赤ちゃんの「おむつかぶれ」とは?

赤ちゃんの「おむつかぶれ」とは、どのような状態でしょうか。おむつかぶれは臨床的には「おむつ皮膚炎」と呼ばれ、おむつによって起こる炎症の総称です。
おむつかぶれの主な症状
おむつかぶれの症状は、具体的には以下のものが挙げられます。
【おむつかぶれの症状】
・おむつと皮膚が接触するところが一部赤くなる
・赤くぶつぶつとした湿疹ができる
・おむつを替えるときに、お尻を拭くと痛がったり泣いたりする
・おしり全体が赤い
・ただれて真っ赤になる
・皮膚がジュクジュクして赤くなる
・水疱ができて、皮がめくれる
おむつかぶれができやすい部分
おむつかぶれは、おむつに覆われている部分にできますが、特にかぶれやすい部位があります。うんちやおしっこが付着しやすい、おしりや肛門周辺は特に注意が必要。また足の付け根や腰回りなど、おむつのギャザーが当たる部分も、おむつかぶれができやすいでしょう。
【おむつかぶれ】の原因と注意点
おむつかぶれの原因は、主に以下の4つです。
◆うんちやおしっこ
◆汗や蒸れ
◆おむつの摩擦や刺激
◆病原菌(カンジダなど)
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
うんちやおしっこ
うんちやおしっこの細菌や酵素など、刺激が加わることで炎症が起こりやすいです。特に下痢や軟便は刺激が強いため、それらが続く時はおむつかぶれができやすくなります。
また、新生児期や離乳食開始時のうんちはゆるく、やわらかいことが多いです。水分量が多いため蒸れにもつながります。このような蒸れと刺激によって、おむつかぶれが起こりやすくなります。
汗や蒸れ
赤ちゃんは新陳代謝がよく、汗をかきやすいです。特に夏の暑い日やよく動いた時は、汗で蒸れやすいでしょう。汗やおしっこ、うんちで蒸れた肌は、バリア機能が低下し、刺激を受けやすい状態になります。
おむつの摩擦や刺激
ギャザーが当たる足の付け根やおしりは、おむつと皮膚が接触して摩擦を起こし、かぶれやすい状態。おむつ交換では、おしりふきでゴシゴシと拭くことでも摩擦や刺激が加わり、おむつかぶれにつながります。
病原菌(カンジダなど)
おむつの中は高温多湿で汗をかきやすく、カンジダなどの菌が生息しやすい状態です。おむつによるかぶれか、またはカンジダなど菌が原因のかぶれか、鑑別は難しいかもしれません。もし軟膏を塗っても改善しない場合は、病原菌が原因の可能性があります。
【おむつかぶれ】自宅でできる治し方・対処法

気をつけていても、おむつかぶれを起こすことがあるでしょう。ここからは、正しい治し方や対処方法を紹介します。まずは自宅でできるケアを行ってみましょう。
1. おむつを頻回に替える
おむつかぶれを防ぐには、おむつの中が汚れず、蒸れないようにするのが大切。おむつが汚れている時間が短くなるよう、なるべく早く交換しましょう。
2. 汚れはぬるま湯で洗う
おむつを替える時に、おしりふきでゴシゴシと汚れを拭き取ると、摩擦により皮膚への刺激が加わります。特におむつかぶれを起こしている肌は弱く、少しの刺激でもしみたり、悪化してしまうことも。
おしりを洗う時は、まずうんちを拭き取ってから洗いましょう。
(1) うんちを拭き取る
おしりふきやコットンをぬるま湯でよく濡らし、うんちを拭き取ります。この時に、ゴシゴシと拭かないように注意しましょう。うんちは、しわができる足のつけ根や太ももの内側などに残りがちです。かぶれやすいところを丁寧に拭き取ります。
男の子は、睾丸の裏やしわの部分に付着しやすいので、念入りに拭きます。女の子の場合は、うんちに含まれる菌が、膣やおしっこの出入り口に付着します。炎症を起こさないように、前から後ろ(おしり側)に向かって拭くようにしてください。
もし外出先でシャワーでの洗浄が難しければ、ぬるま湯をたっぷりしみ込ませたおしりふきやコットンで、汚れを浮かして優しく拭き取ります。
(2) おしりを洗う
シャワーが使用できる時は、ぬるめのシャワーで洗浄するか、洗面器に入れたぬるま湯で優しく洗い流しましょう。100円ショップ等でも売っているドレッシング容器に、ぬるま湯を入れておくと、お風呂場に移動せずにお尻を洗うことができます。
おしりを洗う石けんは低刺激のものを使用し、優しくなでるように洗い流します。おむつかぶれがある場合は、うんちはもちろんおしっこだけの時でも、シャワーや濡れコットンで優しく洗浄しましょう。
3. 下痢や軟便は特に注意する
下痢や軟便の時は、特におむつかぶれを起こしやすいので、注意が必要。皮膚を清潔にすることが大切です。頻回にうんちをする場合は、おむつ交換のたびに毎回おしりを洗っていると、皮脂がなくなり肌のバリア機能が低下する可能性があります。
4. おしりをしっかりと乾燥させる
赤ちゃんの肌はデリケートです。おむつの中が蒸れている状態だと、皮膚トラブルが発生しやすいです。おむつかぶれの部分をぬるま湯で洗った後は、やわらかいタオルやガーゼで優しく水分を拭き取ります。
5. おむつ選びを見直す
赤ちゃんの体型に、おむつが合っていない場合も考えられます。おむつのタイプやサイズを見直すと、ギャザーの当たる部分が変わり、症状が改善することもあります。また、おむつそのもので炎症を起こしている場合は、おむつの素材を変えてみてもいいでしょう。
6. 保湿剤で皮膚を保護する
おしりを清潔にして乾燥させたら、ベビーワセリンや赤ちゃん用クリームなどの保湿剤で、皮膚を保護しましょう。赤ちゃんのデリケートな肌を刺激から守り、肌のバリア機能を高める効果が期待できます。
水分が多い保湿剤は、肌にしみることがあるので、油分の多いものを選ぶといいでしょう。カレンデュラオイルは皮膚を保護し、治癒促進させる天然効果があります。使用してみても良いでしょう。
症状が悪化したら受診しよう!
おむつかぶれの初期段階で、おしりが赤くなる時期であれば、自宅でのケアで症状が改善することが多いでしょう。しかしケアをしても改善せず悪化する場合は、受診が必要です。
ただしステロイドの薬は常用すると、カンジダ感染を引き起こすことがあります。症状が改善したら、ステロイドは使用中止します。またカンジダの場合、ステロイドの使用で症状が悪化するケースもあります。自己判断で薬を使用せず、必ずかかりつけの産科や小児科で相談しましょう。
【おむつかぶれ】のおすすめ予防法

おむつかぶれを起こさないために、予防も大切です。
おむつを汚れたままにしない
おしっこやうんちで汚れたままのおむつを長時間当てると、おむつかぶれを起こしやすいです。おむつが汚れたら、こまめに交換しましょう。
おむつが汚れていなくても、蒸れたら交換する
赤ちゃんの肌はデリケートです。おむつが汚れたり汗で蒸れると、肌のバリア機能が低下し、刺激に弱くなります。おむつが汚れていなくても、たくさん汗をかいた後、寝起きや運動後は交換しましょう。おむつ交換の時は、すぐにおむつを当てず、少し乾燥させてからつけてください。
《まとめ》
赤ちゃんのデリケートな肌は、おむつかぶれを起こしやすいです。おむつかぶれの原因を知り、しっかり予防しましょう。できてしまったおむつかぶれは、できるだけ初期段階で対処し、悪化しないようにホームケアをしてください。
※写真提供:PIXTA
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1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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