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2023.01.27
妊娠初期にやってはいけない姿勢【助産師】おすすめの寝方・座り方
妊娠初期は、ホルモンバランスの変化によって体調を崩しやすく、体への負荷がかかりやすい時期。ここでは妊娠初期にやってはいけない姿勢について、学んでいきましょう。妊婦さんにおすすめの寝方や座り方を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
【妊娠初期】ママの体の変化・赤ちゃんの状態
妊娠初期とは、妊娠0週~15週までを指します。この時期にはつわりなど、体調の変化が顕著に見られます。まだお腹は出ていないので、外見からは妊娠中だとわからないことがほとんどです。ママは眠気を強く感じたり、吐き気や嘔吐をもよおしたりして、いつもと異なる身体の変化を感じるでしょう。
妊娠初期には胎児の重要な器官が作られる
妊娠4週~15週頃までは「器官形成期」とも呼ばれ、胎児の脳や神経、心臓、消化器、手足などの器官・組織ができる時期です。その中でも妊娠4週~7週は、胎児の体の重要な器官が作られる「絶対過敏期」と言われ、妊娠期間の中で非常に重要です。
このころは喫煙や飲酒、薬物の影響をとても受けやすい状態。いつも以上に気を付ける必要があります。そして妊娠8週~15週までを「相対過敏期」と言い、少しずつ奇形のリスクが少なくなっていきます。
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妊娠初期にやってはいけない姿勢
妊娠初期にやってはいけないのは、お腹を圧迫する姿勢です。具体的には、以下のような姿勢が挙げられます。
妊娠初期にやってはいけない姿勢
×お腹をつぶすようなかがむ姿勢
×しゃがむ姿勢
×うつぶせの姿勢
赤ちゃんは子宮の中で、羊水に包まれている状態です。羊水には、外部の衝撃から赤ちゃんを守る役割があり、赤ちゃんがつぶされる心配はありません。しかしこれらの姿勢は、赤ちゃんの部屋である子宮に、負荷をかけてしまいます。
外見からはわからなくても、妊娠初期から子宮はどんどん大きくなっていきます。お腹を圧迫すると、子宮に負荷がかかる可能性があります。意識するたけでも行動は変わります。できるだけこのような姿勢を避け、お腹を圧迫しないようにしましょう。
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【妊娠初期】おすすめの立ち方・寝方・座り方
妊娠初期は、非常にデリケートな時期であり、日常生活で姿勢に気を付ける必要があります。具体的に、おすすめの立ち方・寝方・座り方を紹介します。
1. 妊娠初期の立ち方
妊婦さんは立つ時に足指を意識すると、体幹がしっかり整い身体がぐらつきません。かかとに重心を置くと少しの衝撃で身体がぐらつき、反り腰や腰痛の原因になってしまいます。しっかりと足の指に力を入れて立ちましょう。
2. 妊娠初期の寝方
おすすめの寝方は「シムス位」です。聞いたことがある妊婦さんも多いでしょう。
シムス位は体の左側を下にして横向きになり、クッションや抱き枕などを足に挟んだ寝姿勢のこと。妊娠全期間を通して、おすすめできる寝方です。つわり中や身体のだるさを感じた時、シムス位になると身体がとても楽になります。ゆっくり目を閉じてリラックスしてみてください。
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3. 妊娠初期の座り方
リモートワークが増えた現在、長時間椅子で作業や仕事をする妊婦さんもいるでしょう。長く椅子に座っていると、腰痛や血流悪化の原因となります。
椅子に座る時は、膝を広げて深く座る姿勢を避けましょう。骨盤が斜めにならないように、3~4つ折りにしたバスタオルをお尻の下に敷くと、とても楽になります。
柔らかいソファーに座る場合は、バランスシート(体幹やバランス機能を高めるための円形のクッション)、あるいは硬めバスタオルを使用しましょう。長時間椅子に座るなら、20~30分に1回は腰まわしや歩行、スクワットなどで腰を動かし、下肢の循環をよくしましょう。
また直接地面に座るシーンでは、胡坐(あぐら)の姿勢がおすすめです。妊娠中は出産に向けて、関節を柔らかくするホルモンが分泌。胡坐をかくと、股関節を広げることにつながり、安産への近道となります。
【妊娠初期】姿勢以外で気をつけること
妊娠初期はとても敏感な時期であり、姿勢以外にも気をつけたいことがあります。妊娠中の行動によっては流産につながったり、胎児に悪影響を及ぼすことがありますので、注意しましょう。
日常生活で気をつける「感染症・服薬・飲酒・喫煙」
日常生活を送る上で、気をつけるべきことを紹介します。
■感染症にかからないようにする
妊娠初期に感染症にかかると、重篤な障害を引き起こす可能性があります。
例えば妊娠初期における風疹の罹患では、赤ちゃんが難聴や白内障、心疾患になる確率が非常に高くなります。妊娠中は予防接種が受けられません。妊娠を望む人は、妊娠前に抗体の有無を調べ、抗体がない場合は予防接種を済ませておきましょう。
もし妊娠後の血液検査で、風疹の抗体がないと判明したら、妊娠初期は人ごみの多い場所に出かけないようにしましょう。
■薬の服用はかかりつけの産科医に相談する
妊娠初期に関わらず、妊娠中は絶対に自己判断で薬を飲んではいけません。持病のある人はかかりつけ医に相談しましょう。また風邪薬なども薬局で購入せず、かかりつけの産科医に相談し、処方してもらいましょう。
■飲酒・喫煙はやめる
飲酒や喫煙は、胎児の成長に悪影響をもたらすもの。妊娠中の飲酒は、先天性アルコール症候群の原因になると言われています。妊娠中の喫煙は、早産や低出生体重児の原因になる可能性もあるのでやめましょう。また副流煙にも悪影響があることが分かっています。
家族の喫煙による副流煙を吸うことがないよう、禁煙・分煙に協力してもらってください。
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食事で気をつける「葉酸・体重管理など」
妊婦さんにとって、赤ちゃんの栄養のもととなる食事は非常に大切です。
■葉酸を積極的に摂取する
妊娠前からの葉酸摂取は、赤ちゃんの神経組織異常のリスクを低減させます。妊娠5週には神経組織がつくられ、脳や脊椎が形成されますが、それには葉酸が必要不可欠です。葉酸がたっぷり入った納豆や緑黄色野菜を、妊娠前から積極的に取り入れましょう。葉酸サプリも上手に活用してください。
■つわり中は食べられるものを食べる
つわりが始まると、今までの食事は受け付けられないことが多いです。つわり中は無理せずに、食べられるものを食べられる時に口にしましょう。
水分も受け付けず吐いてしまうほどのつわり症状では、脱水になる危険性があります。速やかにかかりつけ医に相談しましょう。
■つわりが終わったら体重管理をする
つわり症状は妊娠12週をピークとして、妊娠14週頃には治まるママが多いです。つわりが終わってからも同じように食べていたら、体重が増えすぎてしまうこともあります。バランスの良い食事を摂るように心がけましょう。
■食中毒に注意する
妊娠中は免疫が低下しているため、生ものによる食中毒を引き起こしやすくなります。生ハムやお刺身、生ハム、ナチュラルチーズなどは避けましょう。
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仕事中での注意
仕事中はその内容にも注意が必要です。
重いものを持つ・走るなど、身体に負担かかることは避けましょう。体調不良の時や、仕事内容の変更を希望する場合は、「母子健康管理指導事項連絡カード」を利用すると良いでしょう。
母子健康管理指導事項連絡カードは、母子手帳内に記載されており、通常は産婦人科にも置いてあります。かかりつけの産婦人科で医師に記入してもらい、職場に提出しましょう。
運動での注意
有酸素運動は体力をつけるために有効で、リラックス効果も期待できます。体調がよければ、ウォーキングを取り入れてみてもいいでしょう。負荷のかかる激しい運動は、赤ちゃんとママの負担になるので避けましょう。
性行為での注意
性行為自体が流産の原因とはなりませんが、膣への刺激につながり、出血の原因となる可能性があります。出血は妊婦さんの不安を招きますので、夫婦でしっかり話し合いましょう。もし性行為をする場合は、感染症を防ぐために必ずコンドームをしましょう。
《まとめ》
妊娠初期でやってはいけないのは、お腹や腰に負担がかかる姿勢です。妊娠中は、腰痛や冷えなどのトラブルを引き起こしやすい状態。できるだけ姿勢を意識して、行動しましょう。妊娠初期は非常に敏感な時期です。できるだけ身体に負担がないように過ごしましょう。
※写真提供:PIXTA
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監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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