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2020.11.24
妊娠中に肌荒れがひどくなる理由&スキンケア【助産師が教える】
だんだんとお腹のふくらみが目立ってくる妊娠中期。つわりが落ち着き過ごしやすくなるママが多いでしょう。しかしながら外見にあらわれるマイナートラブルも数多くあります。ここでは妊娠中期に多い、肌の不調の症状とその対処法を助産師が解説します。
目次
妊娠中の肌荒れの原因
妊娠中は女性ホルモンが急激に分泌され、ホルモンバランスが崩れやすくなり、生活や環境の変化、妊娠前との体形の変化によって、ストレスが生じます。
つわりやお腹が大きくなることで胃に負担がかかり、食べられる物が限られて栄養バランスが偏ってしまうこともあります。また、赤ちゃんを育てるために血液や羊水に多くの水分が使われ、水分不足にもなります。
このような様々な原因により、肌荒れが起きるといわれています。
妊娠中のホルモンバランスの変化
妊娠中はエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが多く分泌されています。このホルモンによって日光に対して過敏な体になり、メラニンが多く作り出されるため、シミやそばかすをはじめ、わきや乳首、外陰部などの黒ずみが目立つようになります。
また、新陳代謝が活発になることで汗の量が増えて肌は敏感になり、痒みが出ます。皮脂の分泌も増えますので、ニキビができやすくなります。
あらゆる変化でストレスが多い
妊娠に伴い、眠気やだるさが生じて体調の悪い時があります。また、妊娠中期になるとおなかの膨らみは大きくなり、今までの自分の体と違うため違和感を覚えやすくなります。パパや家族との関係、友人関係や仕事など、妊娠前とは社会的環境が急激に変化します。
このように体だけでなく、心も大きく変化している状況でストレスが生じ、肌の免疫機能や潤いバリアの機能が低下することで、肌荒れが起きやすくなるのです。
栄養バランスの偏り
つわりにより食べられるものが制限されると、栄養のバランスは崩れます。妊娠中期になるとつわりはおさまるものの、子宮が膨らむことで胃が圧迫され、思うように食べられなくなることもあります。
また、赤ちゃんにたくさんの栄養を届けるため、ママの体の水分は血液に使われます。赤ちゃんを守る羊水にも水分が必要です。
妊娠後期になると母乳を作る準備もしますので、ママの体は水分不足になりがちです。このように、水分不足と栄養バランスが偏ることで、肌は荒れやすくなっていきます。
肌荒れの他にも妊娠中によくある不調
以上のような原因で、妊娠中に様々な肌の不調が現れてきます。その中でもよくみられるマイナートラブルについてお伝えします。
1. 妊娠性皮膚掻痒(そうよう)症
妊娠中期から妊娠後期にかけて、全身の皮膚に強いかゆみが生じる病気です。湿疹などが出るものではなく、見た目では症状がわからないのが特徴です。
皮膚の乾燥に加え、子宮が大きくなることで肝臓が圧迫され、胆汁の流れが停滞することでかゆみが出ると言われています。かきむしることで皮膚に傷ついてしまいます。
2. 妊娠線
下腹部や乳房、太もも、お尻といった皮下脂肪の多い部分の皮膚が急激に伸ばされることで皮膚の断裂が起き、赤紫色の線が現れます。産後は白色になり、セルライトのように見えます。痛みはありませんが、かゆみを伴うことがあります。
妊婦さんの約40%に生じると言われており、体重が急激に増えないようにコントロールすることや、保湿クリームでマッサージすることが、予防に効果があるとされています。
3. 色素沈着
女性ホルモンが多量に分泌されることで、メラニンの多い部分である、乳輪、脇、外陰、へそなどが黒ずみます。
みぞおちからへそを通り、恥骨にかけて茶色い線ができることもあります。これは出産後に元に戻ると言われていますが、予防としては紫外線を防ぐことが大切になります。
4. 妊娠性肝斑(かんぱん)
両頬や額、目の周りなどに左右対称的に現れるシミです。妊婦さんの約70%に生じると言われています。産後数ヶ月で消失しますが、紫外線にあたることで悪化します。
5. 妊娠性疱疹(ぼうしん)
妊娠中期以降から産褥期に発症することが多いです。激しいかゆみとともに、おなかに赤い湿疹と水ぶくれが左右対照的に広がっていきます。早産や死産につながることもあり、重症化するので注意が必要です。
おすすめ情報
妊娠中の肌荒れを軽減するスキンケア
妊娠中は様々な皮膚トラブルがありますが、全身のスキンケアは予防としてとても大切です。
皮膚の清潔と保湿
妊娠中は皮脂と汗が多くなりますので、石鹸成分で洗い流すことが大事です。
ただ、洗いすぎると皮膚のバリア機能が低下してしまい、肌荒れを増長してしまうのでたっぷりの泡で優しく撫でるように洗い、その後はしっかり石鹸成分を流しましょう。
皮膚を清潔にしたあとは、保湿をします。妊娠前よりも敏感な肌になっていますので、刺激の弱い敏感肌用の保湿剤を使用しましょう。妊娠中は特に肌が乾燥していますので、夏でもしっとりタイプをおすすめします。
紫外線対策
女性ホルモンの影響で日光の刺激に敏感になっていますから、紫外線対策を十分にとる必要があります。
日焼け止めクリームは全身にこまめに塗り、帽子、グローブ、日傘などで日差しから守りましょう。雨や曇りの日、室内でも紫外線にあたりますので注意してください。
《まとめ》
妊娠中は女性ホルモンのバランスが変化することで皮膚が敏感になりますので、紫外線対策とスキンケアで肌荒れをしっかり予防しましょう。かゆみが続く、強くなる、症状が悪化する場合には、かかりつけの産科医や皮膚科医に相談することをおすすめします。
※写真提供:PIXTA
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監修者
1955年に日本助産師会東京都支部として、助産師相互の協力と助産専門職の水準の維持向上並びに利用者に対する質の保証を図り、母子保健事業を通じ、女性と子ども及び家族の健康・福祉の改善・向上に貢献することを目的として活動を開始。
2010年一般社団法人格を取得。
2014年公益法人となり、地域に根差した公共性の高い事業に取り組んでいる。
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