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2021.11.10

共働き夫婦の子どもはどっちの扶養に入れるのが得?判断基準をチェック

現在の日本では、夫婦ともに働いている家庭が多いでしょう。夫婦に養う家族がいる場合、夫婦どちらの扶養に入れる方が、税金や社会保険料の負担を減らせるのでしょうか。本記事では、そもそも扶養の制度とは何なのかについて解説。また実際に、夫婦どちらの扶養に子どもを入れた方が良いのかについても紹介します。

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扶養控除とは?

扶養控除

 

「扶養控除」とは、14種類ある所得控除の一つです。

 

まず所得控除とは、納税者に扶養する家族が何人いるか、病気療養中か災害に遭ったことはないかなどの個人的な事情を加味して、税負担を調整するしくみです。

 

所得控除の一つである扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族(子ども、親など)となる人がいる場合に、一定額の所得控除が受けられる制度のことを言います。

納税者の収入から扶養控除額を差し引くことで、所得税や住民税の税率が掛けられる課税所得金額が少なくなるため、支払うべき税金額も減り、負担が減るという仕組みになっています。

 

 

扶養の種類

扶養は「税法上の扶養」「社会保険上の扶養」の2種類に分けられます。

 

税法上の被扶養者は「生計を同じにする親族で、所得が一定以下の者」に対し、健康保険法上の被扶養者は「主として被保険者により生計を維持している者」である点が大きな違いです。

下記の点について2種類の扶養についてまとめると以下のようになります。

 

・1年間の期間

・収入の範囲

・親族、家族の範囲

・夫婦共同扶養の考え方

 

扶養の種類「税法上の扶養」

税法上の扶養とは、所得税や住民税に関する扶養のことを指します。扶養控除による影響は前述したとおりです。

 

1年間の期間

税法上の被扶養者は「その年の1月1日から12月31日の実際の年間収入」で判断します。

 

収入の範囲

税法上の被扶養者の判定における収入・所得には、遺族年金や障害年金などの社会保障や、一定以下の金額の通勤手当など、非課税のものは含まれません。一方、不動産の売却益等の一時的なものであっても、収入・所得に含まれます。

 

親族、家族の範囲

被扶養者になれる親族とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の4つの要件のすべてに当てはまる人です。また、同居は必ずしも要件とはなっていません。

 

(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族及び三親等内の姻族)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること

(2)納税者と生計を一にしていること

(3)年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること

 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下

(4)青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

 

また注意しておきたいのは、扶養控除が適用されるのは、16歳以上の扶養親族がいる場合のみという点。16歳未満の子どもを扶養する場合は、児童手当が支給されます。配偶者を扶養する場合は、扶養控除ではなく「配偶者控除」が適用されます。

 

夫婦共同扶養の考え方

健康保険上の扶養では原則、夫婦どちらか収入の多い方の被扶養者となりますが、税法上の扶養についてはそのような考えはありません。長男は夫の被扶養者、次男は妻の被扶養者と分けることも可能です。

 

扶養の種類「健康保険上の扶養」

健康保険上の扶養は、保険料に関する扶養のことを指します。健康保険上の扶養は、税法上の扶養と少し条件が異なります。税法上の扶養では生計を共にしていれば同居の必要はありませんが、健康保険上の扶養では続柄によって同居の必要な場合があります。

 

1年間の期間

健康保険法上の扶養認定は「今後1年間の収入の見込」で判断します。「今後1年間」とは、認定の際は「認定日後1年間」、就職等で収入状況に変更があった場合は「変更が発生した日以降1年間」、被扶養者資格確認時は「資格確認実施日以降1年間」になります。

 

収入の範囲

健康保険の扶養認定における「収入」は、課税・非課税を問わず、継続して得られる全てのものを指します。通勤手当、出産手当金、遺族年金、雇用保険の各種給付(育児休業給付等)なども含まれます。一方で、不動産の売却益などの今後継続する見込みのない「一時的な収入」は含まれません。

 

親族、家族の範囲

被扶養者の範囲は法律で決められており、被保険者と同居でなくてもよい場合と、同居であることが条件の場合があります。 

 

<同居でなくてもよい場合> 

1. 配偶者(内縁を含む) 

2. 子(養子を含む)・孫・兄弟姉妹 

3. 父母(養父母を含む)等の直系尊属 

※三親等以内が扶養の条件

 

<同居であることが条件である場合> 

1. 上記以外の三親等内の親族(義父母等) 

2. 内縁の配偶者の父母、連れ子 

3. 内縁の配偶者死亡後のその父母、連れ子

 

また同居の有無により、被扶養者になるための条件に違いがあることに注意が必要です。

 

※被扶養者になるための条件

  同居している場合 同居していない場合
60歳未満

収入が130万円未満かつ

②被保険者の収入の2分の1未満であること

収入が130万円未満かつ

②被保険者からの援助よりも収入が少ないこと

60歳以上または障害者

収入が180万円未満かつ

②被保険者の収入の2分の1未満であること

収入が180万円未満かつ

②被保険者からの援助よりも収入が少ないこと

 

夫婦共同扶養の考え方

健康保険では、共働きの夫婦が子を扶養しているなど、夫婦が共同して家族を扶養している場合、扶養されている家族は全員、夫婦のうちどちらか収入の多い方の被扶養者となります。

 

 

共働き夫婦は「子どもをどちらの扶養に入れる」べきか

共働き夫婦の場合、税法上はどちらの扶養に入れるのがいいのでしょうか。具体的にシミュレーションして説明します。

 

共働き夫婦で子どもがいる場合の税額の具体例

子どもを夫婦どちらの被扶養者にするかでどのくらい税額が違うか、下記の2パターンでシミュレーションします。

(1)夫の年収500万円、妻の年収100万円

(2)夫の年収500万円、妻の年収240万円

※ここでは基礎控除と扶養控除、配偶者控除のみを扱います。

 

今回の例では、所得控除額は以下の表の通りです。

  所得税 住民税
基礎控除

48万円 ※1

43万円 ※4

扶養控除

38万円 ※2

33万円 ※4

配偶者控除

38万円 ※3

38万円 ※3

 

その他、税額を計算する際に考慮する必要があるのが「給与所得控除」と「超過累進税率」です。

給与所得控除:

会社員の収入から差し引かれる控除のことを言います。会社員にも必要経費(通勤費や交際費、図書費、スーツ代など)があると見なし、その分を控除して課税します。その年の年収に対して計算式を当てはめて控除額を算出します。※5

 

超過累進税率:

所得税の税率は、所得が多くなるに従って段階的に高くなり、納税者がその支払能力に応じて公平に税を負担します。※6

 

参照元/国税庁

※1 基礎控除の金額について

※2 扶養控除の金額について「4扶養控除額の金額」

※3 配偶者控除の金額について「3配偶者控除額の金額」

※4 住民税の配偶者控除、基礎控除について

※5 給与所得控除について「給与所得控除」

※6 超過累進税率について

 

(1)夫の年収500万円、妻の年収が100万円の場合

[例]夫(会社員)の年収が500万円

   妻(パート)の年収が100万円

   18歳の子どもが1人

 

A:子どもを夫の扶養に入れた場合

 

・夫の所得額

給与所得控除額:500万円×20%+44万円=144万円  

所得:500万円ー145万円=356万円

 

・夫の所得税

<356万円ー(基礎控除48万円+扶養控除38万円+配偶者控除38万円)>=241万円

<195万円×5%>+(241万円ー195万円)×10%>=97,500円+46,000円=143,000円

 

・夫の住民税

<356万円ー(基礎控除43万円+扶養控除33万円+配偶者控除38万円)>×10%=242,000円

 

・妻の住民税

非課税のため0円

 

・妻の所得税

非課税のため0円

 

【Aの合計税額】

夫の所得税額143,000円夫の住民税額242,000円385,000円

所得税と住民税の合計は385,000円になります。

 

B:子どもを妻の扶養に入れた場合

 

・夫の所得額

給与所得控除額:500万円 × 20%+44万円=144万円  

所得:500万円ー145万円=356万円

 

・夫の所得税

<356万円ー(基礎控除48万円+配偶者控除38万円)>=270万円

<195万円×5%>+(270万円ー195万円)×10%>=97,500円+75,000円=172,000円

 

・夫の住民税

<356万円ー(基礎控除43万円+配偶者控除38万円)>×10%=275,000円

 

・妻の住民税

非課税のため0円

 

・妻の所得税

非課税のため0円

 

【Bの合計税額】

夫の所得税額172,000円夫の住民税額275,000円447,000円

所得税と住民税の合計は447,000円になります。

 

この例では配偶者である妻の収入が103万円以下であるため、住民税・所得税が非課税になりますが、今後、妻の収入が増えると課税対象になります。

では続いて、妻が課税対象の場合をシミュレーションします。

 

(2)夫の年収500万円、妻の年収が240万円の場合

[例]夫(会社員)の年収が500万円

   妻(パート)の年収が240万円

   18歳の子どもが1人

 

A:子どもを夫の扶養に入れた場合

 

・夫の所得額

給与所得控除額:500万円 × 20%+44万円=144万円  

所得:500万円ー145万円=356万円

 

・夫の所得税

<356万円ー(基礎控除48万円+扶養控除38万円)>=270万円

<195万円×5%>+<(270万円-195万円)×10%>=97,500円+75,000円=172,000円

 

・夫の住民税

<356万円ー(基礎控除43万円+扶養控除33万円)>×10%=280,000円

 

・妻の所得額

給与所得控除額:240万円×30%+8万円=80万円  

所得:240万円ー80万円=160万円

 

・妻の所得税

160万円ー(基礎控除48万円)=112万円

112万円×5%=56,000円

 

・妻の住民税

<160万円ー(基礎控除43万円)>×10%=117,000円

 

【Aの合計税額】

夫の所得税額172,000円夫の住民税額280,000円452,000円

妻の所得税額56,000円妻の住民税額117,000円173,000円

所得税と住民税の合計は、625,000円になります。

 

B:子どもを妻の扶養に入れた場合

 

・夫の所得額

給与所得控除額:500万円×20%+44万円=144万円  

所得:500万円ー145万円=356万円

 

・夫の所得税

<356万円ー(基礎控除48万円)>=308万円

<195万円×5%>+<(308万円ー195万円)×10%>=97,500円+113,000円=210,500円

 

・夫の住民税

<356万円ー(基礎控除43万円>×10%=313,000円

 

・妻の所得額

給与所得控除額:240万円×30%+8万円=80万円  

所得:240万円ー80万円=160万円

 

・妻の所得税

<160万円ー(基礎控除48万円+扶養控除38万円)>=74万円

74万円×5%=37,000円

 

・妻の住民税

<160万円ー(基礎控除43万円+扶養控除33万円)>×10%=84,000円

 

【Bの合計税額】

夫の所得税額210,000円夫の住民税額313,000円523,000円

妻の所得税額37,000円妻の住民税額84,000円121,000円

所得税と住民税の合計は、644,000円になります。

 

所得が多い方の扶養に入れるとお得

所得税は、所得が多くなるほど税率が高くなる「累進課税制度」ですので、夫婦で収入が異なる場合、所得が多い方の扶養に入れることで節税額を増やすことができます。16歳以上の子どもがいる場合は、所得が多い方の扶養に入れるとお得と言えます。

 

 

共働き夫婦の子どもはどっちの扶養が得?

共働き夫婦の子の扶養

 

子どもをどちらの扶養に入れると得になるは家庭の状況により異なるため、夫婦で一度整理してみることをおすすめします。夫婦ともに年収が変わらない場合は、控除額も同程度になりますので、どちらに入れても大きな違いはありませんが、判断に迷う場合は、下記の点で判断すると良いでしょう。

●少しでも収入が多いのはどちらか

●どちらが世帯主か

 

共働きで少しでも収入が多いのはどちらか

収入が同程度とはいえ、1円単位まで同じであることはほとんどないでしょう。税法上の扶養では所得が多い方の扶養に入れることで節税額を増やすことができますし、健康保険上の扶養に関しては原則、収入が高い方の扶養に入れることになっています。そのため、少しでも収入が多い方の被扶養者にすることをおすすめします。

 

共働き夫婦のどちらが世帯主か

一般的に、世帯主が世帯の中で収入が多い可能性が高く、法的な手続きも世帯主がまとめて行うことが多いです。収入が同程度で、どちらの扶養に入れるか迷う場合は世帯主にし、転職や昇進などで収入が変わる場合は、収入が高い方に変更するなどすると良いでしょう。

 

 

《まとめ》

 

扶養制度について、子どもを夫と妻のどちらの扶養にするか判断基準についてご紹介しました。今回のポイントは以下になります。

・扶養控除には税法上の扶養と健康保険上の扶養がある

・収入が高い方の扶養に入ることで税金面のメリットがある

扶養については、変化する家庭の状況に合わせてその都度相談すると良いでしょう。

 

※写真提供:PIXTA

           

監修者

一般財団法人 女性労働協会

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