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2020.11.24
妊婦さんの【これって痔?】妊娠中の痔の治療&セルフケアを紹介
妊娠中は痔になりやすく、多くのママが悩みを抱えているようです。 しかし恥ずかしくて相談しにくいのが本音ですよね。妊婦さんが「これって痔かも?」と感じたら、どうすればいいのか、産科医が解説します。
目次
妊婦さんの痔とは
痔とは、痛みや出血をともなう肛門部分の病気のこと。妊娠中はどうして痔になりやすいのでしょうか。
妊婦さんがなりやすい痔の種類2つ
●いぼ痔
肛門周囲の血管の集まりが腫れたようなもの。いぼのように肛門から出てきた状態。痛みや出血がともなう場合もあります。
●切れ痔
硬い便をいきんだり、勢いよく排便したりすることで、肛門近くの皮膚が裂けた状態。出血や痛みをともなうことが多いです。
他に膿が溜まるなどの炎症を起こす「痔瘻(じろう)」という種類もありますが、妊婦さんが経験することはあまりありません。
妊婦さんが痔になりやすい原因
一番の原因はなんといっても便秘です。これは、妊娠するとプロゲステロンというホルモンの影響で腸の動きが悪くなり、便が腸を通過する間に水分量が減って硬くなるためです。
便秘がひどくなると、排便時に強くいきむようになり、いぼ痔や切れ痔につながるのです。
また、いぼ痔の原因は、大きくなった子宮が骨盤内の血管を圧迫して、肛門周囲の血液がうっ滞する(溜まる)ことです。そうするとその部位の血管と皮膚が腫れ膨れます。そのような体の変化も痔の原因となります。
もし妊婦さんが痔かな?と思ったら
ではもしも痔の兆候がみられた場合、どうしたら良いのでしょうか。
■自然治癒を待つのではなく、早めに受診しよう
これって痔かな?と思ったら、まずはかかりつけの産婦人科医で相談してみましょう。軽症であれば産婦人科で治療できることもあります。恥ずかしがらず、早めに聞くようにしてください。
そしてもし痛みが強く、出血が多い場合には肛門科を受診したほうが良いでしょう。その場合は必ず妊娠中であることを伝えたうえで、診てもらうことが必要です。
■妊娠中の痔の治し方
基本的には産婦人科や肛門科で、軟膏や坐薬などの薬を処方してもらい治療します。これらの薬が妊娠の経過に直接、悪影響を与えることはほとんどありません。
もしそれでも症状の改善がみられない場合、手術となる可能性もあるでしょう。ただし麻酔の影響などを考えて、手術を受けるタイミングは医師とよく相談する必要があります。
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痔の悪化を防ぐ!おすすめ対処法
最後に痔をひどくさせないための、排便や食事など日常生活で気をつけるポイントを解説します。
痔を悪化させないポイント1. 排便
はっきり便意を感じてからトイレに行く、トイレに長時間座らない、肛門部はウォッシュレットなどを使用して清潔に保つ、以上のことを心がけましょう。
便意がないのに無理にいきむと痔が悪化することもあり、長時間トイレで座っているとそれだけで肛門に負担がかかります。出血がある場合は細菌感染をおこさないように、必ずウォッシュレットなどで洗浄しましょう。
痔を悪化させないポイント2. 食事
便通を整える食事を意識しましょう。食物繊維を含む野菜やヨーグルト、適度な水分摂取はおすすめです。痛みが強くなるような、香辛料などの刺激物は避けたほうがいいでしょう。
痔を悪化させないポイント3. 日常での意識
日常生活では、適度な運動を心がけましょう。長時間同じ体勢でいるのは好ましくないため、座っている時間が長い人は、1時間ごとに席を外すなど工夫してみてください。
お風呂ではおしりを温めるのが良いでしょう。清潔を保てますし、血行が良くなります。ただし膿が出ている場合は要注意。細菌感染の可能性があるので控えておくべきです。
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《まとめ》
妊娠中に痔に悩む人は多いもの。恥ずかしがってそのままにしておくと悪化する恐れもあります。「おかしいな?」「これは痔かな?」と思ったら、まずは妊婦健診の際に相談しましょう。
もしも痛みや出血が続いたり、他の症状が伴ったりする場合は危険サインと考えて、早めの受診をおすすめします。
※写真提供:PIXTA
平成5年東京慈恵会医科大学卒業。
医局は慶應義塾大学医学部婦人科学教室にて研鑽を積む。
平成14年慶應義塾大学大学院医学研究科を満期単位取得し、臨床に専念。
神奈川県の大和市立病院を経てワキタ産婦人科を継承
【主な資格】
医学博士
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
母体保護法指定医
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