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2022.12.19

授乳中の発熱は「乳腺炎」?【助産師】風邪との違い・対処法

授乳中のママは、「おっぱいにしこりができて痛い気がする」「赤ちゃんが全然飲んでくれない」と思った経験がありませんか?これらは乳腺炎の兆候かもしれません。乳腺炎は放っておくと悪化し、日常生活に影響を及ぼしかねません。今回は乳腺炎の原因や症状について、理解を深めていきましょう。乳腺炎になった時の対処法、ならないための予防法も助産師が解説します。

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「乳腺炎」とはどんな病気?症状と原因

乳腺炎とは

 

「乳腺炎」とは、授乳期のママに起こりやすいおっぱいのトラブルです。

 

乳腺炎には2種類ある

乳腺炎には、「うっ滞性乳腺炎」「化膿性乳腺炎」の2種類があります。それぞれの症状と原因について述べていきます。

 

うっ滞性乳腺炎

うっ滞性乳腺炎とは乳腺に母乳が溜まって、炎症を起こしている状態。作られた母乳量に対して授乳回数が少ないこと、赤ちゃんがあまり飲みとれていないことが原因です。

症状にはおっぱいの腫れ、赤み、痛み、熱感、しこりなどがあります。乳腺炎の多くは、このうっ滞性乳腺炎です。

 

化膿性乳腺炎

化膿性乳腺炎は、乳首の先から細菌が入り、乳管が細菌感染(連鎖球菌や黄色ブドウ球菌など)を起こすことで発症します。うっ滞性乳腺炎がきっかけになることもあります。

強い痛みが特徴です。そしてうっ滞性乳腺炎の症状に加え、悪寒や震えを伴う高熱、倦怠感、筋肉痛、腋窩リンパ(脇の下のリンパ節)まで腫れてしまうこともあります。黄色いドロドロした乳汁が出るケースも。放置しておくと膿がたまり、切開をして膿を出す必要性が生じる場合もあります。

 

乳腺炎の原因に食事は関係ある?

「甘いもの・辛いものを食べると母乳がまずくなる」と聞いたことがあるかもしれません。実は、これは大きな誤解です。

母乳は血液からできていますが、食べたものがすべて母乳になるわけではありません。食べ物の栄養素は消化酵素により分解され、全身に運ばれます。

もちろんこの栄養素は母乳の元となりますが、身体には血液の濃度を一定に保つ「恒常性」という働きがあります。そのため甘いものを食べたからといって、母乳が甘くなるわけではありません。辛い食べ物も同様です。

 

また「乳製品や脂肪分の摂取は、乳腺炎を引き起こす」という説もあります。

確かに乳腺炎は、乳管がつまることによって起こります。しかし脂肪分が直接、乳管を詰まらせるのではありません。赤ちゃんがうまく母乳を飲めない、ママの疲労や睡眠不足、おっぱいの圧迫など、様々な要因がからんでいます。

偏った食事はあまりよくありませんが、それが乳腺炎の直接的な原因とはいえないのが、現在の考え方です。

 

関連ページ

乳腺炎の原因は食べ物なの?【産科医】おっぱいのつまりを防ぐ方法

 

乳腺炎と食べ物

 

【授乳中の発熱】乳腺炎?それとも風邪?

乳腺炎の経験があるママは、「これは乳腺炎かもしれない」とわかるかもしれません。しかし初めての場合は、どのような状態が風邪で、何が乳腺炎なのかわかりづらいでしょう。

 

【授乳中の発熱】乳腺炎の初期症状と風邪との見分け方

授乳期間に熱が出た場合は、以下の項目をチェックしてみましょう。

 

□授乳後もおっぱいが張っている気がする

□乳頭に白斑や傷・水疱が出ていて、吸われると痛みを感じる

□おっぱいの腫れや痛み・赤みがある

□おっぱいが部分的にくさび状になっている

□おっぱい全体に強い痛みがある

 

このような症状は乳腺炎の特徴です。発熱と共にこれらの症状があれば、風邪ではなく乳腺炎と考えた方が良いでしょう。

 

このようなおっぱいの症状がなく、咳、喉の痛み、鼻水などの症状、関節痛、頭痛などの全身症状あれば、新型コロナウイルス・インフルエンザなどウイルス感染による風邪を疑いましょう。発熱したらまず、おっぱいの症状の確認を忘れないようにしましょう。

 

 

乳腺炎は治せる?自分でできる対策&予防法

ここでは自宅でできる乳腺炎の対策や、その予防法を紹介します。

 

乳腺炎にならないための予防法

乳腺炎の予防には、乳管がつまらないようにすることが一番です。授乳後も母乳が残っている感じがあれば、正しく授乳できているか見直す必要があります。

授乳時の抱き方・赤ちゃんの吸い付き方を、助産師に確認してもらうと良いでしょう。赤ちゃんの吸い付き方が浅くゆがんでいないか、正しいポジションでしっかりと授乳できているか、見てもらうことも大切です。

 

またずっと同じ方向からではなく、縦抱き、横抱き、脇抱きなど様々な方向から授乳するのも、予防法の一つです。赤ちゃんが飲み切れなかった分は搾乳し、たまった母乳をできるだけ出しましょう。

初産婦さんは授乳間隔を、「3時間たっていないと授乳してはいけない」と思い込みがちです。しかし赤ちゃんが欲しがるそぶりを見せたら、すぐに授乳してあげましょう。

 

それから、きついブラジャーやおんぶ紐、ショルダーバッグの紐などで、乳房の一部が圧迫され、母乳の出が悪くなる場合もあります。おっぱいが何かに圧迫されていないか、確認をしましょう。

 

「乳腺炎かも」と思ったら!自分でできる対処法

「乳腺炎かも?」と感じた時に、自分でできる一番の対処法は、赤ちゃんに母乳を飲んでもらうことです。

おっぱいに溜まった母乳をこまめに飲んでもらうことで、自然に改善することが多いです。乳腺炎かなと思ったら、いつもより授乳回数を増やしましょう。

溜まった母乳を吸い取ってもらい、つまりかけている乳管の開通を促します。その時は、乳腺炎の症状があるおっぱいから飲ませましょう。

 

もし赤ちゃんが飲んでくれない場合は搾乳をして、溜まった母乳をできるだけ出すようにしましょう。痛みが強ければ、鎮痛薬を使用しながらの授乳も検討しましょう。

強い痛みがあると乳管が開きにくく、母乳の出が悪くなるケースがあります。「イブプロフェン」や「アセトアミノフェン」などの、鎮痛解熱薬を内服しながら授乳を続けることも可能です。

 

これらのセルフケアを行っても改善しない時や、うまく吸わせられない時は、助産師に相談してみましょう。助産師による乳房マッサージで、うっ滞した母乳を排乳することは、乳腺炎の改善に効果的です。

 

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助産師による【動画】正しい授乳の姿勢&赤ちゃんの抱き方のコツ

 

 

乳腺炎で発熱!何科を受診すればいいか

乳腺炎での受診

 

発熱があったり、授乳を続けても痛み・しこりが良くならない場合は、受診しましょう。特に37度5分以上の発熱が続いたら、まずは出産した病院の母乳外来、助産院、乳腺外来、乳腺外科などを受診してください。

高熱の場合は、新型コロナウイルスを含む、他の疾患との鑑別が必要です。いきなり受診する前に、必ず電話をして指示を仰ぎましょう。

 

 

《まとめ》

 

乳腺炎とは、乳管のつまりと細菌感染によって引き起こされる、おっぱいのトラブルです。おっぱいにしこりや痛みを感じたら、まずは乳腺炎を疑い、赤ちゃんがしっかり母乳を飲みとれているか確認しましょう。発熱などの炎症所見があれば、迷わずかかりつけの産科医に連絡しましょう。

 

※写真提供:PIXTA

 

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【助産師解説】断乳・卒乳の上手なやり方とは?いつ始める?おっぱいのケア方法

           

1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。

2010年一般社団法人格を取得。

2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。

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