育休復帰のタイミングはいつがお得?決め方は?
一般的に育休復帰のタイミングは、子どもが1歳になるときです。
なぜ1歳なのかというと多くの場合、育休の対象となる子が1歳になるときに、育休中にもらえる育児休業給付金の支給が終了するからです。たとえば、保育園に入れないなどの理由で育休の延長を行わなければ、基本的に1歳で給付は終了します。
このような理由から、育児休業給付金の支給が終了するタイミングの復帰が、金銭的に一番得と言えます。しかし人によっては、半年の復帰がよいと考える人もいるでしょう。
育休中の給料は、育休前6ヶ月の平均給料の67%が、育休開始から6ヶ月間支給されます。その後の6ヶ月は50%の支給です。半年たつと支給額が17%減額になるため、金銭的な理由からこのタイミングで復帰する場合もあります。
育休中の社会保険料は免除
育休中の社会保険料は、申し出をすることで免除されます。しかし申し出を忘れると、これまでと同じ社会保険料を支払うことになるので注意が必要です。
申し出は事業主を通じて、育児休業等取得者申出書を年金事務所か健康保険組合に提出することで完了します。個人でやるのは、会社に育休の取得について申し出をすることです。
育休中の社会保険料免除では、社会保険料を支払わなくても実際に支払ったものとして取り扱われます。年金額を計算する場合、育休中で社会保険料を免除された期間は、保険料納付済期間として認められます。そのため、将来の年金支給金額には影響ありません。
復帰するタイミングは早めに家族に相談すること
どのタイミングでの育休復帰が得か考えるのは、大切なことです。育休復帰のタイミングを決めるために一番大切なのは、家族と話し合いを持つことでしょう。
ここ何年かで育児は女性だけの問題ではなく、子育てに参加する当事者全員の問題として理解されるようになってきました。誰か1人に負担が偏る、相手の負担をイメージできず独りよがりだと、子育てはストレスが溜まりやすく、つらいものになります。そのため、早い段階できちんと話し合っておきましょう。
育休復帰後に育児と仕事を両立するためのコツ
仕事と育児を両立しなければならない、という問題が発生します。ここからは育休復帰後に、しっかり育児と仕事を両立するコツを紹介していきます。育休は将来的に、仕事へ復帰することを前提に利用できる制度です。
職場へ仕事量を相談する
育休復帰後は、どのくらいのスケジュールで、どれ程の仕事をこなせるのかわかりません。なぜなら、どれだけ仕事に取り組めるのかは、子どもに左右される要素が多いからです。
小さい子どもは免疫力が低く、保育園やこども園で様々な病気や体調不良を経験することが多いです。子どもによって体調の良し悪しは違うので、復帰時点でどれだけの仕事量をこなせるかは分かりません。
早めにきちんと、こなせる仕事量がわからないことを伝えておけば、上司や同僚も仕事の振り方、量を調整しやすいでしょう。理解ある職場であれば、できる範囲での業務にしてくれるので、うやむやにせず相談しましょう。
ストレスコントロールをしっかりやる
育児でストレスがたまる原因は多々あります。
たとえば、自分の時間が極端になくなることが挙げられます。朝起きてから寝るまで子ども中心の生活になると、毎日が手いっぱいになりがちです。そのため自分のことはいつも後回しで、自己を労わる、趣味に時間を費やすなどストレスを解消する時間も取れません。
精神的な余裕がもてなくなると、パートナーや周りの手伝ってくれる人に、具体的にどうしてほしいか伝えられないことも。
大きなストレスが溜まり、やがて育児も仕事もできないくらいに心が疲弊してしまうケースもあります。少しの時間でもパートナーに子どもを預け自分の部屋にこもる、親に頼り自分の時間を作るなど、ストレスをコントロールしましょう。
子どもの預け先を見つける
育休復帰の前提条件として、仕事中に子どもを見てくれる人や施設を探さなければなりません。協力者や施設の協力なしで、仕事と育児の両立は難しいかもしれません。ここでは、預け先を紹介していきます。
■保育園
保育園には、認可保育園と認可外保育園があります。認可保育園は、国が定めた基準をクリアしている施設で、都道府県知事の許可が出ています。認可外保育園は、国が定めた基準をクリアしていない施設です。
ただし認可外保育園には、各都道府県が定めた基準はクリアしている認証保育園もあります。必ずしも認可保育園より劣っている、というわけではありません。
子供の数が多い地域では、認可保育園が定員オーバーで入園できない場合もあります。そのような地域に住む人は、認可外保育園も検討すると良いでしょう。保育園の定員状況については市町村で確認ができるため、事前に知っておきましょう。
なお保育園は利用できる時間が長いなどの理由で、フルタイムで働くママに人気があります。
■認定こども園
認定こども園は、幼児教育と保育を行う目的でつくられた施設です。認定は各都道府県で行っており、条例で認定される内容が決められています。保育園と違い、保護者が働いているかどうかに関わらず利用が可能です。
認定こども園は、入園時に就業条件がないため、パートタイムやフリーランスなどで働くママに人気があります。また保育園よりは、利用時間が短い施設が多いのも特徴です。
■病児保育
子どもが病気になったら、保育園や認定こども園は利用できません。そういった場合に利用できるのが、病児保育や病児シッターです。仕事をどうしても休めない、代わりに見てくれる人がいない場合は頼りましょう。
利用のためには、事前登録が必要な施設がほとんどです。いざという時に焦らないよう、復職前に見学や利用登録を済ませておくのをおすすめします。
夫婦で家事・育児を分担する
家事と育児を夫婦どちらか片方に丸投げしてしまうと、丸投げされた方は現実的に育休復帰が難しくなります。家事育児は分担するように、パートナーと話し合いましょう。
パパは家事をするだけで、育児はママに任せきりという事例がよくあります。パパは自分ができる家事を精一杯やって、ママに育児を委ねているのでしょうが、育児こそ分担して欲しいというのがママの本音です。
家事は自分のペースで行えますが、育児は自分だけでなく子どものペースで行わなくてはなりません。タスクがたまりやすく、それに比例してストレスも溜まります。
寝かしつけやオムツ替えなどできるだけ分担し、お互いに助け合うことが育休復帰に向けてのポイントです。パートナーが不得意とすることも、ママと一緒に練習していけると、よりよい子育て環境が築けるでしょう。
育休復帰に関わるお金のこと
育休復帰のタイミングや、育児・仕事の両立も大切ですが、やはり育休復帰に関わるお金のことも気になりますよね。ここでは社会保険や育児休業給付金など、気になるお金について詳しく説明していきます。
育児休業給付金
育休取得率は2020年で女性が81.6%、男性が12.65%です。男性は過去最高の取得率とはいえ10%台にとどまり、女性も決して高い率とは言えません。政府は2025年までに、男性の育休取得率を30%まで引き上げるとしています。
そんな育休ですが、取得すると条件次第で育児休業給付金が支給されます。これは冒頭にもお伝えしたように雇用保険から、最初の6ヶ月に育休前6ヶ月平均給料の67%が支給され、6ヶ月経過後は50%が支給される制度です。
社会保険
育休中の社会保険料については前述しましたが、育休復帰後の社会保険料はどうなるのでしょうか。育休中の免除は終了し、原則として育休前と同じように、社会保険料を支払わなくてはなりません。
しかし時短勤務や役職・部署変更など、子育てに有利な働き方に変えると、給料が育休前より減るケースもあります。社会保険料が変わらなければ、育休復帰後すぐの手取りが減ってしまうでしょう。
そんな人のために、育休復帰後3ヶ月の平均給料をもとに、4ヶ月目から保険料を改定できる制度が存在しています。制度を適用するためには、自らが会社に申し出た後に、会社が育児休業等終了時報酬月額変更届を年金事務所または健康保険組合に、提出する必要があります。
《まとめ》
育休復帰には、育児と仕事の両立・周りの理解とフォロー・ママとパパの工夫・健康が何より大切です。子どもにとって親はあなたとパートナーしかいません。可能な範囲で周りを頼り、仕事でできないことは思い切って相談しましょう。
※写真提供:PIXTA
1952年に名称を婦人少年協会として当時の労働省婦人少年局(現・厚生労働省雇用均等・児童家庭局)の外郭団体として発足。
1980年に財団法人となり、1999年、「女性労働協会」と名称を変更。
2012年には一般財団法人として、働く女性の地位向上及び女性労働者の福祉の増進を図ることを目的とし、さまざまな事業を展開している。
>詳しく見る