「完全ミルク」育児を選択した経緯は?
―まず、完全ミルク育児を実践するに至った経緯を教えてください。
●まだいさん
産後は助産師さんに教わりながら母乳をあげていましたが、飲ませ方や姿勢など、常に気にしながらの授乳が苦痛に感じてしまいました。おっぱいの痛みも想像以上に辛く、退院後1週間くらいで完全ミルクへ切り替えました。
●えいさん
生後4ヶ月までは、母乳とミルクの混合で頑張りました。でも母乳の出が悪くて、それを子どもが嫌がり吸ってくれない事も増えていきました。搾乳した母乳を哺乳瓶で飲ませたりもしましたが、搾乳するのも一苦労。授乳の悩みで頭がいっぱいになり、ストレスで辛くなってしまって…区切りをつけて母乳を辞めましたね。
●あーさん
出産前から混合を希望していたので、母乳とミルクの両方を与えていました。ただ母乳があまり出るようにならず、おっぱいを拒否されるようになり、生後4ヶ月ごろからは完全ミルクです。
―初めから混合育児を望んでいたのは、どのような理由からですか?
●あーさん
夫や両親に預けることを考えてですね。母乳を与えながら、ミルクも飲んでくれるのが良いなと思いました。いずれは仕事にも復帰しますからね。
完全ミルクで育児するメリット・デメリットとは

―完全ミルクで良かったこと、メリットは何ですか?
●まだいさん
まず子どもを預ける時に困らないこと。夫や両親などが育児にたくさん参加できて、すごく良かったと感じています。それからミルクの準備さえあれば、人目を気にせずどこでも授乳できること。移動中や外出先でもミルクを飲ませられる安心感から、積極的にお出かけが楽しめます。
●あーさん
授乳室がない場所でも大丈夫ですからね。あとは完全母乳の赤ちゃんよりも、夜間まとまって寝てくれる時期が早いのはありがたいかも。自分がしっかり睡眠をとれると、体力の回復につながります。
●えいさん
私は母乳を与えていた時期、母乳の出が悪いことにプレッシャーを感じて気持ちが落ち込んだりしたので…完全ミルクにして精神的に楽になれました。それまでは自分の食事や栄養にもすごく気を配っていたので、たいぶ解放された気分です。
―では完全ミルクを実践していて大変だったこと、デメリットに感じたことはありますか?
●あーさん
ミルク代が高いのに加え、哺乳瓶や消毒液にも費用が必要。あとは夜中でも、授乳時は必ず起きて準備する手間がかかりますね。外出時の荷物がどうしても増えるのも、デメリットでしょうか。缶の液体ミルクは、そのまま飲ませられるのでとても便利です。
●まだいさん
私はとにかく、ミルクの規定量に翻弄されていたことです。娘はよく飲む子で、ミルク缶に記載された量では足りない様子なので困りました。規定量通りにあげなければいけないと思っていたので、お腹が空いて泣く子どもを必死にあやしながら、次の授乳時間を待つのが非常に大変。しばらくして助産師さんに「欲しがるだけあげても大丈夫よ」と言われてからは、規定量に振り回されないようになりましたが…。
●あーさん
本当にそう、飲む量がわかってしまうのが逆に悩みつながりますよね。初めての育児ですし、記載された規定量に縛られすぎました。後にミルク量は月齢よりも、体重増加で判断したほうが良いと知りました。
完全ミルクに対する家族・周囲の反応

―完全ミルクで子育てすることに、家族や周りの人はどのように感じていますか?
●あーさん
「ミルクでも元気に成長するから、母乳にこだわる必要はないよ」と理解してくれています。さらに祖母や友人までが、「ミルクを飲ませられて嬉しい」と言ってくれます。
●まだいさん
私も曾祖母に「まさかひ孫に授乳できる日が来るとは思わなかった!すごく嬉しい、長生きするものね。」と言われましたね。
●えいさん
私の場合、義理の母が完全母乳で子育てしてきた人。母乳がなかなか出ないことの悩みを共感してもらえず、少し悲しい気持ちになりました。そこで助産師さんから言われた、「今までのママの頑張りで母乳が出るようになったし、母乳をあげたい気持ちもわかる。期間を決めて辞めるのも大丈夫、とにかく後悔せず楽しく育児をして欲しい。」との言葉が、とても刺さりました。
完全ミルク育児を考えるママへのアドバイス

―最後に、これから出産するママや授乳で悩むママへ、どのような事を伝えたいですか?
●あーさん
周りの人が何か言ってきても心配しないで。ミルクでも十分健康に育ちます。ママが心穏やかに、赤ちゃんと向き合える方法で育ててください。やがて哺乳瓶を自分で持つことができる姿も、とてもかわいくて癒されますよ。
●えいさん
毎日子どもと触れ合うなかで、赤ちゃんはまだ小さくても、ママの気持ちを察しているような気がしています。だからいつでもママが笑顔で楽しく育児できることが、何よりも大切だと思います。
●まだいさん
母乳もミルクも、あくまで手段の一つ。どちらでもしっかり成長していきます。完全ミルクでも、ミルクならではの悩みが出てきますが、なるようにしかならないです。他の子と比較するのではなく、しっかりと我が子を見て、その子に合った授乳をしてあげてください。
―これまでの経験や考えをお話いただき、どうもありがとうございました。さまざまな苦悩や葛藤がありながら、完全ミルクを実践するママもいました。ですがみなさん納得して今の授乳スタイルを実践し、育児をとても楽しんでいる様子が伝わってきます。これから育児をスタートする新米ママはぜひこれを参考に、自分と赤ちゃんに合った方法を見つけてみてください。
文:まなべび編集部 写真提供:PIXTA