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2022.06.06
【医師】つわりがひどい人・つわりがない人の共通点を徹底解説!体質・特徴とは
つわりには症状がひどい人と軽い人がいますが、その違いは体質が原因とも言われています。ここでは、つわりがひどい人の特徴を知り、その軽減方法を学んでいきましょう。またつわりがない人や、軽い人にみられる共通点も紹介していきます。
目次
つわりがひどい人は体質が原因?特徴は?
妊娠して初めて経験する体調の変化として、つわりがあります。つわりは、一般的に妊娠5週目ぐらいから始まることが多いもの。その原因は妊娠によって変化する、ホルモンバランスが関係していると言われています。
妊娠を維持するための、ホルモンの急激な上昇に身体がついていかず
・吐き気、嘔吐などの消化器症状
・匂いに敏感になる
・眠気
・イライラ
・頭痛
などの様々な不快な症状を引き起こします。
つわりがひどい人の体質
妊娠中におけるビタミン不足も、代謝障害や血糖値の変化、精神面に影響を及ぼしてしまいます。つわり症状は妊娠8週~9週頃にピークとなり、胎盤が完成する妊娠16週頃までには落ち着いてくるでしょう。
このつわりのつらさには人それぞれ個人差があり、ひどい人もいれば軽い人もいるようです。急なホルモンバランスの変化に身体がついていける人と、ついていけない人では、やはりつわりの症状の出方が違います。このことから、つわりがひどい人は「体内環境の変化の影響を受けやすい体質」と言えるでしょう。
つわり症状を悪化させる心理的な要因
またつわりには、心理的な要因も関係しています。仕事や家庭の事情、妊娠・出産・子育てに関する不安などは、つわりの症状を悪化させる要因になります。不安がつわりを悪化させ、そのつわりがさらに恐怖や不安へとつながる、という悪循環が起こってしまいます。できる限り気分転換を図るようにしましょう。
つわりがない人・つわりが軽い人の共通点
つわりには個人差があると紹介しました。約80%の妊婦さんが、何らかのつわりを経験しています。つまり5人に1人は、「つわりがない」ということになります。
「ちょっといつもと違う?」程度の症状であれば、つわりが軽いと考えてよいでしょう。また日常生活にほとんど影響がなく、いつも通り仕事や家事をこなせる場合は、つわり症状が軽いといえるでしょう。
それから、
・空腹時に軽い吐き気があっても、すぐに軽食をとれば軽減する
・眠気が襲ってくるが、家ですぐに眠れる環境にある
など、つわり症状にすぐに対処できる環境が整っていれば、つわりをつらいと感じないことも多いもしれません。
つわりがないことと流産は関係ある?
またつわりがないことに、不安を覚える妊婦さんもいます。「妊娠するとつわりがつらいもの」というイメージがついていて、つわりがない、もしくは軽いと「赤ちゃんが無事に育っていないのではないか」と不安になるのが要因でしょう。
確かにつわり症状は、妊娠を継続させるためのホルモンの上昇により引き起こされ、流産の場合はそのホルモンの値が低いことがわかっています。だからといって、つわりがないことは直接流産とはつながりません。
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✔つわりがない人【助産師に相談】赤ちゃんは無事に育っている?流産は?
つわりがない・軽い人の体質
つわりがない、または軽い人は、妊娠によるホルモンの変動にうまく身体が順応出来ており、ストレスに強い体質と言えるでしょう。
妊娠初期はまだ、胎動を感じることができません。つわりがないことで、赤ちゃんが無事に成長してくれているか不安になることがありますが、赤ちゃんを信じてあげてくださいね。それでも心配な時は、かかりつけの産科を受診して、超音波検査で確認してもらいましょう。
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【つわり症状別】知っておきたい対処法
つわりには吐きづわり、食べづわり、においづわり、眠りづわり、よだれづわりなどがあります。つわりの種類と症状別に、対処法を紹介していきます。
つわりの種類と症状
■吐きづわり
一般的にいわれるつわりとは、吐きづわりのことを指します。吐き気が強く、食べ物を摂取できない、できたとしてもすぐに吐いてしまいます。つわり症状があった70%以上の妊婦さんが、この吐きづわりを経験しているのです。ひどければ水分摂取もままならなくなり、脱水状態に直結してしまうので注意が必要です。
■食べづわり
食べづわりは空腹時に気分が悪くなるので、常に何かを食べてしまう状態です。体重増加の原因にもなりますので、食べすぎには注意しましょう。
■においづわり
においづわりは、ある特定のものの匂いを嗅ぐことで、吐き気を催してしまうつわりのことです。例えば、炊き立てのご飯や味噌汁の匂い、お風呂の湯気や人ごみなどです。どの匂いに反応が強いかは、人それぞれです。
■眠りづわり
眠りづわりは、いくら寝ても寝足りないくらい、眠気が襲ってくることをいいます。他のつわりと比較して軽いようにも見えますが、急に眠気が襲ってくるというのは非常につらいもの。会議や運転中など、寝てはいけない場面で寝てしまうこともあれば、眠気だけでなく、ぼーっとして身体のだるさが襲ってくるのも特徴です。
■よだれづわり
よだれづわりは無意識に唾液が飲み込めず、口の中の唾液がいっぱいであふれてしまいそうになり、気分が悪くなるつわりです。自分の口の中の唾液に対して、不快感が起き、吐き気を催します。
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✔あなたのつわり症状は何タイプ?【助産師】原因&対処法ポイント
つわりの症状別おすすめの対処法
代表的なつわりにおける、それぞれの対処法を紹介します。
■吐きづわりの対処法
吐きづわりは、無理をせずに「食べられるときに食べられるものを少しずつ」が基本です。妊娠初期は赤ちゃんのため、と無理して食べる必要はありません。
水分の多い野菜や果物、スポーツドリンク、ゼリーなどは食べやすいですし、吐いても脱水症状にはなりにくいです。なかには逆に、水分が少ない物のほうが食べやすい人もいます。その場合は、できるだけ別で水分補給できるといいですね。
温かいものよりも冷たいもののほうが、吐き気を抑えることができるでしょう。また、からあげなどの脂っこいものや辛い物などは、胃腸に負担をかけてしまいます。つわりの時期は、そのような食べ物は避けるようにしてください。
■食べづわりの対処法
食べづわりの場合は、空腹時に気分が悪くなります。食事は複数回に分けて摂取することをおすすめします。空腹の度にいつもと同じ量を摂取しては、カロリーオーバーになってしまうので、1回の量を少なくしましょう。
起床時には血糖が下がっているため、吐き気を催しやすいです。枕元に軽食を準備しておくといいですね。お菓子を選ぶよりは、小分けにしたおにぎりなど、血糖値を緩やかに上昇させるものがおすすめです。
■においづわりの対処法
においづわりは「温かい食事の匂い」と、「環境の匂い」の2つに対処していく必要があります。食事に関しては、冷ましてから食べたり、デリバリーや総菜を上手に活用しましょう。
環境の匂いには、タバコや生ごみ、お風呂の湯気、独特の人ごみの匂い、電車内の匂いなどがあります。匂いの発生源からできるだけ遠ざかったり、マスクをしたりして対処しましょう。
■眠りづわりの対処法
仕事をしている場合、ずっと寝るということは難しいでしょう。しかし休憩時間に仮眠をとるだけでも、すっきりすることがあります。車の運転は極力控えて、就業時間中はガムを噛むなどして、眠気を紛らわす方法もあります。
■よだれづわりの対処法
口の中いっぱいになる唾液のねばねばが、不快症状を招くよだれづわり。できるだけ唾液を吐き出すと、軽減できることがあります。こまめにうがいをしたり、飲み物を飲んだり、ガムや飴を食べるのもおすすめです。マウスウォッシュを使用するのもいいでしょう。
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✔「つわりがつらい!」先輩ママの乗り越え方は?タイプ別の対処法
つわりの重症化に注意!我慢せず受診を
つわり自体は、ほとんどの妊婦さんが経験するもの。ですが1日に何度も吐いて食べ物も飲み物も受け付けない、尿の回数や量が減る、著しい体重減少がある場合は、すぐに受診しましょう。腹痛や下痢、発熱などの身体的な症状がある場合も同様です。つわり時期に大切なのは、周囲の理解と協力、そして何より自分自身が我慢しすぎないことです。
つわりの重症化「重症妊娠悪阻」
つわりは重症化すると、重症妊娠悪阻(にんしんおそ)となり、全妊婦さんの1~2%に起こります。重症妊娠悪阻になると入院して、点滴にて水分補給と必要な栄養素を補う、あるいは食事を数回にわけて摂取した上での安静が必要になります。
また重症妊娠悪阻の合併症として、ビタミンB1の欠乏によるウェルニッケ脳症があります。意識障害や小脳性運動失調などが、妊婦さんに出現する可能性があります。逆行性健忘、記銘力の低下、作話が特徴のコルサコフ症候群という、後遺症が出ることもありえます。
このようにつわりの重症化は、母子の健康状態に悪影響を及ぼします。日常生活に支障が出始めたら、つわりだからと我慢せずに、かかりつけの産科医を受診することをおすすめします。
《まとめ》
つわりの程度は、妊娠によるホルモンバランスの変化に身体がついていけるかどうか、体質によると言えるでしょう。すぐにつわりへの対処が行える場合は、つわりが軽いと認識する妊婦さんもいるようです。つわりが軽減できるように、自分の症状に合わせて対処法を試してみましょう。つわりは周囲の理解と協力、そして我慢しすぎないことが重要です。
※写真提供:PIXTA
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ママのお悩みの声
1999年愛知医科大学卒業
その後大垣市民病院にて研修、勤務を経て安城更生病院へ赴任
2006年日本産婦人科学会産婦人科専門医取得
2008年やまだ産婦人科院長就任
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