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2024.01.17
【どっちが本当】お餅は母乳がよく出る食べ物?それとも乳腺炎になる?
母乳にまつわる情報はさまざまありすぎて、産後ママは戸惑ってしまいますね。「母乳がよく出るからお餅を食べなさい」とすすめられた人、また「お餅は乳腺炎になりやすい」と言われた人もいることでしょう。何が本当なのかわからず不安なママへ、この記事では母乳によい食べ物や、避けた方がよい食べ物について解説します。
目次
お餅やだんごを食べると母乳がよく出る?
昔はよく、「産後にお餅やだんごを食べると母乳によい」と言われていました。しかし同時に「お餅やだんごはおっぱいが詰まりやすい、乳腺炎になるから控えて」と、助産師に指導された人も多いです。
では実際はどうなのでしょうか。
母乳を出すために本当に必要なこと
母乳の出方には、いったい何が関係しているのでしょうか。
■授乳の回数
特に重要なのは、赤ちゃんがおっぱいを吸う回数です。
母乳分泌に関わる「プロラクチン」や「オキシトシン」というホルモンは、赤ちゃんがおっぱいを吸い、飲むことで分泌されます。プロラクチンは母乳を作り出す作用、オキシトシンは作られた母乳の分泌を促す作用があります。
おっぱいを吸う回数が多いと、それだけホルモンも分泌され、母乳の量が増えていきます。そのため、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけ授乳してあげることで、必要な量の母乳を出せるようになります。
赤ちゃんが上手に吸えない場合や、何らかの理由で授乳ができないときには、分泌を保つために搾乳をするといいでしょう。
■食事
授乳にはエネルギーが必要です。授乳のためには、1日あたり500kcalが消費されるとも言われます。
1日のエネルギー摂取量が1500kcal以下になると、母乳の分泌量が減るとされています。十分に栄養を摂れる食事をすることが、母乳の出を良くします。
■水分摂取
母乳の約9割は水分ですから、こまめな水分補給が大切です。
■リラックス
ストレスを過度に感じると、母乳分泌に関わるオキシトシンが減少してしまいます。オキシトシンは、分泌されると幸福感をもたらす「愛情ホルモン」としても注目されています。ママがリラックスして、よりオキシトシンが出やすい授乳環境を整えること、また授乳や抱っこを通してスキンシップをすることで、さらに母乳の出が良くなります。赤ちゃんとの絆もより高まると言われています。周囲の人の協力を得ながら、できるだけリラックスした生活を心がけましょう。
昔の人はなぜ母乳のためにお餅を食べた?
昔は食生活がとても質素でした。しかし母乳をしっかり出すためには、多くのエネルギーが必要で、カロリー摂取量を増やさなければいけませんでした。
もち米は普通の白米よりカロリーが高いです。
お餅(100g):235kcal
ご飯(100g):168kcal
炭水化物量も、お餅がご飯を大きく上回ります。
普段の食事が質素で、授乳期に必要な量のカロリーが摂れなかった時代には、お餅でエネルギーを補うことで、母乳の出をよくしていたのでしょう。
現代はあえてお餅を食べる必要はない
現代では、普段の食事からしっかりとカロリーを摂ることができます。あえてお餅やだんごを食べる必要はありません。しかし、ダイエットや多忙により食事の量が減ってしまうと、カロリー不足につながります。
お餅といった特別な食品を足すというより、日々バランスよくしっかりと3食の食事を摂ることが大切です。
お餅を食べると母乳は詰まりやすい?
母乳が十分に出ているママがお餅を食べると、乳腺が詰まりやすくなると考える助産師も少なくないようです。赤飯やおこわ、おはぎなど、もち米を使った食べ物も同じく、乳腺炎への影響を心配する人が多くいます。
しかし実際のところ、食べ物が乳腺炎の原因となる明確な根拠はありません。あえて大量のお餅を食べ続けるとカロリー過多になりますが、適量であれば特定の食べ物を避ける必要はないようです。
もし心配であれば、少量ずつ食べてみて、おっぱいの状態を自分で確認してみるとよいでしょう。
おすすめ情報
母乳の出がよくなる食べ物・飲み物
では、母乳の出をよくする食べ物や飲み物はあるのでしょうか。
カロリーと栄養素のバランスが基本
まず大切なのは、必要なカロリーをきちんと摂ることです。通常の必要量の+350kcalが、授乳期の1日に必要なカロリーです。
1日のエネルギー必要量の目安はこのとおり。
20代:2350kcal
30代:2400kcal
炭水化物はエネルギーになりやすい栄養素です。母乳の出が悪いと感じるときには、炭水化物がしっかり摂れているか、食生活を見直してみてください。
それ以外にもタンパク質、カルシウム、鉄などは、意識して摂りたい栄養素です。青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸も、脳神経の発達のために必要な脂質なので、意識的に摂取しましょう。
小豆はいいとされるが食べ過ぎない
母乳の出をよくする食べ物として、小豆が有名です。小豆に含まれる栄養素は、血液の巡りをよくし、エネルギーを効率的につくり出します。また食物繊維や鉄分が豊富なので、母乳分泌に役立ってくれそうです。
とはいえ、それらの栄養素は他の食物からも摂れますし、小豆を食べ過ぎると糖質オーバーになることもあります。
特定の食材を無理にたくさん摂ろうとしなくて大丈夫です。身近な食材で、旬のものを取り入れながら、美味しくバランスよく食べるのがいいでしょう。
温かい飲み物をしっかり摂る
母乳をつくるには、こまめな水分摂取も大切です。とはいえ、無理にがぶ飲みするのは逆効果。喉の渇きに合わせて飲むのがよいでしょう。尿が薄黄色であれば正常ですが、濃い黄色は水分不足のサインです。
砂糖の入っていない、常温か温かい飲み物がおすすめです。母乳は血液からできているので、体が冷えて血の巡りが悪くなるのは避けたいところですね。冷たい飲み物だけでなく、体を冷やす食材は控えめにしましょう。
授乳中に避けるべきもの
授乳期間中に、避けた方がよい食べ物や飲み物について解説します。
タバコは絶対NG
授乳期間中、絶対に避けるべきなのがタバコです。ニコチンは母乳に移行します。赤ちゃんが嘔吐、下痢、不眠、急性ニコチン中毒などを起こしてしまう可能性があります。また、母乳の分泌量も減少します。
アルコールとカフェインは慎重に
アルコールとカフェインも母乳に移行し、赤ちゃんに影響が出ることがあります。特にアルコールはどの程度が安全量摂取量なのか、まだはっきりとしたエビデンスは明らかになっていないため、避けた方が安全です。
カフェインは完全に避ける必要はありません。ただし摂取後30分~1時間程度で血液濃度が最高に達するので、なるべく授乳直後に飲みましょう。
ドリップコーヒーなら、1日1~2杯程度にしておきましょう。できるだけカフェインレスや、カフェインフリーの飲み物を摂るようにしましょう。
乳脂肪分や油っぽいものは?
乳脂肪分や油っこいものは、乳腺炎になると言われることがあります。しかし明確な根拠はなく、まったく関連がないと提唱する医療関係者もいます。
乳脂肪分や油っぽいものが多い食事は、栄養素が偏りがちであることは事実です。完全に避けようとするより、一度に摂りすぎないように心がけ、他の栄養素とのバランスを意識しましょう。
また、マーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸は、赤ちゃんの発達に影響を与える可能性があることが分かっているので、できるだけ控えましょう。
《まとめ》
母乳の出をよくするためにと、お餅やだんごをあえて食べる必要はない理由を解説しました。授乳期にはバランスのよい食事と、こまめな水分補給を意識し、できるだけリラックスして過ごしましょう。
※写真提供:PIXTA
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ママのお悩みの声
監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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