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2021.07.19
妊娠中に薬を飲んではいけない?妊娠初期は胎児への影響に注意【産科医】
「妊娠しているのに気づかず薬を飲んでしまった!」「妊娠中、頭が痛いけれど薬を飲んでもいいの?」「妊娠していることを伝えて病院にかかったけど、出された薬は本当に飲んでいいの?」など妊娠中に薬を飲むことで、赤ちゃんに影響があるのか心配になる妊婦さんも多いですね。ここでは妊娠中に薬を飲むのはNGなのか、妊娠期別の薬が胎児に与える影響について、さらにサプリメントの注意点について解説します。
目次
妊娠中に薬を飲んではいけないの?
一部の薬剤を除いて、一時的に内服する薬は、妊娠中に飲んでも胎児に影響がないものがほとんどです。辛い症状があるのなら、薬を飲まずに我慢する必要はありません。
妊娠中に市販の痛み止めや風邪薬を飲むこと
市販の薬は病院で処方されるものよりも弱い成分のため、短期間で一時的に内服する分には心配はないと言われています。しかし市販薬でも添付文書をよく読んで、妊婦さんでも服用可能か、どれくらいの期間服用しても大丈夫なのかを、確認してから内服するようにしましょう。迷うときには、ドラッグストアの薬剤師に相談しましょう。
病院では妊娠中だと必ず伝えて
病院では妊娠していることを伝えれば、妊娠中でも影響のない薬を処方してくれます。診察中に医師に妊娠していることを再度確認し、薬の飲み方も聞いておくと安心です。それでも心配な場合はかかりつけの産婦人科医に確認すると確実です。また、処方箋を受けてくれる薬局でも妊娠していることを伝えるとより安心です。
妊娠中に注意したい胎児に影響のある薬
一部の抗生剤、血液をサラサラにする薬、向精神薬などの中には、胎児に影響のある薬があります。妊娠前から持病があって長く薬を服用している人は、特に注意が必要です。
以下が禁忌とされている薬です。
・抗凝固薬(ワルファリン)
・向精神薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗てんかん薬全般
・ホルモン剤
・抗菌薬(アミノグリコシド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系)
・免疫抑制剤
持病のある人が妊娠した場合は、すぐにかかりつけの医師に妊娠したことを伝えましょう。産婦人科医師と連携をとりながら、薬剤の調整をしていく必要があります。
妊娠初期は特に薬に影響を受けやすい
妊娠週数によって、薬が胎児に与える影響の度合いに違いがあります。妊娠期間の中でも、妊娠初期(妊娠4週〜妊娠15週)は最も影響を受けやすい時期です。
【妊娠4週未満】の服薬
この時期は無影響期といって胎児の体の器官がまだ作られていないため、薬が奇形などを引き起こすリスクはかなり低いです。妊娠4週未満の受精卵が薬の影響を受けた場合、着床しなかったり、流産となったり、もしくは完全に修復されることになります。(All or nothing、つまり妊娠するかしないかで奇形があるかないかは関係ないです。)
妊娠に気づかずに薬を飲んでしまったと、心配になる人がいるかもしれませんが、妊娠が継続できていれば大丈夫です。ただし、残留性のある薬の場合は成分が体内に残ったまま妊娠4週を過ぎることも考えられるため、注意が必要です。
【妊娠4週〜7週】の服薬
妊娠4週~妊娠7週は器官形成期と言って、胎児の脳や神経系、心臓、胃腸など重要な器官が形成される大切な時期です。絶対過敏期といって薬の影響を最も受けやすいとされています。奇形を引き起こす可能性のある薬の服用は避けましょう。
【妊娠8週〜15週】の服薬
妊娠8週~妊娠15週の時期は相対過敏期といって、胎児の重要な器官の形成は終わっています。ですが口蓋や手足・性器などは形成途中のため、まだ注意が必要な時期です。引き続き薬の服用は慎重になりましょう。
【妊娠16週以降】の服薬
器官形成は終了し、奇形の心配はほぼありませんが、多くの薬剤は胎盤を通って胎児に移行します。胎児の発育を抑制したり、子宮内胎児死亡、分娩直後の胎児適応障害、胎盤からの薬剤が急になくなることによる離脱障害が問題となります。前述の禁忌とされている薬や、安全性が確認されていない薬に関しては慎重になりましょう。
おすすめ情報
妊娠中はサプリメントにも注意が必要
サプリメントは薬ではありませんが、過剰摂取すると胎児の成長に影響を及ぼす可能性のある成分もあり、妊娠中は注意が必要です。どんな成分に注意が必要なのでしょうか。
妊娠中のビタミンA摂取
ビタミンAは眼の機能を守り、皮膚や粘膜を健康に保つ作用があります。ビタミンAは植物由来のカロテノイド、動物由来のレチノールの2つに分けられます。
特に動物由来のレチノールは体に蓄積されやすく、妊娠初期に過剰摂取すると胎児の奇形を起こすリスクが高くなります。レバーやうなぎも同様に、ビタミンAが多く含まれている食材なので過剰摂取には気をつけましょう。
妊娠後期のポリフェノール摂取
ポリフェノールは抗酸化作用があり、健康や美容によいとされています。しかし妊娠後期に大量に摂取し続けると、「胎児動脈管早期収縮」という、胎児の血管が狭くなったり閉じてしまう病気を引き起こすこともあります。ブルーベリーやプルーンが原料のサプリメントは注意が必要です。
またルイボス茶、紅茶、緑茶、ココア、チョコレートもポリフェノールを多く含んでいるため、こちらも注意が必要です。一日に「お茶であれば1.5リットル以上」、「ココアは10杯以上」、「チョコレートは板チョコ1枚以上」が多量摂取と言われています。摂取する場合は、適度な量を守りましょう。
必要な栄養素は食事から摂るのが基本だということを忘れずに、サプリメントだけに頼らない栄養の摂取の仕方を考えましょう。過剰摂取をやたらと心配される方もいますが、食事から摂る場合はよっぽど大量に食べ過ぎない限り、過剰摂取とはなりませんのでそれ程心配ありません。
サプリメントが必要な時は、自己判断で飲むのではなく、かかりつけの産婦人科医師に確認しましょう。
《まとめ》
妊娠中に一時的に飲む市販薬は、用法・用量を守れば心配のないものがほとんどです。しかし添付文書を確認し、内服するときには必ず医師や薬剤師に確認しましょう。一部の薬は胎児に影響のあるものがありますので、自己判断で内服もしくは中止するのではなく、必ず医師に確認しましょう。サプリメントも薬の一つと考え、摂取しても問題ないか、かかりつけの産婦人科医に確認しましょう。
※写真提供:PIXTA
1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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