赤ちゃんの急な【哺乳瓶拒否】その理由は?

赤ちゃんが突然、哺乳瓶を拒否する理由はどこにあるのでしょうか。考えられる理由をみていきましょう。
哺乳瓶拒否の理由1. 乳首が合っていない
哺乳瓶の乳首が、赤ちゃんに合っていないことが考えられます。哺乳瓶の乳首は月齢ごとの、吸う力に合わせて作られています。成長にともなって、使用するものが変わります。そのため赤ちゃんの月齢に合っていない場合、吸いづらくて嫌がることもあるでしょう。
また哺乳瓶の乳首の部分は、消耗品なので劣化します。使用期間はおおよそ2ヶ月程度とされているので、使用期限が過ぎたものは新しく替えてみてください。
もし乳首を交換しても、赤ちゃんが哺乳瓶を拒否する場合は、哺乳瓶そのものを変えてみましょう。メーカーによって様々な哺乳瓶が販売されていますが、赤ちゃんによっては吸いづらいものもあります。哺乳瓶のメーカーを変えることで、問題なく吸えるケースもあります。
哺乳瓶拒否の理由2. ミルクの温度が熱い・冷たい
次に考えられるのが、ミルクの温度です。授乳前に作ったミルクをすぐには飲ませない時や、赤ちゃんが泣いていて早く飲ませたい時など、温度がしっかり確認できていないのかもしれません。
ミルクをあげる前には、ママが腕の内側で温度を確認していることが多いでしょう。しかしママの手が冷えていれば、ミルクは普段よりぬるい温度になっていることも。その場合はミルクを少し温めてからあげると、すんなり飲んでくれることもあります。母乳の温度との差がありすぎると、嫌がるので注意しましょう。
哺乳瓶拒否の理由3. ミルクの味が嫌
哺乳瓶を拒否する理由が、ミルクの味なのかを確認するために、搾乳した母乳を飲むのかを見てみましょう。
搾乳器があれば少し絞り、哺乳瓶に移して飲ませてみてください。搾乳器がない場合は、哺乳瓶に直接手で絞った母乳を入れて、飲ませてみましょう。搾乳した母乳を哺乳瓶でも嫌がらずに飲めば、ミルクの味が嫌だと考えられます。
その場合は哺乳瓶ではなく、ミルクの種類やメーカーを変えてみましょう。味の好みは様々なので、まずはサンプルなど少量から始めてみてください。問題なく飲めるとわかってからミルク缶を購入すると、失敗が減るので安心です。
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哺乳瓶拒否の理由4. そもそもお腹が空いていない
他に考えられる原因として、そもそもお腹が空いていないことがあります。混合で授乳していたママは、母乳の後にミルクをあげるでしょう。しかし母乳の分泌量が増えたことで、赤ちゃんが母乳だけで満足し、哺乳瓶を拒否することもあります。
毎回嫌がるわけではない、あるいは母乳だけで満足しているようであれば、様子をみて問題ありません。1日に必要な量がしっかり飲めており、かつ赤ちゃんが元気に泣いて、体重が増えているのであれば心配ありません。
哺乳瓶拒否の理由5. 落ち着いて飲める環境ではない
ミルクや哺乳瓶の問題のほかにも、赤ちゃんが落ち着いた環境で飲めるかがとても重要。
最初は授乳中に赤ちゃんに向き合っていたママも、慣れてくるとスマホを触ったり、テレビを見たりと、何かをしながらになりがちです。また家族がそばで騒がしくしたり、上の子が走り回ったりすると、落ち着いて飲めないこともあります。
赤ちゃんが落ち着いて飲めるようにテレビを消す、静かな部屋に移動するなど、環境を整えてみましょう。
【哺乳瓶拒否】は克服させるべき?嫌がるときの注意点

赤ちゃんに哺乳瓶を拒否されてしまうと、「必要な栄養が摂れずに困る」「どうしたらいいのかわからない」と不安なママもいるでしょう。哺乳瓶拒否を克服するべきかどうかは、赤ちゃんの月齢や授乳状況、育児の状態によって変わります。
体重が増えていれば問題なし
まず確認したいのが、赤ちゃんの体重の増え方。哺乳瓶を拒否しても、ミルク以外で栄養が摂れていて、体重が増えていたら問題ありません。母乳をしっかり飲めている、また月齢によっては離乳食をしっかり食べているかが、判断のポイントです。
体重が増えていれば、拒否する哺乳瓶で無理に飲ませる必要はありません。必要な状況ではないので、克服しなくて良いでしょう。
しかしながら、母乳での育児はママにしかできないこと。完全母乳では赤ちゃんを預けるのが難しく、また夜中にママが休みたくても、代わってもらうことができません。するとママへの負担が大きくなるため、少しは哺乳瓶で飲んで欲しい時もあるでしょう。そのような時のため、赤ちゃんが気に入る哺乳瓶をあらためて見つけておくのは、よい手段といえるでしょう。
赤ちゃんが哺乳瓶を拒否したら!おすすめの対策

ここからは赤ちゃんが哺乳瓶を拒否するときの、おすすめの対策を月齢別に紹介します。月齢はあくまでも目安なので、赤ちゃんの状況をみながら試してみてください。
【生後1〜3ヶ月】哺乳瓶拒否の対策
生後1ヶ月〜3ヶ月の時期におすすめの方法は、以下のとおりです。
■母乳を飲んでいるときに哺乳瓶にすり替える
母乳であればよく飲む赤ちゃんは、お腹が空いている時に哺乳瓶でミルクを飲ませようとすると、泣いて怒って拒否することがあります。そのためまずは母乳を飲んで、ある程度落ち着いた段階で哺乳瓶にサッとすり替えます。そうすると案外、そのまま吸い続けてくれることがあります。
この方法は、母乳も飲める状況でないとできないので、ママが必要です。しかし何度かこの方法により哺乳瓶の乳首の感覚に慣れると、最初から哺乳瓶で与えた時も、拒否されにくくなることも。まず対策のひとつとして、覚えておいてください。
■ママ以外の人にあげてもらう
ママがいると、どうしてもその匂いで母乳が欲しくなってしまいます。ママは母乳をくれる人だと、赤ちゃんも認識しています。その認識を塗り替えるために、ママが別の部屋にいる間や不在の時に、パパや家族が哺乳瓶でミルクをあげてみてください。
【生後4〜7ヶ月】哺乳瓶拒否の対策
生後4ヶ月〜7ヶ月の時期におすすめの方法は、以下のとおりです。
■哺乳瓶の乳首に慣れる
哺乳瓶の乳首に慣れるために、空の哺乳瓶で遊ばせて、シリコンの乳首の感覚を覚えてもらいましょう。ガラスの哺乳瓶ではケガが心配なので、プラスチック製の哺乳瓶で練習してください。メーカーによっては、乳首の部分で遊べるおもちゃが販売されているので、試してみるのもいいでしょう。
徐々に慣れてきて、乳首の部分をくわえるようになったら、哺乳瓶でミルクをあげてみましょう。哺乳瓶で遊ばせる場合は、目を離さないように注意してください。
【生後8〜12ヶ月】哺乳瓶拒否の対策
生後8ヶ月〜12ヶ月の時期におすすめの方法は、以下のとおりです。
■コップやストローで飲む練習を
シリコンの乳首の感覚に慣れるよう試行錯誤しても、どうしても難しい場合もあるでしょう。これくらいの月齢になると哺乳瓶より、スパウトやストローマグで飲む練習をするほうが早いかもしれません。
吸う力はだんだん強くなっていますし、上唇の力も強く、上手に吸えるようになっています。哺乳瓶とは違った方法なので、練習するうちに嫌がらず、すんなり飲んでくれることもありますよ。
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こんなときは受診を検討しよう
哺乳瓶を拒否していて以下のような場合は、かかりつけの小児科の受診を検討してください。
赤ちゃんの体重が増えない
哺乳瓶を拒否していても、母乳や離乳食でしっかり必要な栄養が摂れていれば、問題はありません。しかし母乳だけでは栄養が足りず、体重が増えない場合もあります。そのときは、かかりつけの小児科医に相談してください。
体重増加の目安は、母子手帳の「発育曲線」を参考にしてください。健診では、赤ちゃんの体重を確認しています。発育曲線よりも緩やかで、体重が増えていないと気づいた段階で、早めにかかりつけの小児科医に相談しましょう。
体調が悪い症状がある
哺乳瓶を拒否している理由が、体調不良の場合もあります。
・発熱
・嘔吐している
・ぐったりしている
・おしっこの回数が少ない
・下痢もしくは便が硬い
・頭を打った
こういった症状が見られたら、赤ちゃんの体調不良が原因で、哺乳瓶を拒否している可能性があります。かかりつけの小児科を受診してください。
また以下の症状があれば、ミルクのアレルギーが考えられます。
・飲んだ後に吐く
・下痢が続く
・体重が増えない
・血便
このような症状がある時も、かかりつけ医に相談してください。
《まとめ》
これまで哺乳瓶で問題なく飲んでいたミルクを、急に拒否されてしまうと、ママやパパは困ってしまいます。赤ちゃんが嫌がる理由がどこかにあります。考えられる原因と、対処方法を試してみてください。また哺乳瓶を拒否して体重が増えない場合は、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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