妊娠中にチョコレートを食べても良い?
チョコレート自体は、妊娠中に食べることを禁止されている食品ではありません。
妊娠中も適量のチョコレートならOK
チョコレートには、少量のカフェインやテオブロミンが含まれています。妊婦さんは多量の摂取は控えましょう。妊娠中のストレスは、母体の冷えや便秘といった体調不良にもつながるため避けたいもの。チョコレートを食べることはリラックス効果もありますので、妊娠中もストレス発散のために適量なら摂取してもよいでしょう。
妊娠中チョコレートの食べ過ぎによる影響
妊娠中も適量のチョコレートなら食べても良いですが、食べ過ぎには注意が必要です。
チョコレートによるカフェイン過剰摂取に注意
カフェインを過剰に摂取すると、中枢神経系の刺激によるめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の健康を害する恐れがあります。このため食品からのカフェインの摂取に関しては、国際機関などにおいて注意喚起等がなされています。
日本でも農林水産省から、カフェインは適切に摂取すれば、がんを抑えるなど死亡リスクが減少する効果があるという科学的データも知られています。しかしカフェインの過剰摂取による長期的な作用としては、人によっては高血圧リスクが高くなる可能性があること、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合に、お腹の赤ちゃんの発育を阻害(低体重)する可能性が報告されていることを情報提供しています。
これらをふまえて、妊娠中にカフェインを含むチョコレートや飲み物を摂取するときは、過剰摂取にならないように注意する必要があります。
妊娠中チョコレートの食べ過ぎによる肥満に注意
チョコレートやチョコレート系の菓子などの食品は、炭水化物と脂質が多く高エネルギーです。肥満の予防のため、食べるときは1日の栄養素のバランスを考えましょう。
妊娠中のカフェイン摂取量
カフェインは紅茶、コーヒー、清涼飲料水、チョコレート、エナジー ドリンクなどに含まれます。世界保健機関(WHO)が2016年に出した勧告によると、1日あたりのカフェイン摂取量が300mg を超える妊婦に対しては、流産や新生児の低体重のリスクを低減するために、妊娠中はカフェイン摂取量を制限するように注意を呼び掛けています。
市販のチョコレートのカフェイン量
市販のチョコレートのカフェイン(100gあたり)含有量は以下の通りです。
・明治 ミルクチョコレート:25mg
・森永 ミルクチョコレート:36mg
・ロッテ ガーナミルク:28mg
・明治 チョコレート効果 86%:93mg
・明治 チョコレート効果 99%:120mg
・カレドショコラ カカオ70:110mg
・リンツ チョコレート 85%:84mg
・リンツ チョコレート 99%:98mg
・コードドール 70%:81mg
・コードドール 86%:91mg
※チョコレートの重さの目安は、ガーナミルクチョコレート板チョコ1枚50g、カレドショコラ1枚約4.8g、チョコレート効果1枚5g
※文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より引用
2020年版(八訂)も同じ
また国民生活センターの報告書では、高カカオチョコレートについて、カフェイン、テオブロミン、脂質、金属アレルギー物質のニッケルが通常のチョコレートより多く含まれていること、ニッケルアレルギーを有する人は注意が必要なことが掲載されています。
妊娠中にチョコレートを食べる時の飲み物
一般的に、カカオ含有量が多いチョコレートはカフェインの含有量も多いようです。妊娠中にチョコレートを食べるときは、カフェイン濃度の少ない飲み物を組み合わせるなどして、1日300㎎を超えないように工夫してみましょう。また間食として利用する場合は、1日約200kcal以内を目安にしましょう。
※(参考)食品中のカフェイン濃度
カフェインを多く添加した清涼飲料水
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32~300mg/100mL
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製品によってカフェイン濃度・内容量が異なる
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インスタントコーヒー(顆粒製品)
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1杯当たり80mg
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2g使用した場合
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コーヒー(浸出液)
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60mg/100mL
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浸出法:コーヒー粉末10g、熱湯150mL
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紅茶(浸出液) |
30mg/100mL |
浸出法:茶5g、熱湯360mL、1.5~4分 |
せん茶(浸出液) |
20mg/100mL |
浸出法:茶10g、90℃430mL、1分 |
ほうじ茶(浸出液) |
20mg/100mL |
浸出法:茶15g、90℃650mL、0.5分 |
ウーロン茶(浸出液) |
20mg/100mL
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浸出法:茶15g、90℃650mL、0.5分
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玄米茶(浸出液) |
10mg/100mL
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浸出法:茶15g、90℃650mL、0.5分
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※カフェインを多く添加した清涼飲料水は、市販4製品の成分表示等
(2017年5月29日)一般社団法人全国清涼飲料工業会調べ
※コーヒー、インスタントコーヒー、紅茶、せん茶等
文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より引用
2020年版(八訂)も同じ
カフェインを含むコーヒー・紅茶・緑茶も、1日1杯程度でリラックスできるなら、我慢してイライラしてしまうよりもよいと思います。しかし逆に、飲むことで心配につながる場合はおすすめできません。
《まとめ》
チョコレートにはリラックス効果もありますので、妊娠中も適量なら摂取してもいいですね。わからないことや不安なことがありましたら、かかりつけの医療機関のほか、お近くの保健所、市区町村の母子担当係等へお問合せいただくことをお勧めします。
※写真提供:PIXTA
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