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2022.12.16
医師が教える!おしゃぶりは新生児も使える?メリットや選び方
おしゃぶりを使う赤ちゃんの姿は、とても愛らしくかわいいですよね。赤ちゃんが安心したり、寝かしつけに役立ったりするメリットはありますが、やめ時がわからないと悩むママもいます。今回は赤ちゃんのおしゃぶりについて、理解を深めていきましょう。新生児からおしゃぶりを使用するメリット・デメリット、正しいおしゃぶりの選び方についても解説します。
目次
おしゃぶりは新生児から使える?やめるタイミングは?
おしゃぶりはいつから使用でき、いつまでにやめる必要があるのでしょうか。また新生児もおしゃぶりが使えるのでしょうか。
赤ちゃんの触覚の発達
赤ちゃんはお腹の中で感覚器官を発達させていきます。その中でも「触覚」は初めに発達し、特に口の周りの触覚は妊娠9週~12週から発達します。指先に何か触れる感覚は妊娠16週からで、これら2つが合わさって指吸いが始まります。
おしゃぶりは赤ちゃんにとって、胎児の時の指吸いを思い出させるようです。吸啜(きゅうてつ)反射という、口に触れたものに吸い付く特性を利用したものです。
新生児におしゃぶりは絶対に必要?
おしゃぶりは育児における便利グッズです。安心して泣き止み、使っているうちに寝てくれることもあります。しかし、絶対になくてはならない必須アイテムというわけではありません。おしゃぶりは、生後1週間から使用が可能です。
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おしゃぶりをやめるタイミング
赤ちゃんは1歳を過ぎると、急速に言葉が増え始めます。色々なものを見て、体験し、感じて、快・不快を言葉で表します。おしゃぶりが発語の邪魔になることもありますので、1歳になったら少しずつおしゃぶりを卒業する準備を始めましょう。
また赤ちゃんは、「おっぱいを吸う」から「食物を噛む」ことへ移っていきます。1歳半頃になり奥歯が生え始めると、卒業タイミングとみてよいでしょう。自然と自分からやめることが多いですが、まれにおしゃぶりに依存すると、やめるのに苦労することがあります。2歳までには完全に卒業するように促しましょう。
おしゃぶりのやめ方
おしゃぶりをやめる時は、無理やりさせるのではなく、必ず赤ちゃんに「おしゃぶりをやめること」を言い聞かせます。やめる当日はおしゃぶりを隠し、見えないようにします。
もし赤ちゃんが泣いて大変であれば、ずっと持たせずに、寝かしつけ時だけ使用してみましょう。頻度を決めて、次第に減らしていくといいですよ。
赤ちゃんはおしゃぶりがなくなって不安です。そのぶん安心できるように、たくさん一緒に遊び、スキンシップを増やしましょう。
赤ちゃんがおしゃぶりを使うメリット&デメリット
育児には便利なおしゃぶりですが、赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか。
おしゃぶりを使用する「メリット」
前述したように、おしゃぶりは必須アイテムではないものの、ママと赤ちゃんに様々なメリットがあります。
■赤ちゃんが安心して泣き止む
赤ちゃんは、泣くという表現でしか自分の気持ちを訴えることができません。「お腹がすいた」「おむつが気持ち悪い」などは、ママも育児をしていく上でわかってきます。しかし理由もなく泣くこともあります。そのような時におしゃぶりを使うと、赤ちゃんが安心して泣き止み、眠れることも。結果としてママの育児ストレスが軽減することが、メリットといえるでしょう。
おしゃぶりを使用する「デメリット」
次に、おしゃぶりを使用するデメリットをみていきましょう。
■乳頭混乱が起こる可能性がある
新生児期で、まだおっぱいを吸うのに慣れていない時期におしゃぶりを与えると、乳頭混乱を起こし、おっぱいを吸わなくなる可能性があります。
乳頭混乱とは、哺乳瓶やおしゃぶりなどに慣れてしまい、ママの乳首を嫌がる現象です。こうなると形状は似ていても、咥えた時の感触が異なるおっぱいを、飲まなくなってしまうことも。母乳で育てたいママは、早い時期からのおしゃぶりは控えるようにしましょう。
■依存性が高い
おしゃぶりを高頻度に使用していると、赤ちゃんの依存性が高まり、おしゃぶりがないと不安になってしまいます。便利だからといって毎回与えていると、やめるときに苦労するかもしれません。
またおしゃぶりですぐ寝るからといって、寝るたびに使用していると、それがなければ寝られなくなってしまいます。どうしても寝てくれない時だけ使用するとよいでしょう。
■歯並びが悪くなる
おしゃぶりを長期間使用していると、歯並びが乱れて、滑舌が悪くなり、かみ合わせに問題が出ることがあります。1歳半くらいでおしゃぶりをやめれば、かみ合わせはよくなる可能性があります。しかし奥歯が生えてくる2歳半から3歳くらいになると、悪くなったかみ合わせは治りませんので注意しましょう。
おしゃぶりにもいろいろな形や種類があります。気になる場合は、歯科医師監修のおしゃぶりを選んでみてください。
■発語の機会が減る
言葉をしっかり話し出す前の赤ちゃんは、「あー、うー」と喃語が出てきます。この喃語がやがて、「ママ」「ブーブー」など一語文に変化します。しかしずっとおしゃぶりを使用していると喃語が出ず、発語の機会が減ってきます。コミュニケーションが不足、あるいは取りづらくなる可能性もあるので、長期間の使用は避けましょう。
おすすめ情報
【おしゃぶりの選び方】新生児におすすめ!
おしゃぶりにも種類がたくさんあり、どう選べばいいのか迷いますよね。おしゃぶりを選ぶときのコツを紹介します。
1. 対象月齢に合ったおしゃぶり
おしゃぶりは必ず、対象月齢の合ったものを選ぶようにします。対象月齢とは、赤ちゃんの吸う力の強さやあごの発達によって設定され、使用できる目安になります。新生児は柔らかいものを、卒乳時期はニップルが大きめで硬いものを選ぶとよいでしょう。
2. おしゃぶりの素材
おしゃぶりの素材には、シリコーン製と天然ゴム製があります。シリコーン製は洗いやすく劣化しにくい特徴があり、長期間使用できます。天然ゴムに比べて安価なのも嬉しいです。そして天然ゴムはシリコーン製に比べて、柔らかいのが特徴です。赤ちゃんの口にフィットしやすいので、新生児でも使用できます。
3. 手入れのしやすさ
消毒方法には、煮沸消毒・電子レンジ消毒・薬液消毒があります。免疫が弱い赤ちゃんに使用するため、しっかりと消毒しましょう。自分がやりやすい消毒方法か、しっかり見ておくことをおすすめします。
4. くわえやすさ・耐久性が重要
安全で安心、耐久性のあるおしゃぶりがおすすめです。くわえやすさに関しては、ニップルの直径が大きい・平べったいよりも、ニップルの先端にへこみがある方がいいでしょう。
耐久性については、すべてのおしゃぶりで特に問題はないようです。赤ちゃんが使用してすぐに破損するようなものは、販売されていないので安心ですね。
おしゃぶりを安全に使うポイント
赤ちゃんが使うものは、必ず安全である必要があります。使用上の注意をしっかり読み、正しく使用しましょう。おしゃぶりを安全に使うためのポイントを解説します。
体調が悪い時は使わない
おしゃぶりをくわえると、赤ちゃんは自然と鼻呼吸になります。もし体調が悪く鼻が詰まっていたら、おしゃぶりが呼吸を遮ることになってしまいます。赤ちゃんの体調が悪い時には、絶対に使用しないようにしましょう。
窒息に注意する
寝ている時には、おしゃぶりのストラップが首に絡まって窒息しないように、安全面には注意しましょう。寝る時はストラップを外すか、何もついていないものを使用しましょう。また赤ちゃんが寝てしまった後は、すぐにおしゃぶりをはずしましょう。
必ず消毒する
赤ちゃんが口に入れるものは、必ず消毒しましょう。消毒が不十分だと、鵞口瘡(がこうそう)や胃腸炎になる可能性があります。丁寧に消毒してください。
赤ちゃんが嫌がったら無理に使用しない
おしゃぶりは便利なアイテムですが、赤ちゃんが嫌がったら無理に使用しないようにしましょう。おしゃぶりを使っていた赤ちゃんが嫌がってきたら、それはおしゃぶりを卒業するタイミングです。
《まとめ》
おしゃぶりは新生児から使用できます。ただし母乳育児を頑張りたいママには、早い時期からの使用はあまりおすすめできません。おしゃぶりは絶対になくてはならないグッズではありません。本当に必要かを検討し、安易に与えないようにしましょう。もし与える場合は、使用上の注意を必ず守り、安全に気を配りましょう。そして遅くとも2歳には卒業しましょう。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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