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2022.07.01
医師監修【おしるしの色・量とは】茶色・スライム状でも大丈夫?
臨月にみられる少量の出血は「おしるし」と呼ばれ、出産が近づいている証拠です。臨月に入るまでは、「出血があるけど大丈夫かな?」と不安になったでしょうが、おしるしの場合は問題ありません。この記事では、おしるしとはどのようなものか、注意してほしいポイントや過ごし方について解説していきます。
目次
- おしるしとは?破水との違い
- ・なぜ?おしるしが出る理由とは
- ・おしるしと破水の違いとは
- おしるし【茶色・ゼリー状・スライム状】でも大丈夫?
- ・おしるしの「色」は暗赤色・茶褐色・ピンク色
- ・おしるしの「性状」はドロッとしてゼリー状・スライム状
- ・おしるしの「量」はさまざま
- こんな色・状態のおしるしには要注意!
- ・注意すべきおしるし1. サラサラとした出血
- ・注意すべきおしるし2. 多量の出血
- ・注意すべきおしるし3. 妊娠37週未満の出血
- ・注意すべきおしるし4. 血の塊
- 出産のサイン?おしるしがきた時の過ごし方
- ・おしるしの後すぐに陣痛が来るわけではない
- ・おしるしがきたらどのように過ごすか
- ・おしるしから陣痛・出産までの流れ
- ・お産の兆候はおしるし以外にも
おしるしとは?破水との違い
おしるしとは医学用語で「産徴」と言い、お産間近にみられる出血です。
なぜ?おしるしが出る理由とは
臨月になると、徐々にお腹が張り始める「前駆陣痛」が起こります。お腹の張りが増えると、子宮口がだんだんと開き始めます。そして子宮口が開き始めると、卵膜と呼ばれる膜が子宮の壁から剥がれて出血し、これを「おしるし」と言います。
おしるしが出ると子宮口が開き始めていて、分娩が近づいているサインとも言えます。おしるしの出血は異常ではありません。
おしるしと破水の違いとは
「破水」とは、卵膜が破れて羊水が流出すること。持続的に水が流れ出てくる状態のため、おりものが水っぽいと感じたり、動くと水が流れ出る感じがして気づく人もいます。陣痛が来る前に破水することを「前期破水」と言いますが、妊娠後期のママは尿もれと勘違いすることもあります。
破水した場合は赤ちゃんへの感染予防のため、抗生剤を使用する必要があります。尿もれか破水か悩む時は、必ずかかりつけの産科医に連絡しましょう。
「おしるし」は出血であるため、水のように流出感のある破水とは異なります。おしるしは基本的に、少量の出血であることがほとんど。ただし出血が羊水と混ざり多く感じて検査した結果、実際は破水していたということもあります。
妊婦さんが自分で判断することは難しいので、悩む場合はかかりつけの産科医に連絡してみましょう。
おしるし【茶色・ゼリー状・スライム状】でも大丈夫?
おしるしが出た時は、「これは正常なの?」と不安になるかもしれません。ここからはおしるしの色や、性状について解説します。
おしるしの「色」は暗赤色・茶褐色・ピンク色
おしるしの色には個人差があり、暗赤色の場合もあれば、茶褐色もあります。またピンク色で、おりものに少し混ざる程度の人もいます。ただし、おしるしで真っ赤な鮮血はあまり見られません。鮮血が出ている場合は、一度かかりつけの産科医に相談しましょう。
おしるしの「性状」はドロッとしてゼリー状・スライム状
おしるしは頸管粘液と一緒に出てくるため、少しドロッとした性状が多いです。おりものに少し血が混じる程度のドロッとしたものや、ゼリー状、スライム状など個人差があります。
おりものに出血が少し混ざる程度のことがほとんどなので、少しドロッとした性状であれば、基本的に心配する必要はありません。
おしるしの「量」はさまざま
おしるしの量は、ナプキンにつく程度からトイレットペーパーで拭くとうっすら付く程度まで、様々です。基本的には、おりものシートやナプキンでおさまる程です。
生理2日目の出血以上であれば大変量が多いので、かかりつけの産科医に相談してください。またサラサラした出血や、血の塊が出てきている場合は受診してください。
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こんな色・状態のおしるしには要注意!
「おしるしかと思ったら違っていた!」ということもあるので、受診が必要なおしるしについて解説します。
注意すべきおしるし1. サラサラとした出血
サラサラとした出血は、最も注意したい状態。「常位胎盤早期剥離」の危険性があります。胎盤は赤ちゃんへ酸素や栄養を送っていて、通常は赤ちゃんが生まれた後に自然に剥がれます。
しかし常位胎盤早期剥離の場合、先に胎盤が剥がれてしまいます。胎盤が剥がれることで赤ちゃんに酸素が十分にいかず、赤ちゃんの命の危険があります。
常位胎盤早期剥離の時は、サラサラとした出血以外に腹痛も起こることが多いです。陣痛には「痛い時」と「痛くない時」がありますが、常位胎盤早期剥離の腹痛はずっと休みなく続きます。常位胎盤早期剥離の場合は、赤ちゃんの命だけでなく、母体の命の危険もあります。
なんとなくお腹が痛い程度で、お腹の張りが多くサラサラとした出血があれば、すぐにかかりつけの産科医を受診してください。
注意すべきおしるし2. 多量の出血
前述したように、おしるしの量には個人差がありますが、おりものに混ざる程度のことがほとんどです。もしも生理2日目程度の出血であれば、出血量が多い状態なので、医師に相談し受診してください。
注意すべきおしるし3. 妊娠37週未満の出血
おしるしは分娩近くに起こる出血です。そのため、妊娠37週未満の早産の時期におしるしが出ている場合は、かかりつけ医に相談しすぐに受診しましょう。
注意すべきおしるし4. 血の塊
おしるしはドロッとした性状であれば心配ありませんが、血の塊には注意が必要です。血の塊が出てくる場合は、胎盤が一部剥がれてしまっている可能性もあります。すぐにかかりつけの産科医に相談し受診しましょう。
出産のサイン?おしるしがきた時の過ごし方
おしるしがきたら、分娩が近づいている状態です。すぐに陣痛が起きて出産となるのでしょうか?
おしるしの後すぐに陣痛が来るわけではない
おしるしが出たら、「もうすぐ陣痛がくるのかな?」とドキドキするでしょう。しかしおしるしが出て1週間ほど陣痛が来ない人がいる一方、その日にすぐ陣痛が来る人もいて、個人差があります。
また経産婦さんは、おしるしがほとんど出ないまま出産になることも。おしるしが出たら、もうすぐ出産だろうと準備するとよいですが、すぐに出産にならない場合もあると覚えておきましょう。
おしるしがきたらどのように過ごすか
おしるしがあってもすぐに陣痛が来ない場合もありますので、まずは落ち着いて行動しましょう。
ナプキンをあて、お腹の張りがないか定期的に確認します。まだ定期的な張りがない場合は、陣痛ではありません。すぐに入院できるように、荷物を確認しておくといいでしょう。
痛みが強くなってからは、食事や睡眠をとるのが難しくなります。しっかりと食事をして、分娩に備えて休むことが大切でしょう。そしていつ陣痛がきて入院してもいいように、家族とすぐに連絡をとれる状態にし、遠出は避けてください。陣痛はいつ来るのだろうかと緊張するでしょうが、なるべくリラックスして過ごしましょう。
■おしるしがあっても入浴していい?
おしるしだけの場合は、入浴しても問題ありません。体を清潔にし、温めることでリラックスできますし、陣痛がきやすくなります。しかし水っぽいものが出ている時は、破水も考えられます。その場合やサラサラした出血が続く時は、シャワーを含め入浴はせずに、かかりつけの産科医を受診してください。
またおしるしの量が多い場合も注意が必要です。少量出ている程度であれば問題ありませんが量が多い場合も入浴はせずにかかりつけの産科医に相談してください。
おしるしから陣痛・出産までの流れ
おしるしが出てから数時間で陣痛がきて、出産に至る場合もありますし、おしるしが出てから数日後に陣痛がきて出産となる場合もあります。おしるしが出始めても子宮口がなかなか開かないケースもあるため、個人差が大きいです。
初めての出産の場合、陣痛がきてから出産までは平均12時間程度です。経産婦さんの場合は、8時間ほどかかると言われています。
お産の兆候はおしるし以外にも
おしるしは分娩が近づいた証ですが、お産の兆候は他にもあります。
まずはトイレが近くなります。妊娠中は以前と比べて、トイレが近くなったという人が多く、お産が近づくと2~3時間おきに行きたくなるママも。頻尿の原因は赤ちゃんが生まれてくる準備のため、徐々に骨盤の中に入り下がってきて、膀胱を圧迫することです。
次に、足のつけ根や腰が痛くなります。赤ちゃんが出てくるためにだんだんと下に降りてきて、じーんと痛くなったり、腰に生理痛のような鈍痛が出ることがあります。
他にも、不規則にお腹が張る「前駆陣痛」がやってきます。本陣痛になると規則的なお腹の張りが10分以内にあり、1時間以上続きます。お腹の張りとともに生理痛のような痛みを伴い、前駆陣痛が陣痛か迷う場合は、かかりつけ医に相談してみましょう。
《まとめ》
初めてのおしるしには驚くかもしれませんが、量が少なく色も問題なければ心配ありません。またすぐに陣痛が来るとは限りません。おしるしがあっても動揺せず、「もうすぐかな?」と楽しみに待っていてください。もしもおしるしの色や状態で不安な時は、自己判断せず必ずかかりつけの産科医に相談しましょう。
※写真提供:PIXTA
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1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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