を維持する働きがあるため、体にその熱を溜め込むことで暑さを感じます。
妊娠期の乳腺の発達で暑い
産後の授乳に向けて、妊娠中は乳腺の発達が活発になります。そのため妊婦さんは胸元から首にかけての血流がよくなり、暑く感じることがあります。
妊婦の暑い夏の乗り越え方
妊娠して暑さを感じやすいのに、さらに夏場は本当に暑くて毎日過ごすのが大変ですね。妊婦さんが少しでも快適に夏を乗り切るため、対策をまとめました。
妊婦の暑さ対策1. エアコンと寝具
妊婦さんは様々な場面で暑さを感じますが、特に悩まされるのは夜の寝苦しさです。暑いけれど、体を冷やすとお腹の赤ちゃんに影響があるのでは?と心配になって、エアコンを使うことに躊躇してしまう妊婦さんも多いのではないでしょうか。
しかし暑い中で過ごすと脱水や熱中症になる可能性があり危険ですので、無理せずエアコンを利用しましょう。エアコンは心地よく過ごせる温度に設定し、調整して体に負担をかけずに快適に眠りましょう。
また、扇風機を併用することで冷房の効き過ぎを防ぐことができます。
寝具はひんやりするタイプのパッドや、枕カバーを使用するのもよいですね。また天然素材の綿や麻100%の寝具はさらりとした肌触りで、自然に汗を吸収してくれるので妊婦さんにおすすめです。
妊婦の暑さ対策2. 直射日光を浴びない
妊婦さんが外出する時は、日傘や日焼け予防のアームカバーなどを利用して直射日光を浴びないようにしましょう。日差しが強い時間帯の11時〜15時の間は、なるべく外出を避けるのもよいですね。
また室内でも熱射病にはなりますので、直射日光が当たらない工夫が必要です。カーテンやタープなどで、窓から直接日光が入らないように工夫しましょう。
妊婦の暑さ対策3. タンパク質摂取と水分補給
妊婦さんに必要な栄養素は血液や筋肉、エネルギーの元となるタンパク質です。貧血予防にも効果的です。暑い夏を乗り切るためにも肉、魚、豆類を積極的に摂りましょう。夏バテであまり食欲のない時は、プロテインを飲むのもおすすめです。
うなぎやレバーはビタミンAが豊富で、夏を乗り切るためにおすすめの食材です。しかし摂り過ぎると胎児の奇形を促すこともあるため、特に妊娠初期は注意が必要です。週に1回くらいを目安に摂取しましょう。
また妊婦さんは季節に関係なく、水分補給は大切。特に汗をよくかく夏は意識して水分をとるようにしましょう。1日1.5Lから2Lを目安に、少しずつこまめに補給するのがよいです。水やお茶でもよいですが、夏は電解質のバランスが崩れやすいため経口補水液がおすすめです。スポーツドリンクは糖分が多いため、多量に摂取するのは控えましょう。
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暑いだけではない!妊娠中に注意すべき症状
妊婦さんは体温が上がっている状態に慣れてしまうと、隠れた病気に気づかない場合もあります。
腎盂腎炎
腎盂腎炎(じんうじんえん)は妊婦さんによくみられる病気です。子宮が大きくなり尿管などが圧迫され、尿の流れが悪くなり腎臓が炎症を起こしてしまう病気です。発熱と一緒に腰の強い痛みや排尿痛、吐き気などの症状も出ることがあります。このような症状がある時は、かかりつけの産科を受診しましょう。
熱中症
妊婦さんは熱中症にかかりやすいので特に注意が必要です。
最初は立ちくらみや足がつる、筋肉の痛みなど妊娠期のマイナートラブルと区別がつかない症状であるため、見逃されてしまうこともあります。次に頭痛や吐き気、だるさの症状があり、それよりも症状が進行すると酸欠で倒れてしまうこともあります。
夏場は、このような症状を妊娠期のマイナートラブルと軽く考えないように。少しでも変だなと思ったら日陰で休む、塩分と水分を摂取するなど早期に対策をとりましょう。
《まとめ》
妊婦さんはホルモン分泌や皮下脂肪の増加、乳腺の発達によって暑さを感じやすいのが特徴です。これからの暑い夏に向けて、体を必要以上に冷やさない工夫をしながらエアコンを上手に活用したり、直射日光を避ける、栄養と水分をしっかり摂取するなどの対策をとって快適に過ごせるようにしましょう。
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監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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